COP18 ドーハ合意採択
京都議定書8年延長 日本は不参加
【ドーハ=安川崇】カタールの首都ドーハで開かれていた国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)は8日、閉会総会を開き、温暖化対策での新たな枠組みでの作業計画を盛り込んだ最終文書(ドーハ合意)を採択して閉幕しました。
文書では、今年末で期限切れとなる京都議定書の第1約束期間を引き継ぎ、第2約束期間を来年1月から2020年までの8年間とすることを決めました。しかし、日本は第2約束期間不参加表明を変えず、温暖化対策で指導性を発揮すべき先進国としての責任を放棄することになりました。
昨年のCOP17は、先進国が温室効果ガス削減義務を負う同議定書の第2約束期間の13年開始で合意。今回はその内容の具体化が課題でした。
また20年から、途上国も含めて全締約国が参加する新たな排出削減枠組みを実施することでも、各国は昨年合意しています。今回はこの仕組みづくりの作業計画も提示。削減目標を達成するために必要な行動を13年中に調査し、14年に素案を決定、15年末のCOP21で採択するとしています。
途上国側が強く求めていた第2約束期間の削減目標引き上げについては、14年までに「削減目標を見直すことができる」とし、引き上げの余地を残しました。
COP18成果と課題
「これは70億人の要求だ」
【ドーハ=安川崇】8日に閉幕した国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)は温室効果ガス削減の法的枠組みを空白なく継続するなどの成果を生みました。一方、今後の課題も残しました。
予定閉幕日を翌日に控えた6日。フィリピン代表が発言を始めたのは、同国を襲った台風で300人以上の死者が確認されるさなかでした。
「私たちがここでぐずぐずしている今、私の国は大きな破壊に苦しんでいる。現実を見よう。これは70億人の要求だ。事態を変えるために政治的意思を示した場所としてドーハを記憶に残そう」
各国の主張が隔たったまま議論が進まず、メディアに「難航」とも報じられた今回会議。進行する地球温暖化が人間の生存を脅かしていることを、改めて思い起こさせる一場面でした。会場は拍手で応えました。
日本に批判
予定閉幕日の7日夜、数多くの相違点は閣僚級の徹夜の折衝に委ねられました。しかし日本の長浜博行環境相は同日未明に帰国の途に。参加者からは「肝心な交渉が始まる前に帰ってしまった」(気候問題専攻の米大学生)といぶかる声も。
日本は今回、途上国への援助に関して、過去の資金拠出の実績を強調する一方で、来年からの援助や排出削減について具体的な表明をしませんでした。
会議に参加したNGO、気候ネットワークの伊与田昌慶研究員は「各国が長期的な視野を持って困難な交渉に入ろうという時に、日本は身を引いてしまった。積極的な役割を果たさなかったのは残念」と語っています。
援助が焦点
交渉後半に大きな焦点となったのが、先進国から途上国への資金援助、技術移転でした。
経済力の弱い途上国にとって、海面上昇や災害に対応しつつ排出削減を実現するには先進国からの援助が「死活的に重要」(NGO関係者)。先進国は2009年、長期資金として20年までに毎年1000億ドルを用意すると約束しましたが、具体化は進んでいません。
さらにその手前の13~15年の資金について先進国が拠出を約束しないことに、途上国の態度は硬化。後発途上国代表は会場内でのイベントで「手ぶらで帰国するわけにいかないんだ」と訴えました。終盤になって英国やドイツなどが拠出を表明しましたが、結局、最終文書には額などの明確な記述はなく、議論を13年以降に持ち越しました。
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