主張
「ロケット」発射予告
北朝鮮は計画を撤回せよ
北朝鮮が実用衛星を打ち上げるための「ロケット」だとして、事実上の長距離弾道ミサイルを発射すると予告した期間(10~22日)が迫っています。国際社会は発射予告を厳しく批判し、計画の撤回を求めています。しかし、北朝鮮は計画を見直すどころか、発射を急ぐ動きさえみせているとも伝えられます。
北朝鮮は国際世論を直視して、発射を撤回すべきです。国際社会も北朝鮮が発射を強行しないよう、非軍事の手段に徹しながら、一致した外交をさらに強める必要があります。
安保理決議に違反
北朝鮮の発射予告に、日本共産党の志位和夫委員長はただちに談話を発表し、抗議を表明するとともに、これが国連安全保障理事会の決議1874号に反することを指摘して、計画の撤回を強く求めました。
核兵器の開発を続ける北朝鮮が「ロケット」を発射することは、朝鮮半島と日本をはじめとする東アジアの緊張を高めるとともに、広範な国際社会に懸念を引き起こします。日本や米国、韓国などはもとより、今回は中国も、安保理決議を指摘して北朝鮮に自制を求めています。国連の潘基文(パンギムン)事務総長も、発射を自制するとともに、発射計画を凍結するように求めています。国際社会のこうした一致した声を、北朝鮮は受け入れるべきです。
北朝鮮は今回も平和目的の「ロケット」だと主張しています。これは通用しません。「ロケット」であれ、核兵器の運搬手段となるミサイルであれ、使われる技術は共通したものです。2009年に採択された安保理決議1874号は、北朝鮮が「ロケット」を発射し、さらに2度目の核実験を強行したことを受けて採択されたもので、北朝鮮に対し核実験と「弾道ミサイル技術を使用した発射」を禁じています。発射が決議違反であることは明白です。
北朝鮮は今年4月にも「ロケット」を発射しました。失敗に終わったとはいえ、自制を求める国際世論を無視して発射を強行したことは、強い批判を呼びました。国連安保理決議は、加盟各国が従うべきものとして強制力をもっています。北朝鮮が長距離弾道ミサイル技術の獲得に固執する姿勢を放棄していないことは、国際社会に挑戦するものであり、厳しく非難されなければなりません。
「日朝平壌宣言」の発表から10年がたちました。この宣言は日本の過去の植民地支配に対する清算と日朝国交正常化交渉の再開、朝鮮半島の核・ミサイル問題の解決など包括的な措置を確認しており、今後とも日朝関係の基礎となるべきものです。
北朝鮮の核兵器問題を解決すべく設置された北朝鮮と日米韓中ロによる6カ国協議も、05年の共同声明で「平和的方法による朝鮮半島の検証可能な非核化」を確認するとともに、北朝鮮と米国および日本それぞれとの国交の正常化もうたっています。
合意した道筋で
北朝鮮も参加してつくられたこれらの合意こそ、北朝鮮が自らの国益を実現するとともに、国際社会の一員として復帰する道です。
国際社会はそのことを北朝鮮に説き、発射の自制を粘り強く働きかけることが求められています。
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