主張
辺野古新基地
米のために民意ふみにじるな
沖縄県の名護市辺野古(へのこ)に巨大な新基地を建設し、宜野湾市の市街地の真ん中にある米海兵隊の普天間基地を「移設」する策動を、安倍晋三政権が本格化させようとしています。
安倍首相が22日のオバマ米大統領との会談で、普天間基地の「移設」を早期に進めると合意したのを受けたものです。首脳会談から帰国した直後の26日、新基地建設のための埋め立て申請に向け地元漁協との協議を開始した安倍政権の態度は、アメリカとの約束を最優先し、新基地建設反対、普天間基地の無条件撤去を求める県民の総意をふみにじるものです。
県民無視の対米誓約
宜野湾市の市街地にある普天間基地は、米国防長官でさえかつて「世界一危険」と認めたことのある危険な基地で、基地の隣にある沖縄国際大学へヘリコプターが墜落したこともあります。沖縄県民は長年にわたって普天間基地の閉鎖・撤去を要求しており、日米両政府も1996年に撤去を合意しています。ところがそれから十数年たつのに撤去が実現していないのは、米軍が代替基地を求め、日米政府が県内「移設」をねらってきたからです。
日米両政府が「移設」先として持ち出している名護市辺野古の新基地は、海面を埋め立て、2本の滑走路を持つ基地を建設しようというもので、沖縄の基地負担を軽減するどころか、沖縄県民に基地の痛みをたらい回しするものです。辺野古への新基地建設が浮上して以来、沖縄県民が17年間にわたって建設のための杭(くい)一本打たせていないことをみても、新基地建設を許さない県民の意思は明確です。
安倍首相は日米首脳会談でオバマ米大統領に普天間基地の辺野古「移設」に向け、「現行の日米合意に従って作業を進め(る)」と表明しました。これ自体、島をあげて「移設」に反対してきている県民の声に応えるなら口にできるはずのない重大な表明です。
日本政府はすでに昨年末、新基地建設のための環境影響評価を終え、報告書を沖縄県に提出しています。公有水面の埋め立ては県知事の権限であり、政府が埋め立て要請をいつ提出するかが焦点になっています。そのさなか、沖縄防衛局が新基地建設のため埋め立てを予定する海域に漁業権をもつ名護漁協に埋め立てに同意するよう申請し協議を始めたのです。日米合意に沿い、安倍政権が動きを加速させていることは明らかです。
名護市の稲嶺進市長は「オール沖縄で反対していることを知りながら米大統領に(移設を)進めると言ったのはよくわからない」「対米国で焦っているとしか受け止められない」と痛烈に批判しています。県民の声を聞こうともしない安倍首相の態度は民主主義をふみにじるものであり、県民が政府不信をつよめるのは当然です。
平和的生存権に反する
全国の0・6%の面積しかないのに米軍専用基地の74%が集中する沖縄に新基地を建設するのは、平和的生存権を保障した憲法の規定さえ踏みにじるものです。沖縄県議会や県内すべての議会が反対の決議をあげています。
県民の命や暮らしを守るより対米誓約を優先させる安倍政権を全国から包囲し、新基地建設を許さず、基地のない沖縄を実現していくことがいよいよ重要です。
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