アルコール発酵の温度と反応速度がどうなるかについて,かんがえました。

課題2 (有効回答数50)
1 アルコール発酵の速度がはやいのは?

回答を以下に示します。温かいときに反応が速いという答えが多かったです。
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図1 課題1の回答

以下にいくつかの回答を紹介します。
A 温かい方が良い(回答数43)
  • 温度が高かったら、菌が増えると思った理由は、バナナをはやく熟させたい時に冷蔵庫からだすからだと考えました。
  • 植物や生き物が気温が高いとき(夏)に活動が活発になるのとおなじように、微生物も気温が高いとき、活動が活発になるとおもう。
  • 冷蔵や冷凍などの保存方法がある。それは細菌は温度が低いと活発に動けないということではないか。細菌が活発に動くときは温度が高いときではないか。しかし、この予測は低い温度が0度、高い温度が40度くらいと仮定した予測である。なぜならば温度が100度などでは細菌は大半は死ぬからだ。
  • 発酵とは、人間に有用な微生物が働いている過程のことです。 もし、温度が低い方が発酵が早いと考えると、冷蔵庫に入った微生物が活動するということになるので、冷蔵庫に入れると食べ物はくさることになります。それはおかしいので、温度が高い方が速度が速いと考えました。
  • 食中毒の菌が多く増えるのが温度が高い時だから、酵母菌も同じように温度が高い時に多く増える(早く発酵させる)。しかし、温度が高すぎると菌が死んでしまう。菌が繁殖しやすいと言われる、30〜40度が適当な温度だと考える。
  • 母のパン作りを見ていると、イースト菌を発酵させるのに、暖かい場所に置いたり、電子レンジの発酵モードで加熱するなどしているので。
  • 自分は暖かいときは元気で、寒いときは縮こまってしまう。菌も同じで、温度が高いときの方が活発になってどんどん増えていくと思うから。
 内容が似ている回答はまとめさせてもらいました。大きくわけると3種類の回答がありました。

 生活や観察からの回答:バナナが熟する,植物や自分自身が温かいと活発になる
 経験からの回答:パン作りでふくらむはやさ
 理論や原理からの回答:最適温度や反応速度,代謝

B 寒いときが良い(回答数7)
  • 菌は、熱に弱いから。
  • 例えば病気になったとき熱を出して菌をやっつけるから。
  • 温度が高いと、菌が死んでしまうから。
 寒いときが良いという回答も,生活や観察,経験,理論の3種類があるようです。

2 アルコール発酵の速度を調べるための実験方法には,どんな方法がある?(回答数50)
  • 同じたくさんのそうちで温度の条件を変えてはかる。
  • アルコール発酵の速度を調べるには、温度が高いのと低いので二つ作って時間を時計で計ってそこから計算して、速度を調べる。
  • 発酵するときに出る二酸化炭素の濃度を調べる。
  • ビーカーにイースト菌と砂糖を入れて0℃~45℃を5℃ずつで20分後に二酸化炭素の気体検知管で二酸化炭素の量を調べて実験する。
  • まずシャーレにイースト菌を移して、次にイースト菌に砂糖を与える。それを6つ用意し、温度の違う部屋にそれぞれを置く。それぞれを0度・20度・40度・60度・80度・100度の部屋にする。そして毎日顕微鏡で観察をする(2週間ほど)。
  • (1)ボールに温度の違う水を用意する。(2)イースト菌と砂糖と水を混ぜ、ジップロップに入れ空気を抜いてピッタリ閉める。(3)(1)に(2)を同時に入れて膨らむ早さを比べる。もし、実験器具があれば(1)を三角フラスコに入れて水上置換法で出た空気の量を調べるのも良いと思う。
  • 初めにイースト菌と砂糖の重さを測る。次に発酵させるとアルコールと二酸化炭素が出来る。二酸化炭素は空中に放出されて、アルコールだけになり重さは減る。その減り具合を調べることで発酵の速度が分かる。
  • 手作りパンを作る時の、スーパーで売っているドライイーストを使った実験。 手ごねパンをつくりながら、生地がふくらんで発酵している状態を調べる。(1)材料の水の温度の比較 (2)発酵中の室温の比較、(3)一緒にいれる具材の違いによる比較  生地は強力粉100g、ドライイースト小さじ1、水70gを基本とする。
  • パンのタネをつくり、同じ大きさに小さく丸める。透明のふたつき容器にいろいろな温度のお湯をいれ、ボールの中にパンのタネを入れて湯煎する。それである一定の大きさにふくらむまでの時間をはかって比べる。
  • イースト菌を入れた密封された容器を日光がよく当たる場所に放置し、十分ごとに顕微鏡で観察する。
  • 低い温度と高い温度でアルコール発酵させる。そして、同じ時間待って、それぞれの温度でできた空気を集めて、その空気に石灰水を入れてかき混ぜて、どちらの方が白く濁るか調べる。
  • アルコール醗酵と同時に二酸化炭素が出るので、出てきた二酸化炭素の量を調べます。水上置換法を使い出てきた二酸化炭素をメスシリンダーや、ビーカーのような分量を量ることのできる入れ物に集めて、出てきた二酸化炭素の量を量ります。
  • 気温が20度、30度、40度と一定の温度に設定されたそれぞれの部屋で、アルコール発酵させる。30分ずつ発酵の量を測る。
  • イースト菌を砂糖などと一緒に混ぜて、フラスコなどの中に入れて、フラスコから出てくるアルコールや二酸化炭素の量を2~3分ごとにはかって多くアルコールや二酸化炭素が出てくる時間帯を調べる。
  • ネットで調べたところ、キューネ発酵管や試験管を使った実験方法が出ていたが、私には難しかったので、パン作りで考えてみた。同じ分量のパン生地を、それぞれ10℃、20℃、30℃、40℃の温度の違う環境に置いて、同じ時間発酵させた生地の膨らみ方で、発酵速度の違いを調べるというのはどうだろう?
  • イースト菌水溶液を50℃と20℃のものを作る。それをパン等が入った試験管に入れる。その試験管を50℃と20℃の水が入ったビーカーにしばらくつける。また、ビーカーには温度計を挿しておいて、初めの温度が保たれるよう、熱したり冷やしたりして調整する。

3 その方法が良いと思う理由(回答数50)

  • 速度を調べるには、そうやったら上手くほかの条件が整って、きれいに整理された結果がでると思ったから。
  • 低い温度から高い温度で試すとイースト菌がどこで二酸化炭素が一番増える場所は、どこか分かるから。また、イースト菌が増えると二酸化炭素が増えるから二酸化炭素の気体検知管を使って二酸化炭素の濃度を調べたらイースト菌が一番増えたのがどこか分かるから。
  • このアルコールの発酵する速度を測る実験のために、お酒を作る大きな工場を作るよりも、簡単な方法でできるから。アルコールにとって一番活発に動ける温度を調べられるから。毎日観察を続ければ、たくさんの記録が取れるから。温度が一定に保てる状態を作れるから。
  • 重さを2回測って計算するだけで簡単に分かるから。
  • 直接お酒(アルコール)を発酵させる実験は、材料や道具、時間もかかるけれど、同じ酵母であるドライイーストは、スーパーで売っているし、手作りパンは母と作ったことがあるけれど、慣れるとぼくにもできるからです。 それに、パンの実験だと、材料の水の温度、室温、材料の具の比較など、実験の幅も広がるからです。

まとめ
いろいろな方法を提案してもらいました。どの方法も非常に興味深いですね。実験講座では全員がちがう実験をすると,まとめることができないため方法はおなじものをつかいましたが,あなたがかんがえた方法が,ほんとうにうまくいくのかは,ぜひ試してかんがえてほしいところです。

なぜなら理系分野では,たいていの場合「頭のなかでかんがえたことは思いどおりにはならない」からです。そんなとき,どうやって「うまくいくようにするのか」が理系分野で必要とされる力です。今回の実験講座で,家庭でもつかえるイースト菌(日清スーパーカメリア)とブドウ糖をつかった実験をえらんでいるのは,そういった理由からです。大学でしかできない高価な機械,ムズカシイ実験をやっても,なにをやっていたのかを理解できなければ,あなたの力はのびません。

あなたがふだん目にしていることにこそ,ナゾはあります。しかし,多くの人は,そのナゾに気づくことはありません。課題を「やらされる」のではなく,課題をとおして「学ぶ」ことで,広く興味関心をもつことが,ナゾに気づくために必要です。

約束を守ろう!
かんがえるのに必要な情報は動画のなかにあります。そして,わからないことがあれば,自分でしらべることが重要です。