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山田玲司のヤングサンデー 第355号 2021/8/16

「アべンジャーズ」と「グーニーズ」と「優生学」

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あまりに現実が酷すぎるので少し脳を休ませたくなった。


そんな時にはマーベル映画でも・・とか言って、まだちゃんと観ていなかった「アベンジャーズ」を観る事にした。


何しろここ最近は深刻な歴史のドキュメンタリーばかり観ていたので「現実も深刻」な上に「観ているものも深刻」が続き過ぎるのはさすがに辛い。

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【アベンジャーズ】


今更ながらとにかくお金がかかっているアベンジャーズ。

日本特撮の「作り手との共犯関係」なんてものは感じられず、とにかくリアルなアクションシーンが続く。


リアルになるほど原作の「ヒーローのデザイン」や「戦い方」に違和感が出てくる。

何しろ「コスプレ感」がすごい。


その違和感に対して登場人物たちが巧みに「セルフ突っ込み」を入れ「なるほどそれもありだな」と思わせてくれる。


特に時代遅れ感のすごい「キャプテン・アメリカ」は「みんなが求めている古き良き時代の象徴」としてあえて「あの感じ」でいくのだ、みたいにされてて面白い。


観ている人達がシラフになって「何そのマント?いるのそのマスク?」とか突っ込みたくなるポイントを「もぐら叩き」みたいに論破していく映画でもある。



【論破の人】


そんな時。自称「論破がすごい人」が「ホームレスの命はどうでもいい」とか言って大批判を浴びていたらしい。


彼に救われた人達や彼を応援していた人達が気の毒になるけど、「臭くて邪魔なホームレス」より「可愛そうな猫」を助けたい、とか言っていたらしいので、批判されるのは当然だろう。



とはいえ本質的な問題は「このレベルの言説が売れてしまう国の問題」かと思う。


「勝てばいい」「可愛ければいい」「金があればいい」という近年の風潮が生み出した想像力の欠如した哀れな思想だ。


僕のアシスタントが昔「自分は敵にも色々ある、みたいなのが嫌いなんですよ」と言っていたのを思い出す。



相手の人生を想像する余裕がないくらい追い詰められている人達が多い、というのもあるだろう。


とにかく近代資本主義社会という世界は「勝つしかない」世界なのだ。


そんなわけで「アベンジャーズの話」に戻ろう。