3D小説「bell」本編

■久瀬太一/12月25日/17時50分

2014/12/25 17:50 投稿

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久瀬視点
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 短い。それに、一方は音がへんだ。
 不機嫌そうに口を歪めて、ニールが言う。
「なんだよこれ? 誰か撮ったんだ?」
 雪が答えた。
「友人が無理やりに作った」
 くくく、とファーブルは笑う。
「友人というのは、もしかしてリュミエールですか?」
「そうだ」
「リュミエールの光景。――お噂は、かねがね。ですが、だとすれば、どうしてもっと決定的な証拠をいただけないのでしょう? センセイが刺される、その凶行の現場をいただきたいものです」
「リュミエールの行動に私は関与していない。彼女のプレゼントの詳細に関しても正確には把握していない」
 宮野さんは勝手にノートPCをいじって、動画をリプレイしている。
「2本目のこれ、なんでこんなに音が聞き取りにくいのよ? 変に小さいし、へんな声。ボイスチェンジャー?」
 たしかに、宮野さんが言う通り、おかしな動画だった。
 椅子に座った女性――腰から下しか映っていないから、顔も確認できない。彼女は小さな声で、奇妙なイントネーションでなにか言っている。
 雪が解説した。
「これは一本の通話の動画、らしい。はじめの動画が質問者、後ろの動画が回答者だ」
 オレたちは2本の動画の台詞を、交互に聞いてみる。

       ※

「部屋の中にいたのは?」
「あかのねこ、おんなだ」
「現場をみたのですね? どこからみていたのですか?」
「グリーン」

       ※

 グリーン? ……微妙に、違うかもしれないが、だいたいそんな風に聞こえた。ウリーン、の方が正確かもしれない。が、より意味がわからない。
 ファーブルがため息をついた。
「なんにせよ、決まりですね」
「なにが決まりなんだよ?」
「女で、赤い猫。山本さんを指しているとしか思えない」
 どうして?
 宮野さん、じゃなくて――
「ベートーヴェンも一応、女性ですよ?」
「キミ、私を疑っているわけ?」
「いえ探偵の助手としてフェアなだけです」
 山本が小さな声で――なんだか恥ずかしそうに、告げる。
「実は私、昨日、赤い猫耳をつけたの」
「え?」
 思わず聞き返してしまった。どうしてそんなものを? そう尋ねたかったが、山本が赤面してうつむいているから言葉を呑み込む。
 相変わらず鼻につく、得意げな声で、ファーブルが言った。
「昨日ここにいた人間ならわかるのですよ。赤い猫という言葉が指すのは、山本さんのことです」
 なんだそれ。
 ――どうして?
 動画の中の不可解な目撃者を、本当に信用していいのだろうか?読者の反応

ミズノ@名古屋(_・ω・)_ダァン!! @painterstudent
えええええ
猫耳がこんなのに使われてるううう


コウリョウ@ソル賑やかし班 @kouryousol
ウリーンを逆再生するとニールだ!!


三ヶ月十夜 @voice_th
逆再生なら
「部屋の中にいたのは?」
「ニール」
「現場をみたのですね? どこからみていたのですか?」
「あだんのおけのなか」 


きうり @yuzuhakusai
すげー!





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