3D小説「bell」本編

■久瀬太一/12月25日/17時35分

2014/12/25 17:35 投稿

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久瀬視点
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 オレは次のメールをひらく。

『血の付き方がおかしい。手の周りの形を取るように血が付くはず』

 たしかに、その通りだ。
 ――なら、これはやはり偽装されたもの?
 偽装としても荒っぽいように感じた。
 とりあえず山本が疑われればいい、そんな感じだ。

『美優がナイフを右手で握って背後から刺したら傷は右腹部にできるはず.左わき腹を突くことはできません』

 何度か動作を試してみて、部屋の中を確認して、その通りだ、と思った。

       ※

「やっぱり、センセイを刺したのは山本じゃない」
 オレがそう呟くと、は、とニールが笑う。
「どうしてそうなる?」
「センセイが座っている椅子は、回転式のものじゃない」
「それがどうした?」
「血の跡をみても、椅子は動いていない。センセイは刺されたとき、デスクに向かっていた。犯人は背後からセンセイの左脇を刺したんだ」
 でも、だとしたら、おかしい。
 オレはテーブルの上のナイフをつかむふりをする。
「右手で、こう跡がつくようにナイフを持って、後ろから左脇を刺すのは不自然だ」
 あまりに窮屈だ。同じ状況なら普通、右脇を刺す。
「そんなこと知らねぇよ。上手いこと身を捻れば右手で左脇だって刺せるだろうが!」
「どうしてわざわざ上手いこと身を捻らないといけないようなことをするんだよ」
「知らねぇよ! 犯人に聞けよ!」
 そう言ってニールは、山本を指す。
 彼女は犯人ではない。だが、確かに気になった。
 ――犯人は山本に罪をなすりつけたかったのだとして、どうして、センセイの左脇を刺した?
 左脇でなければならない理由があったのだろうか?
 宮野さんが真剣な表情で、顎に手を当ててつぶやく。
「久瀬くんが言う通り、違和感がある状況ではあるけれど、決定的とはいえないわね」
「宮野さんも山本を疑ってるんですか?」
「私はベートーヴェンよ! 別に誰を疑ってるってわけでもないわ。ジャーナリストとしてフェアなだけ」
「オカルト雑誌なのに」
「うるさいわね。真実っていうのは万人を一目で説得する力があるものなの! もうちょっと他の証拠はないの?」
 証拠といわれても困る。
 オレはちらりと山本に視線を向けたが、彼女は困ったようにほほ笑むだけだった。
 ――そのとき。
 ふいに、背後の扉が開いた。
読者の反応

ダークチェリー @darkcherry_38sp
私はベートーヴェンよww


ラピス @rapiss
誰かまた来た。証拠を持ってきたのかな? 





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