3D小説「bell」本編

■八千代雄吾/8月24日/11時30分

2014/08/24 11:30 投稿

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  • bell本文08月24日
八千代視点
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 身体を動かそうという気になれなかった。
 なにもかもに関わりたくなかった。すべてを忘れてしまいたかった。
 昨夜は予定外に目立ちすぎた。
 しつこい何人かの恨みを買うことをした。
 そのことが怖かった。
 もう何年振りだかも覚えていないが、がむしゃらに人を殴って、一発殴り返されて、それで車を奪って逃げた。震えながら一晩中、オレは車を走らせた。あいつらから離れていたかった。オレを知っている連中から離れて、殻に閉じこもっていたかった。
 ようやくこの街に辿り着いて、血だらけで意識を失っていた久瀬を、病院に放り込んだ。あいつの治療よりも遠くまで逃げることを優先した。高速道路を降りられなかった。
 ――大丈夫、死ぬ怪我じゃない。
 そう自分に言いきかせて、ひたすらアクセルを踏んでいた。
 ――オレは、こんなにも弱かったか。
 愕然とする。
 昔からずっと、オレは臆病だと知っていた。
 臆病だから疑う。臆病だから警戒する。臆病だから笑う。
 そのことに否定的な感情はなかった。恐怖を恐怖として感じるのは、正しいことだと思っていた。それは今も変わらない。でも。
 怯えて、逃げ出すのか。
 怯えながら進むのか。
 まったく別物だ。オレは、後者でいられる自信があった。
 なのに。
 ――ああ、そうだ。
 思い出してしまった。
 ――オレは、アイの病室を訪ねられなかったんだ。
 昔からそうだ。ずっと昔から。 
 震えて逃げ出して、いつも、なにもかも手遅れだ。 
 ――知りたかったな。
 キャンディを美味く食べる方法を。
 アイは知っていた、手のひらに乗るサイズの幸せを。
 ――でも、もうだめだ。
 身体が震えあがって動き出せない。こうして、頭を抱えていることしかできない。オレはヒーローじゃない。
 たぶんメリーと電話で話したあの日に、心だか勇気だかに、深い傷が入って、そこからなにか大切なものが流れ出て、オレはもう動けない。
 息を吐き出す。
 その時だった。
 スマートフォンが震えた。

 メール。
 件名にはただ、「雪」とだけ書かれていた。
 そこには、どこか投げやりにも感じる2文があった。

       ※

 彼に彼女の声を届けろ。
 彼にまで、言葉を聞き逃させてはいけない。

       ※

 なんだよ、それ。
 意味がわからないまま、ずきりと胸が痛む。
 声って、なんだよ。
 そんなもん、どうやって届けろってんだ。
読者の反応

inamura @onthedish 
八千代…八千代ぉぉ…  


達句英知 @tac9999 
これは生やっちーフラグ?


すくね@触角 @skne03 
八千代えらい。十分偉いから  


ヴァニシング☆コウリョウ @kouryou0320 
八千代の電話 050-3171-8006
携帯 050-3159-5668
アドレス candy.music.777@gmail.com
大阪のアパートもワンチャンあるかな? 


時雨 @siguremon 
やっちー経由で届けるとか胸アツですね!  


さいとう @jinbe_s 
東北方面仙台支部ソル、いつでも動けます!!!  


みお@3D小説はまだまだ続く @akituki_mio 
静岡の西部だったらまかせろー  


野坂 @chi_31049
より多くのソルを集める必要があった、のはこのためか?  


トモ@HOTO @H9Hoto 
『環状線グルグル』ワロタwwwやっちーの錯乱がMAX振り切ってるやん  


腐ったなにか @orenannkadose 
高速道路降りれなかったって、やっちーどこまでいってしまったんw  


minion @minion_strife 
八千代さんがんばってほしい。   





※Twitter上の、文章中に「3D小説」を含むツイートを転載させていただいております。
お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント(  @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。
なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。
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