ベル、とオレは、口には出さずに呟く。
「アレクサンダー・グラハム・ベル?」
「おそらく、彼からとった名前なんでしょうね。はっきりとはわからない。それは、ベルの物語と呼ばれている」
「それも、プレゼントなんですか?」
ニールの足跡や、ドイルの書き置きに似た名前だ。
「ええ。まだ確認されていない、最後のプレゼント。センセイが初めて、センセイ自身のために用意したプレゼント」
「それを、貴女が護ろうとしている?」
「ええ」
「正体も知らないまま」
「そうよ」
ノイマンは深呼吸のように、細く長く息を吐き出した。
彼女はオレの向かいのチェアを引き、腰を下ろす。
「私たちはゲーム盤の上に並ぶ駒のようなものよ。そのマス目にいる意味を理解してはいない。ただプレイヤーの指示に従って、ルール通りに機能するだけ」
プレイヤー。
その言葉から、連想したものがあった。
ノイマンが笑う。
「貴方の想像通りよ」
「え?」
「プレイヤーの一方は、ソルと呼ばれる」
息を飲んだ。
――どうして、その言葉を知っているんだ?
ソルについては、ファーブルも知らなかった。ソルは、聖夜協会とは関係のない存在だと思っていた。
オレは首を振って、無理やりに平静を保つ。
「一方というのは、どういうことですか?」
「ゲームは対戦相手がいなければ成立しないでしょう」
「ソルは、誰と戦っているんです?」
「だれだと思う?」
「センセイ」
そこに該当する人物を、ほかには思い当らなかった。
でもノイマンは首を振る。
「いいえ。おそらく、そうではない。センセイは場所を譲っただけ。自分では勝てない相手と、ソルを向き合わせるために」
センセイでは、勝てなかった相手?
なんだ。それは、誰だ?
ノイマンは続ける。
「これは、私の予想でしかない。ただの駒には、ボードの外のことはわからない。私たちはチェスのように、2色に塗り分けられているわけでもない。どの駒がどう機能しているのかもわからない」
オレは息をとめて、ほんの短い時間、目を閉じる。
また開いて、言った。
「そんなの、どうでもいいことだ」
誰と誰が争っていようが、知ったことじゃない。
「オレはみさきをみつけないといけないんだ。あんたが知らないのなら、別の聖夜協会員に会いに行くだけです」
「どうやって?」
わからない。
「貴女を誘拐したら、誰かは追いかけてきてくれるかな?」
「もっと手っ取り早い方法があるわ」
ノイマンはテーブルに右ひじをついた。拳の上に顎を載せる。
「私はあの子の居場所を知らない。でも、貴方がそれを知る方法には、心当たりがある」
オレは首を傾げる。
「協力してくれるんですか?」
「協力というのは、少し違うわね。私の目的と貴方の目的が、今この時だけ、たまたま噛み合っているだけ。私が出す条件をクリアできれば、より詳しく事情を知っている人物に会わせてあげる」
「条件?」
とオレは聞き返す。
ノイマンは笑った。
「貴方、ちょっと異世界まで行ってきなさい」
――To be continued
翔衣@だかい @shoi0920 2014-08-21 22:02:57
ノイマン軽いwww
ナンジュリツカ@(有)ギルベルト・警備員 @nandina_citrus 2014-08-21 22:01:43
マジで飛ばされたよ久瀬くんwww
しゅんまお@くま @konkon4696 2014-08-21 22:01:44
よくよく考えたら、ソルが小説内の人物と干渉出来たのって、色々あるけど愛媛の愛情100%はノイマンのパソコンからだし、ツイッターもノイマンのスマホからなんだよなあ
ゲームも作ったのはノイマンだし
子泣き中将@優とユウカの背後さん @conaki_pbw 2014-08-21 22:05:48
bellという物語、その場所を守るのが100の謎。これを設定したのがセンセイ…でいいのかな?そしてソルはその物語をハッピーエンドに導こうとしてる…じゃあ対戦相手が目指す物は?
ヴァニシング☆コウリョウ @kouryou0320 2014-08-21 22:02:09
我々は一体何と戦ってるんですかー!!
よもぎ @hana87kko 2014-08-21 22:05:22
とべこんー!!!?!?
ちょくし@平常時 @DodoRoku 2014-08-21 22:05:11
次の更新はきっとワープ後、かなあ・・
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