「なるほど」
と、窓の向こうのオレは言った。
「もう一体、ドッペルがでる可能性があるなら、サクラをつれていくわけにもいかないか」
それに、みさきとちえりによく似た少女――サクラが答える。
「いえ。私は、お姉さまを捜すのは、私の目的ですから。すべてお任せするわけにはいきません」
「でも危ないらしいぜ?」
「要するに、後ろを振り返らずに、お互いの背後にいるドッペルゲンガーに粉を振りかければいいんでしょう?」
窓の向こうのオレとサクラは、しばらく議論していたが、それで話がまとまったようだった。
※
まずはオレが、部屋に入る。
沢山の衣装や化粧品の置かれた部屋だ。確かに、入り口のすぐ脇に、鏡がある。
オレはゆっくりとそれに近づき、鏡に映らないよう、慎重に屈み込む。
そのまま、懐からなにか、首飾りのようなもを取り出した。
――なるほど。映らないように、鏡を割るつもりか。
屈み込んだまま、オレはチェーンの部分を握り、ふっと首飾りを振る。
だが、その首飾りは鏡の表面でかん、と軽い音をたてただけだった。
「クゼさん、出てます!」
と扉の前から部屋を覗き込んでいたサクラが言った。
腕が映ったのか、それとも持ち物が映るだけでもアウトなのか、オレの後ろにも、もうひとりのオレがいた。
――ドッペルゲンガー。
それがなんなのか、ぼんやりとは知っていた。自分とまったく同じ姿の、魔物かなにかで、出会うと近々死ぬといわれている。
緊迫した状況なのだろうが、自分がふたり並んで、情けない姿勢で鏡の前にしゃがみ込んでいるのは、どちらかとえば間が抜けてみえた。
何かの気配を感じたのだろう、オレは背後を振り返ろうとしたようだったが、すぐに思い留まる。
そっとオレは立ち上がり、ゆっくりと部屋の奥へと進んでいく。
「2番目の作戦ですね!」
そしてサクラが、部屋に入る。
彼女も鏡の前を通った。
――だが。
なにも、おこらない?
サクラはひとりだけだ。彼女は声を上げる。
「クゼさん! たぶん、大丈夫です! 私にはドッペルゲンガーは出てきません」
気にしすぎだったか。ドッペルゲンガーは1体しかでないのか、それともサクラがなにか特別なのか。
「よし」
と安心した風に、オレは言った。
※
オレが壁際でじっとしていれば、サクラは自由に部屋の中を動き回れるようだった。
「えい」
と掛け声をかけて、サクラがドッペルゲンガーに白い粉を振りかける。
直後、なにか巨大な管楽器のような、重たい音の悲鳴をドッペルゲンガーが上げる。
――粉は効いたようだ。
ドッペルゲンガーの姿が霞み、掻き消えた。
その直後、今度は小さな、高い音がきこえた。
部屋の入口にあった鏡が割れている。
そのガラスの中に、紙片が1枚、落ちているのがみえた。
そのガラスの中に、紙片が1枚、落ちているのがみえた。
子泣き少将@優とユウカの背後さん @conaki_pbw 2014-08-16 01:45:16
行けたか!
リコリス@単冠湾泊地 @lycoris_alice05 2014-08-16 01:42:15
@sol_3d これはサクラ、人間じゃねえなー
ドックしぃ@3D小説参加inソル @shixi_inuinu 2014-08-16 01:42:45
目隠しすればドッペルと向き合って粉かけるって方法がありそうって思いついた
かめ@kameaaa32 @kameaaa32 2014-08-16 01:41:28
お? 紙?
seiruforto @seiruforto 2014-08-16 01:44:35
紙はよ
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