久瀬視点
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 アナウンスが告げる。
 ――次は青と紫の節、9番目の陰の日です。
 窓の外にみえるオレは、あのリアルすぎて嘘みたいなドラゴンに背を向けて、一心不乱に逃げていた。
 その光景をみて、オレはまず希望を感じた。
 ――持っている。
 バスの窓の外にみえる、未来のオレは、手に持ったスマートフォンを横向きにして覗き込んでいる。
 ――オレは、あれを取り戻すんだ。
 現実がこのまま進むと、きっとそうなる。
 このまま。
 ――八千代が血を流した先で?
 それは正しいことなのだろうか? わからない。
 ともかく窓の向こうのオレは、スマートフォンをポケットにしまい、ドラゴンに背を向けて走る。腰から妙に豪華な装飾の施された剣を抜く。
 それで、向かって左手の扉を斬りつけた。
 剣の破片が舞う。それは根元から折れてしまったようだった。扉は? すっぱりと下半分が切り取られている。オレに一発で扉を斬れるような技術はないから、剣が凄いのだろうか?
 オレは這いつくばるようにしてその扉の穴を抜け、隣の部屋に移動する。

       ※

 次に流れてきた景色は、風景が違っていた。
 斬った扉の向こうだろうか。暗い部屋にオレはいた。
 埃っぽい部屋。あまり周囲の様子もわからないが、あちこちに木箱が積み上がっているようだった。
 部屋の中のオレからみて、左手の方向に次の扉がある。でもオレはそちらには向かわない。なにをすべきなのかを知っているようだった。
 迷いもなく扉の前におかれたテーブルを迂回し、部屋の奥へと進む。ドラゴンはまだオレを食うことを諦めていないようだ。どん、どんと奴が扉に体当たりをする音が聞こえる。切り取った扉の穴から、鋭利な爪が生えた奴の足がみえる。
 オレは部屋の右奥の、戸棚の上に置かれた、みっつのボトルの前に立つ。そのうちのひとつ――赤いボトルをひっつかんで、テーブルまで引き換えした。ボトルには栓がされていなかったのか、なにかの拍子で取れたのか、口から液体が飛び出てオレの頬に付着する。オレは顔をしかめている。
 オレはテーブルの上に、ボトルを置いた。
 その直後だった。
 木製の扉がくだけ、破片がまった。
 ドラゴンの、大きく硬い塊みたいな叫び声がきこえる。それだけでオレは、何歩かよろめいたようだった。
 ――おいおい、大丈夫なのかよ。
 窓の向こうのオレは、じっとドラゴンをみつめている。
 ドラゴンは、よろめくような足取りでゆっくりと、オレに近づく。
 ――いや、違う。
 そいつが興味を示したのは、テーブルの上の赤いボトルだった。
 なんだか犬やネコのような動作で、くんくんと何度かその香りをかぎ、それからボトルを丸のみにした。
 直後。
 ドラゴンはその巨体を丸め、その場にうずくまる。
 ――眠った?
 あんな、どでかい生き物が? なにか強力な睡眠剤でも入っているのだろうか。
 窓の向こうのオレはまるで、そうなることを知っていたようだった。それでも安堵の息を漏らして、またスマートフォンを取り出した。
読者の反応

MIRO @MobileHackerz 2014-08-09 00:21:31
@tos おおおおお、ドラゴン抜けてる!!!!  


煙@制作者派 @smoke_pop 2014-08-09 00:27:26
今回の夢にはすでにリアルタイムな攻略本のデータが反映されてるのか…これは助かる  


鬼村優作 @captain_akasaka 2014-08-09 00:20:59
よかった!つたわってる!!  


aranagi@静岡ソル @arng_sol 2014-08-09 00:23:05
しっかりゲーム攻略してるww良いぞww  


極端P@3D小説楽曲担当班 @Piri_dm_ 2014-08-09 00:22:17
シロクロサーガのURLが503になってますね。
 

光輝@oculus泥酔 @koukiwf 2014-08-09 00:22:19
まじだ、公式サイトも落ちてるw
そんな中ドラゴンに酒まで飲ませたねぇ 


Jill@Sol軍事班 @Noirfennec 2014-08-09 00:27:32
鯖復帰したー





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