車は何度か信号で停まったようだった。そのたびに、私はケーブルを引こうと考えたけれど、躊躇っているあいだにまた走り出してしまった。どうして。やるしかないのに。緊張して、身体がすんなりと動いてくれない。
そうしているうちに、ずいぶん時間が経ったように思う。
私は車が、今までとは違う動きをしたのを感じた。僅かに左に寄って、エンジンを切ったのだ。
――目的地についた?
ぞくりとした。ためらいすぎた。
だが、ドアを開く音がしない。眼鏡は車から降りない。
今しかないと思った。これ以上、一秒だってここにはいたくなかった。
私はあらかじめ位置を探っておいたケーブルを掴んで、引っ張る。
しかし、すぐにおかしいと気づいた。
開かない。
引っ張りきれていないのだろうか? 力が足りないのだろうか?
急速に、手に汗が滲みはじめる。焦っているのが自分でもわかる。身体が上手く動かない。
運転席から、眼鏡の声が聞こえる。
――なにをしている? どうしてこなかった?
電話を掛けているのだとわかった。不機嫌そうな声。
――携帯はいつも持ち歩けと言っているだろう。すぐに連絡をよこせ。
留守番電話、だろうか? 今しかない。今しかないのに、どうして。トランクは開かない。緊張のあまり、耳の奥が熱く感じた。
眼鏡の声が、ドイル、と言った。それが眼鏡を苛立たせている人物の名だろう。ドイルさん。誰かは知らないけれど、頼むから今すぐ電話に出て、と願う。少しでも私のチャンスを伸ばして、と祈る。
だが、眼鏡が「くそ」と毒つく声がきこえて、再び車のエンジンがかかった。
絶望的な気分だった。
――もしも。
もしもドイルという人が、眼鏡に電話をかけてくれれば、再び私にチャンスが生まれるかもしれない。
今はそんな、ささやかな可能性にすがることしかできなかった。
おおば @hdjjkhkl
ニコ生、画面のスマホに050-315-96797から着信
極端P@3D小説楽曲参加 @Piri_dm_
着信アリ
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■現地組(新大阪)
ナンジュリツカ@(有)ギルベルト・警備員 @nandina_citrus
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マンション前なう。
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