いったいどれくいだろう? ずいぶん長い時間、私はカウントダウンタイマーの赤い数字をみつめていた。
なにも考えられなかった。
でも、いつまでもショックを受けているわけにもいかない。
私は息を止める。両手でぱん、と頬を叩く。
とにかく、できることをみつけなければならない。部屋の中を見渡す。
目についたのは、やはりノートPCだった。
――まさか、こんなことでどうにかなるはずもないけれど。
床であぐらをかき、足の上にノートPCを乗せる。ブラウザの検索バーに「警察」と打ちんだ。「インターネットに接続されていません」だとか、「このページは表示できません」だとか、そういったエラーメッセージが表示されるだろうと思っていた。
だがエンターを押すと、小さなウィンドウが飛び出た。どうやらパスワードの入力を求められているようだ。右上の終了ボタンでウィンドウを閉じる。モニターではまだボーカロイド動画がリピート再生されている。
次に私は、F5キーを使って、ページをリロードしてみた。その作業は簡単に成功する。ほんの一瞬、まばたきのように画面がホワイトアウトして、また同じページが表示される。
――インターネットには、接続されている?
画面の真ん中の再生ボタンを押すと、また動画が流れ始めた。クレジットのあとで曲のタイトルが画面に現れる。
『少年ヒーロー』
馬鹿みたいなタイトルだ、と思った。でもその率直さは嫌いではない。
二分割された画面の左側に女の子が、右側に男の子が表示される。女の子はどこか落ち込んだ様子で座り込んでいる。男の子は夜の街並みを走り抜けていく。疾走感のあるメロディーで、よくわからない歌詞が流れていく。
――そして。
画面の上を流れていくコメントに、息を呑んだ。
そこにはいくつもの、私の名前が並んでいた。そのコメントたちは、私がここに書き込むことを求めているようだった。
――なに、これ?
正直なところ、まず感じたのは恐怖だった。
いきなり誘拐されて、爆弾があって、知らない動画に自分の名前が流れていて。
いったい、なにが起こっているのか、理解できなかった。
――でも。
私は息を呑む。
――こんな状況なんだから、動かないと、どうにもならないじゃない。
私には2つの魔法がある。
キーホルダーを握りしめる。久瀬くんは、来てくれたのだ。
そして、もうひとつの魔法が、目の前を流れていく。
佐倉さん! これも取材 ですよ!!
息を吸って、吐いて。
私は、キーボードを叩いた。
ミチル @michiru_5q 2014-07-25 18:13:39
佐倉さんからコメントが?
てそらさん@ただいま @bluewind_aoi 2014-07-25 18:14:54
あ、佐倉ちゃん(仮)からのコメ来た
木庭さんいました @kbmkt_ 2014-07-25 18:16:07
動ききたな ッシャ
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