3D小説「bell」本編

■佐倉みさき/7月25日/18時10分

2014/07/25 18:10 投稿

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  • bell本文07月25日
佐倉視点
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 いったいどれくいだろう? ずいぶん長い時間、私はカウントダウンタイマーの赤い数字をみつめていた。
 なにも考えられなかった。
 でも、いつまでもショックを受けているわけにもいかない。
 私は息を止める。両手でぱん、と頬を叩く。
 とにかく、できることをみつけなければならない。部屋の中を見渡す。
 目についたのは、やはりノートPCだった。
 ――まさか、こんなことでどうにかなるはずもないけれど。
 床であぐらをかき、足の上にノートPCを乗せる。ブラウザの検索バーに「警察」と打ちんだ。「インターネットに接続されていません」だとか、「このページは表示できません」だとか、そういったエラーメッセージが表示されるだろうと思っていた。
 だがエンターを押すと、小さなウィンドウが飛び出た。どうやらパスワードの入力を求められているようだ。右上の終了ボタンでウィンドウを閉じる。モニターではまだボーカロイド動画がリピート再生されている。
 次に私は、F5キーを使って、ページをリロードしてみた。その作業は簡単に成功する。ほんの一瞬、まばたきのように画面がホワイトアウトして、また同じページが表示される。
 ――インターネットには、接続されている?
 画面の真ん中の再生ボタンを押すと、また動画が流れ始めた。クレジットのあとで曲のタイトルが画面に現れる。

『少年ヒーロー』

 馬鹿みたいなタイトルだ、と思った。でもその率直さは嫌いではない。
 二分割された画面の左側に女の子が、右側に男の子が表示される。女の子はどこか落ち込んだ様子で座り込んでいる。男の子は夜の街並みを走り抜けていく。疾走感のあるメロディーで、よくわからない歌詞が流れていく。
 ――そして。
 画面の上を流れていくコメントに、息を呑んだ。
 そこにはいくつもの、私の名前が並んでいた。そのコメントたちは、私がここに書き込むことを求めているようだった。
 ――なに、これ?
 正直なところ、まず感じたのは恐怖だった。
 いきなり誘拐されて、爆弾があって、知らない動画に自分の名前が流れていて。
 いったい、なにが起こっているのか、理解できなかった。
 ――でも。
 私は息を呑む。
 ――こんな状況なんだから、動かないと、どうにもならないじゃない。
 私には2つの魔法がある。
 キーホルダーを握りしめる。久瀬くんは、来てくれたのだ。
 そして、もうひとつの魔法が、目の前を流れていく。

 佐倉さん! これも取材  ですよ!! 

 息を吸って、吐いて。
 私は、キーボードを叩いた。
読者の反応

ミチル @michiru_5q 2014-07-25 18:13:39
佐倉さんからコメントが? 


てそらさん@ただいま @bluewind_aoi 2014-07-25 18:14:54
あ、佐倉ちゃん(仮)からのコメ来た 


木庭さんいました @kbmkt_ 2014-07-25 18:16:07
 動ききたな ッシャ





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