昭和43号 のコメント

木蘭さんのトンデモ見聞録を拝読しました。

神社本庁の名称については、朝日新聞社の藤生(ふじう)明記者の『徹底検証 神社本庁』に経緯が書かれています。それによると、終戦直後にGHQによる神社制度の解体を警戒した葦津珍彦が、神社本庁に統合される三団体の代表を集めた会合で「全国神社連盟を組織する」案を提示しました。
その時の三団体を簡単に紹介します。
 大日本神祇会  神社の民営化を阻止する目的で設立された全国神職会が前身
 皇典講究所   国典研究と神職養成を目的とする國學院大學と日本大学の設立母体
 神宮奉斎会   伊勢神宮の布教部門が分離独立 本院は戦後に東京大神宮として再興

葦津の神社連盟案には皇典講究所と神宮奉斎会が賛成。対する大日本神祇会は、木蘭さんの記事にあるように「中央集権的な神道組織」を指向し神社教案を提出。これを葦津が愚案として激しく批判したため収拾がつかなくなり、調停案の1つとして出されたのが「神祇庁」という名称でした。それが後に「神祇本庁」となり、最終的に「神社本庁」に決まりました。

神祇庁という名称が出てきた経緯が今ひとつ不明ですが、葦津は神社教案を「神祇院(内務省の外局)的色彩が著しく濃厚」と言って批判しました。大日本神祇会には戦前の神社の所管官庁である神祇院に取って代わる意図があり、それが名称に反映されたと思われます。前述の藤生記者も、神祇院が解散した翌日に神社本庁が発足したことを指摘し、神社本庁は神祇院の事実上の後継団体としています。

GHQによって神社どころか皇室さえキャンセルされかねない占領下では、神社本庁は必要だったと思いますが、現在は葦津が危惧していた独占的・強権的な体制になり果てています。今後は葦津の神社連盟案に立ち戻る必要があります。個々の神社の独立性が高まれば女系天皇の支持が増えることも期待されます。(自浄作用はあまり期待できませんが)
神政連も左翼全盛の一時期は必要だったかもしれませんが、本来神社は政治に関わるべきではなく、平成を迎えた時点で解散すべきでした。(利権構造化しているので難しいでしょうがチャンスは今しかないかも)

(オマケ)
調査不足のため推論になりますが、神社本庁は大日本神祇会の組織を直接継承していると考えられます。当初の理事が15人(現在は17人)であることや、全国から選出された神職による評議員会を議決機関とすること、昭和時代の本部事務所が旧全国神職会館であることなどが理由です。

No.51 1ヶ月前

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