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活字プロレス→クラスマガジン→スキャンダル→? 専門誌は今

2016/03/07 12:00 投稿

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  • 激論!巌流島魂
  • 谷川貞治
今週のお題…………「格闘技と専門誌メディア」

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文◎谷川貞治(巌流島・事務局)……………月曜日担当




『巌流島チャンネル』のブロマガ、今週のお題は「格闘技と専門誌マスコミ」です。格闘技の人気バロメーターの一つとして、専門誌の売り上げがあります。信じられないかもしれませんが、私が『格闘技通信』を創刊した30年前(1980年代中盤)は、『ゴング格闘技』『フルコンタクト空手』『ストロング』『リアルファイト』など、実に7誌くらいの専門誌が毎月創刊されていました。しかし、今は『ゴン格』以外は休刊。しかも、もともとの『ゴング格闘技』の版元である日本スポーツ出版や『フルコン』の版元である福昌堂は会社自体、破産しています。

私の学生時代は出版社は憧れの職業であり、まさかゴングや福昌堂がなくなるとは思ってもいませんでした。これは本当に寂しい限りです。『格通』は創刊当時、100,000部も刷っていました。しかも、月2回発行。そんな時代があったのです。もっとも、テレビで格闘技が放送されるようになってから、すでに格闘技専門誌の役割は終わり、違った戦略を打ち立てないと生き残れない時代となっていました。私が活字からテレビに移ったのも、そんな90年代の半ば。それから私は映像主体のマスコミとなり、最終的には興行主であるプロモーターに移っていくのです。

私が憧れた格闘技マスコミは、井上義啓、ターザン山本を代表とする「活字プロレス」の世界です。子供の頃に梶原一騎のスポ根に憧れ、学生時代に村松友視や井上義啓、ターザン山本の世界に傾倒していく。自分でもそんな仕事がしたい、自分の場合はプロレスよりも格闘技志向、でも格闘技の専門誌なんて世の中にない。これは絶対に売れると思うと、大学を卒業して入社したのが、ベースボール・マガジン社でした。あの時代は本当に熱かった。

その「活字プロレス」の崩壊は、ターザン山本編集長の『週プロ』辞任で終わりを告げました。その直前に私もベースボール・マガジン社を退社。テレビの方に移っています。その後の専門誌マスコミを見ると、『週プロ』の浜部編集長の名言「クラスマガジン」の方向に走っていきます。しかし、専門誌はプロレスを含めて、どんどん部数を下げていきました。それは、90年代半ばから、活字から映像の時代に進んでいったことや、活字プロレスを引き継ぐ技量をもった編集者、ライターがいなくなったことも原因にあげられるでしょう。唯一、そういう意識があったのは、『紙のプロレス』くらいか。また、その一方で、『宝島』を代表とする、スキャンダルや暴露記事を売りにする雑誌が売れだしたのも、特徴の一つでした。

活字プロレス・活字格闘技の時代から→クラスマガジン→スキャンダル雑誌と、活字の時代が変化していく一方で、テレビ格闘技も、インターネット・SNSの登場で、全盛期を過ぎ、そのあり方が問われています。活字の人たちもほとんどインターネットに転向。雑誌という紙媒体で生き残っている人はほとんどいません。また、テレビ格闘技の時代はスポーツ紙でもよく格闘技が扱われていましたが、今は東スポ以外、スポーツ紙に格闘技が載ることはなくなっています。K-1時代、記者会見をやれば、その大半がスポーツ紙記者で埋め尽くされていましたが、今はネット系の媒体が数社集まる程度になっています。

しかし、K-1やPRIDEの時代、あるいはグレイシー柔術が出てきた時代、あれほど世間に浸透したのは専門誌マスコミの「言葉」の力、「活字」の力があったからです。いくら衝撃的な映像を見せたとしても、それを説明する「言葉」の説得力がなければ、世間に広まりません。活字プロレス・活字格闘技の言葉の力が基盤にあり、それをテレビ局などが映像で広め、スポーツ紙が後追いし、ファンが語り合う。今の時代で言えばファンがSNSで拡散していく構造がうまく回り出してこそ、格闘技は再び復興していくと言えるでしょう。今、『週刊文春』や『週刊新潮』の記事が、まさにそんな構造で世の中を動かしていますよね。清原やベッキー、甘利大臣、STAP細胞、みんなそんな感じです。

巌流島やRIZINなどの新興格闘技が復興するには、自分たちのソフトをいかに作り上げるかも大切ですが、実はこのマスコミとどう付き合い、プロモーションしてくれるマスコミをどう自分たちの手で作り上げるかにかかっています。そのためには、いかに活字格闘技の論客を自分たちの手で育てられるか?  石井館長はK-1時代、選手の確保より、私やターザン山本の囲い込みに力を注ぎました。その後はフジテレビであり、TBSや日テレ。それが成功の秘密です。もちろん今、格闘技雑誌を出版してもそんなに簡単に売れるわけはないでしょう。『格闘技通信』を今出しても、売れないかもしれないけど、『大武道!』という武道を視点に持てば、活字格闘技がもう一度生きるかもしれない。『大武道!』創刊はそんな実験でもあるのです。

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格闘技が冬の時代を迎えている今、私は格闘技マスコミの衰退がとても気になっています。だから、巌流島でも、マスコミ的手法でいろいろやっていんですが、協力してくれるのは、このブロマガを見ても、ターザン山本、山口日昇、山田英司、田中正志と、みんな50を過ぎたジジイばかり。もっと若い力が欲しいんですよ~~~!!



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コメント

大武道にpha(ふぁ)氏とイケダハヤト氏を迎えて若者の感性を生かしてもらったらどうでしょう。
大武道vol.1がともすれば説教じみた内容に陥りかねない所を救ったのがこの両氏でした。
日本伝統の武道にも今の時代に沿った切り口とアプローチで迫ってくれるのではないかと期待しています。

No.1 99ヶ月前
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