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マンガ界震撼!! 恐るべき新人の登場!! モンキー・チョップ「名勝負数え唄」 感想

2014/04/03 20:00 投稿

コメント:2

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 かつて、北野武とかわぐちかいじの二人が、ビッグコミック誌での対談に於いてこんな会話がありました。
 当時、ビッグコミック誌でかわぐちかいじが連載していた「太陽の黙示録」を例に取り、「映画だとあの日本が割れる場面をCGで作るにはいくら掛かるかわからないが、マンガでは見開き一ページで全てが描ける」と。

 マンガ読みに取り、自らの手で本を持ち、自らの指でページを読み進ませる、あまりにも当たり前になりすぎて忘れさられている感覚を改めて呼び起こす本。この本はそう断言できます。
 ページをめくる度に目にする不条理の数々。いつの間にか読み進めるペースも上がり、そのテンポの良さに魅了され、いつしかこのギャグマンガの虜となる事でしょう。

 今回はモンキー・チョップ処女単行本 「名勝負数え唄」の感想です。
 
 
 冒頭からの数話を初見で見る限り、このマンガ全体のコンセプトは曖昧に映ります。 
 戦国時代を基調とした不条理ギャグマンガですが、作品全体の流れを左右する序盤で散りばめられた作者自身のルーツを知れるネタの数々。
単行本裏にある「今世紀最大のリスペクト&オマージュ」のアオリ文に嘘偽り全く無し!!
この序盤が単行本の成功を決定付けたと言って差し支えありません。

 第五戦 VSマサル回辺りから「ツカミ」の手法が確立され、第九戦 VS師匠と熊で完成を見ます。
 それまでも第五戦 VSマサル、第七戦 VS酔剣と、荒削りながらも際立つギャグの素質がありましたが、この師匠と熊では最初の一ページで「ツカミ」、そして、次のページをめくった時の「間」が実に素晴らしい!!
 
師匠 玄涯田権岩と主人公の片岡新蔵が無言で見つめ合う間と二人の絶妙な距離、この一コマで描かれた空気感は並大抵のマンガでは出せません。
そこからの速射砲が如くのセリフの数々。ページをめくる度に起こる反復の連鎖。
この第九戦 VS師匠と熊で、このマンガは完成を見ます。

 ただの捨てキャラは誰もおらず、一話一話できっちりと仕事する片岡新蔵に対する剣の刺客達。
それだけ話の筋がきっちりと描かれており、第十三戦 VS横綱、玉魁力との戦いでは、親を絡めたエピソード。
第十六戦 VS王白龍では、あの傑作ギャグマンガ「昆虫探偵ヨシダヨシミ」でお馴染みの青空大地が描いたようにそっくりの漁師と心温まる交流。
一話一話のプロットが精密。ここから作者モンキー・チョップ氏の恐ろしい力量が窺えます。

 この作品の最高傑作は、第十九話のVSゴリラ男。これ以外には考えられません。
初連載のモンキー・チョップ氏がこの作品で培い、自身のルーツと共に全てがここに詰め込まれています。

 冒頭一ページから連なり、この回全てが反復の数々。
片岡新蔵に対しゴリラ男が期待に反し失敗する光景は、正にフロイトの「失錯行為」そのもの。
これでもかこれでもかと続くゴリラ男の失錯行為は、数多くの笑いを取る事に成功しています。

 このゴリラ男には片岡新蔵を必ずや倒すという確固たる意思が冒頭の一ページに描かれ、当初は対片岡新蔵への純粋なる行動が失錯行為。
失錯行為が繰り替えされ、徐々に取り返しがつかなくなるゴリラ男。
これは自分自身ではどうしようも出来ない無意識的行動で、人間の本質を巧に突く事にも成功しています。

 徹底されたコピー&ペーストはまるで筒井康隆の「ダンシング・ヴァニティ」を見るよう。
しかし、ここで描かれた原稿は、一度ベースとして書いた原稿をそのままコピーする手抜きではなく、自らの手で敢えてコピー&ペーストするという、血の通った原稿となっています。
こういう手を抜かない姿勢はプロの仕事です。

 その後、ドラゴンボールやシグルイ等、リスペクト&オマージュが続きますが、このギャグマンガ史上に残る最高傑作 VSゴリラ男には届きません。
 これを潔く一巻完結とした姿勢は正しいでしょう。これ以上はネタ切れの感がありました。

 
 これまで戦国時代の不条理ギャグマンガベスト1は、かつてモーニングで連載していた桝田道也の「朝倉家騒動記」でしたが、久々にそれを塗り替えるベスト・オブ・ベスト。
これ程のマンガはそうは出ないでしょう。今年度のベストと言ってもいいでしょう。


 「剣の世界には 歴史に埋もれた名勝負が存在する!!」
このまま歴史に埋めた方がいいですよ、こんなもん。

コメント

闇佐藤
No.1 (2014/04/04 03:00)
こりゃあ平成の風雲児誕生やな…Σ(´□`;)
…忙しくなりそうだ(’-’*)♪
おやかた (著者)
No.2 (2014/04/04 14:30)
買えよコノヤロー!!

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