ゾロゾロとパッション

むかしばなし 1

2020/04/06 00:00 投稿

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合同会社パッションプレイというのは、2019年に設立した会社だけど、そのずっと前から有限会社パッションプレイというのがあったんですわ。ここでの活動が長いわけだけど、その設立前から振り返っておこうかと思います。

もともと池ヶ谷は大学の漫画研究会にいて、そこでマンガ絡みのバイトとかもらっていました。漫研バイトの主力は似顔絵描き。同期にはプロの似顔絵師になったのもいるくらい。自分は得意ではなかったので、ポチポチとあるそれ以外を中心に受けてたわけです。

ここで現在の仕事にもつながる依頼が届いたのですよ。学研(当時は学習研究社、いろいろめんどうなので学研で通します)の高校雑誌編集部からで、マンガ学習参考書をいくつかの大学漫研に描いてもらうので、早稲田の漫研も乗ってほしい、と。マンガそのものを描いてほしいというバイト依頼自体が珍しい。もちろん、ほいほいと乗りました。まるまる一冊を同期の部員と手分けして描いたわけです。ちなみに化学。メンバーには同期で現在はアニメの監督として活躍中の岡村天斎もいたので、発掘されれば貴重品。

今でこそマンガ学習参考書は普通の存在ですが、当時はほぼ初めての試み。参考書でマンガなんて、という論争もあったようです。まだ部数も見込めないから、学生に描かせて原稿料を抑えたのかもですね。

さて、このときのメンバーでアニメも自主制作したりしました。もちろん、メインは岡村監督。圧倒的な画力とスピードでキャラクターデザインからなにからワンランク上のものを作っていくわけですよ、彼は。我々も数カットずつヒーヒー言いながら描きましたし、一所懸命トレスしてセルに色塗りました。岡村監督の作業に比べると猫の手レベルでした。が、結局壮大な『予告編』ができただけでした。昨年、仲間うちで8ミリからテレシネしたものを見直して盛り上がりました。

少しして岡村監督は単独で一本、手描き+一部セルというスタイルで短編アニメを自主制作しました。そそのほか、同人大会のオープニングアニメ用の作画もしていましたが、あれは完成したかどうか不明です。プロ入り前からかなりやっていたわけですね。

岡村に触れたのでついでにもう一人。小説家の吉岡平も漫研同期です。入部直後、やたらと濃い自作マンガを見せてくる男でした。その後、在学中に映画の小説化をほどよくこなして小説家への道を拓いていきました。彼の武器は執筆スピード。当時はPCどころかワープロもない時代です。彼は原稿用紙を100数十枚、一晩で書き飛ばします。自分も手伝いに呼ばれました。吉岡が猛スピードで書き上げるので、少なからずある誤字脱字や用語の間違いなどを確認する仕事。貴重な体験だったかも。

自分はというと、3年あたりから同人誌制作をするようになりました。もともと漫研は『早稲田漫』という部誌う作っているのですが、それとは別に。漫研では曜日ごとにゼミ形式の勉強会を開いていて、それぞれに異なるテーマで漫画を描いていたんです。月曜日のヒトコマ漫画ゼミは必修でしたが、それ以外は有志が独自に開催しました。で、自分が開いていたストーリー漫画のゼミで同人誌を作ったわけです。それをコミケや東京文芸の即売会で売ってました。先程の岡村監督の個人誌も作ったんですよね。掘り出したら表紙くらいはアップします。

漫画家のアシスタント案件なんてのもたまにありまして、卒業した先輩たちからの要請もあったりしますが、自分はたまたま外部から呼ばれました。高橋葉介先生のお手伝いに何回かお邪魔しました。ファンだったこともあって、喜んで行きましたよ。アシスタントは末席の自分を入れて3人。本棚にはクトゥルー神話が並んでましたが、『赤毛のアン』のセル画が飾ってあったりして明るい仕事場でした。たけしのオールナイトを録音したテープを聞きながら、スクリーントーンを貼りました。参加したのは『海から来たドール』と『夢幻紳士-怪奇編』です。

この頃、6月生まれの3人で一戸建ての1階を借りて住んでいて、スタジオ・ジェミニと名乗っていた時代があります。下落合で並びに赤塚不二夫のフジオ・プロがあったんですよね。特におつきあいはありませんでしたが、飼い猫の菊千代さまのご訪問は何度かありました。もちろん、菊千代さまに失礼がないように控えましたよ。たまり場でもあったので、まあいろいろありました。最後は4年生の冬、卒業寸前に火事になって燃えてしまったくらい、いろいろ。

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池ヶ谷崇志

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