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【趣味の再生園芸】世界一汚いビオトープ

2014/01/16 23:46 投稿

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ビオトープという言葉があります。
生物社会の生息空間」という意味で、もっと砕いていうと生態系が保たれる空間という事。
生態系が生物を主体に見ているものであるのに対して、ビオトープは生物が生息する空間を指すという点で区別されるとかなんとか。
しかしよく使われる場面では、この意味ではなく「人工的に用意した、自然サイクルが成り立つ環境」として用いられることが多いようです。
この場合、人が用意するのはあくまで土台。その土台の上で循環する生物間の連鎖は極力人の手が入らず、生物や天候など自然任せ。
その状態でも成り立つ人工的な自然環境がよく用いられる場合のビオトープ。

最も成功した例は明治神宮の森ではないかと思います。当時の構想、すごいですよ。
最初のちょっとの間だけ人の手が入るものの、それ以降はほぼ自然任せ。森林の遷移まで構想の中に入れて、およそ百年で完成、というか安定期になってもらうという計画。
生態学など全然知られていなかった時代に自然が自然のままに変化し、生物相がその変化に順応しながら緩やかに遷移していくのだということを、学問としてではなく知識として知っていた当時の計画立案者の方々は大変聡明であったのだろうと思います。

また学校での自然学習の一環であったり地域の昔ながらの自然復興運動であったり、あるいは個人の趣味のひとつとしてビオトープ作りが行われることもあります。
こっちは知識もないですし、正味な話興味もないので説明は省略します。

なんか前置きがものすっごい長くなりましたが、本題。
うちでは今意図しない形でビオトープが形成されています。前々回紹介した三つの器がそれ。
中でも最も環境豊かなのが佳奈の器。

特色のあるエリアは番号のついた5つ。
これが佳奈の器。
①~⑤まで番号をふってありますが、それらがそれぞれ他と違う特異な環境となっています。
まず①。

石のないやや広い地域。活性汚泥が堆積する。
ここは活性汚泥堆積帯
厚さ2cmにもなる活性汚泥の溜り場で、種類も量も最も多くの生物が生息している地域です。
表層には藍藻や珪藻を中心とする光合成生物が、低層には硫化水素メタンを生成する微生物が生息しています。
またミミズ線虫などの動物も多数生息しており、生産者、消費者、分解者が密接に係わりあう器の中で最も豊かな環境を形成しています。
自然でいえば干潟に近い環境といえるかもしれません。

石が並ぶ地域。水の流れる空間は狭い。
続いて②、積石地帯
ここはいわば
石が並んでおり、水遣りの際には石にぶつかりながら速く複雑な流れで水が通っていきます。
そのため活性汚泥は底の窪んだところに残るのみで、バイオフィルムも器の縁にわずかに張り付くのみ。
二番目に生物相が貧困な地域です。










写真では分からないが、
たくさんの気泡によって浮かび上がっている。

次は③。バイオフィルムの天幕
ここは最もバイオフィルムが発達した地域で、二つの石と器の縁にまたがるバイオフィルムが全面を覆っています。
バイオフィルムは通常底面に張り付くように発生するのですが、ここのは少し違っていて、石の縁に発生したバイオフィルムが流動性の高い活性汚泥の上で発達した結果、発生地点だけしか張り付くことが出来ず一枚の膜として周囲から半ば独立する形になってしまいました。
そのため内部の微生物が酸素などの気泡を作ると、それによってプカプカと浮いて水面を覆ってしまうのです。
その下には活性汚泥があるのですが、光合成ができないせいか堆積帯に比べて膨張速度は非常に遅く、天幕との間には水の空間が深く横たわっています。










最後は同時に二つの地域。
上が④、下が⑤

そして④。湿原予定地
ここは苔が生えています。
元々は佳奈たちの大元の株に貼り付けていたものですが、その株が萎れた際に、支えに使っていた石の上に苔が乗っかってこのような状態に。
この苔は種類不明ですが、先端付近だけ緑色で、そこより下は黒茶色に染まっています。その部分の組織は死んでいるのかもしれません。
元々は湿り気の強い、しかし水と直接触れることはない土の上に生えていた苔なので、水に耐性がある一方で水浸しの環境はあまり好ましくないらしく、非常にゆっくりとした速度で生長しています。
器の中では有機質を擁する唯一の陸地で分解能も低いため、そのうち、あとン百年も経てば湿地のような姿になる事でしょう。

隣接するのは⑤、毒の地底湖
一見するとただ石があるだけですが、この下は水で満たされています。
単に水で満たされているだけならいいのですが、この器の中には目では追えないほどのゆっくりとした、あるいは活性汚泥の底を滑るように存在する、どちらにせよ見ることの出来ない水流があるらしく、微生物の作り出す生成物がここに流れ着きます。
その中でも最も危険なのが硫化水素
夏の一番暑い時期と冬の一番寒い時期、この二つの時期に蓋をしている石をどけてしまうと、鼻をぶん殴る強烈な硫化水素の臭いが漂います。
といってもごく微量なので、鼻を近づけなければ気にはなりませんし、換気してしまえばすぐに消えてしまう程度です。
しかし一度意識を刈り取られかけたこともあり、なるべく開けないようにしています。
二つの時期以外でも普段から硫化水素は水に溶け込んでいるらしく、生物にとって過酷過ぎるここは最も生物相が貧困な地域です。

なんかすごい長い記事になってしまいましたね。
しかも後半になるほど説明がどんどん長くなっていって……
最後にちょっとだけ。

周囲には苔は存在しない。なぜここに…?
これは活性汚泥堆積帯の一部。上の写真では左端のセリが生えているところの下。
苔が発生しました。
おそらく湿地予定地のと同じ種類。というよりはそこから伸びてきた苔。
しかし湿地とは直線距離で3cmも離れており、その途中には苔は全く生えておりません。
どうやってここに発生したのかまったくわかりません。
どうして、なぜと思いますが、同時にこの苔が今後どの様になっていくのかも気になります。
それによっては堆積帯の環境が一変してしまうかもしれません。楽しみです。

干潟、川、湿原、地底湖、そして蓋(?)。
様々な環境が同居し相互に作用しあって一つの大きな環境を作り出し、育て合う
ここはそんな小さなビオトープなのです。

はい、では長くなってしまいましたが、今回はこの辺で。
ではでは。

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