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日本郵政がゆうちょ銀株で巨額減損リスク、過去最大の2兆9000億円規模

2019/10/26 04:53 投稿

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Photo:JIJI

日本郵政が巨額の減損リスクを抱えている。その規模は約2兆9000億円。爆弾の火元は傘下のゆうちょ銀行株式だ。破裂すれば、国内企業で過去最大級の減損額となり、日本郵政が配当の一義的な原資に充てる利益剰余金は吹き飛ぶ。将来の配当政策だけでなく、来年以降の政府が保有する株式の第3次売り出しや、その売却資金を当てにした復興財源にも影響を及ぼしかねない。

株価866円で強制減損ポイントにタッチ

「恐ろしすぎて、誰も口に出せない」――。ある国内運用会社のファンドマネジャーは小声で打ち明けた。市場関係者の間でひそかに広がっている不安の源が、日本郵政の巨額減損リスクだ。

 日本郵政は、ゆうちょ銀行の発行済み株式(自己株式を除く)の89%を保有しており、有価証券報告書によると、日本郵政単体のバランスシート(貸借対照表、BS)に計上している簿価は総額5兆7800億円に上る。日本郵政は1株当たりの簿価を開示していないが、簿価総額を保有株式数(33億3700万株)で割ると1732円。会計ルールでは、簿価の50%以下にまで下落すると事実上の強制減損になるため、仮に株価が簿価の半値である866円となった場合、5兆7800億円の半分の約2兆8900億円が吹っ飛ぶことになる。

ゆうちょ銀の株価は、世界的な金利低下の流れが嫌気され、5月に1200円を割り込んだ。その後も下がり続け、年初来安値は8月26日に付けた947円。足元では1000円近辺で推移している。2015年11月に持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀、かんぽ生命保険の3社が同時上場した際の初値1680円を約4割下回る低空飛行だ。

 10月24日の終値は1071円で、強制減損のポイントまでは少し距離があるように見える。しかし、一度は947円まで下げているだけに、「日銀のマイナス金利の深掘りなど、何かショックがあれば到達してもおかしくない水準」と、ある銀行アナリストは分析する。日本企業として過去最大規模の減損損失計上は決して絵空事ではない。

減損回避には「株価の回復の見込み」が問われる

ゆうちょ銀の株価は、世界的な金利低下の流れが嫌気され、5月に1200円を割り込んだ。その後も下がり続け、年初来安値は8月26日に付けた947円。足元では1000円近辺で推移している。2015年11月に持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀、かんぽ生命保険の3社が同時上場した際の初値1680円を約4割下回る低空飛行だ。

 10月24日の終値は1071円で、強制減損のポイントまでは少し距離があるように見える。しかし、一度は947円まで下げているだけに、「日銀のマイナス金利の深掘りなど、何かショックがあれば到達してもおかしくない水準」と、ある銀行アナリストは分析する。日本企業として過去最大規模の減損損失計上は決して絵空事ではない。

減損回避には「株価の回復の見込み」が問われる

 もちろん、ワンタッチで減損ポイントにヒットしたからといって必ず損失計上しなければならないというわけではない。減損が必要かどうかは、時価が1年以内にほぼ簿価の水準まで「回復する見込み」があるかどうか、によるからだ。例えば、会計監査を担当する監査法人に対して回復の見込みを合理的な証拠をもって納得させることができれば、損失計上を免れることも可能ではある。どの時点の株価を基準にするのかについても「1カ月の平均」や「9月末や3月末などの期末の終値」など、企業が設けた減損処理の内部ルールが適用される余地もある。

 もっとも、強制減損による損失が発生したとしても日本郵政の連結決算には反映されない。連結BSにはゆうちょ銀が保有する資産・負債が計上されているだけで、ゆうちょ銀の株式が載っているわけではないからだ。どれだけ巨額減損を出したとしても、影響はあくまで単体決算にとどまることになる。このため「純粋持ち株会社の単体決算の損益計算書(PL)上の損失にどれだけ意味があるのか」(金融当局幹部)との見解も出る。

利益剰余金は瞬間蒸発

 だが、配当という観点で見たら、そんなことを言っていられない苦境も、一方で浮かび上がる。

 というのも、会社法上、株主に対する配当は、単体で原資となる分配可能額(配当可能利益)を確保しておかなければならないためだ。日本郵政の場合(19年3月末期)、配当に回せるのは、まず一義的な原資としての利益剰余金が7685億円だ。強制減損に追い込まれれば、この利益剰余金は“瞬間蒸発”してしまい、年間の配当総額約2000億円の原資は枯渇する。もちろん、会社法上は、「その他資本剰余金」を配当に回すことも可能だ。日本郵政のその金額は3兆6300億円に達するため、資本金や資本準備金の取り崩しに頼らずとも配当に回すことができる。

 しかし、「配当は一義的には利益剰余金から出すべき。資本剰余金から出すときはやむにやまれない場合だけ」(大手銀行のCFO〈最高財務責任者〉経験者)とされる中で、日本郵政が資本剰余金から配当を捻出するとなれば、将来の配当の「確からしさ」に疑念が生じかねない。

 さらに、日本郵政の株主にとってみると、税務上の手続きが煩雑になる可能性もある。通常の利益剰余金からの配当であれば「配当所得」として源泉徴収されるが、資本剰余金からの配当の場合は、資本の払い戻しとなり、「譲渡所得」の扱いになる。株主は自分で損益を計算して確定申告をするのが原則となる。税務上の取り扱いが異なるだけでなく、日本郵政株式の取得価額の調整も必要になる。

 実際、昨年には資本剰余金からの配当について、投資家の確定申告などが適切に処理されなかったケースが発生し、日本証券業協会が上場企業に注意喚起したこともある。

 これまでの2回の売り出しで、財務省や引き受け証券会社はもっぱら個人投資家を念頭に販売戦略を練ってきた。その結果、日本郵政の株主構成は、政府に次いで大きいのがシェア21%を占める個人だ。その数は61万人を超える。

 配当の「確からしさ」に疑念が生じ、加えて、通常の株式配当とは異なる税務上の取り扱いとなって煩わしさが生じる――。証券会社からは「個人株主が果たしてそんな面倒な手続きを受け入れるだろうか」(証券会社役員)との声も漏れる。そうした株式となったら、個人投資家に背を向けられてしまわないか。

日本郵政株式の第3次売り出しへの影響も

 日本郵政の売り出しの行く末は、東日本大震災の復興予算にも影響を与えかねない。

 財務省は保有する日本郵政株式の第3次売り出しに向けて5月に主幹事証券会社を公表。当初は8月にも売却が実施されるとの見方も出ていたが、日本郵政グループのかんぽ生命で勃発した不正販売問題により「売却時期は来年以降にずれ込んだ」(引き受け証券会社幹部)。政府は郵政民営化法に基づいて保有する日本郵政株式を3分の1までに減らさなければならないが、これまでの2回にわたる売却で保有比率は56.9%にまで引き下がっている。最後となる3次売却では23.5%を放出する計画だ。

 ここで問題になるのは、東日本大震災を対象にした復興財源確保法で、日本郵政株の売却収入4兆円がその財源に組み込まれている点だ。2回の売却ですでに2.8兆円は確保しており、残り1.2兆円を調達する算段だが、日本郵政の株価の低迷や、投資家層の需要が盛り上がらなければその目標の達成が危ぶまれることになる。

 市場関係者が声高に日本郵政の減損リスクについて語りたがらないのは、「国の予算に関わるようなテーマを大っぴらにすることで、政府から目を付けられたくない」(運用会社の最高運用責任者)からだ。

 15年に、親子上場の批判を物ともせずに鳴り物入りで上場を果たした日本郵政グループの3社。しかし、現在見えているのは上場子会社の株式保有リスクの顕在化に立ちすくむ日本郵政の姿だ。日本郵政の民営化の道筋が、根源から問い直されるときが早晩やって来るかもしれない。


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