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まさか非核化「ツケ回し」を安易に飲むとは!

2018/06/25 01:14 投稿

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安倍首相は「費用負担は当然」と言うが…

安倍首相は「日本等が負担するのは当然」と言うのだが・・・(写真:ロイター / Joe Skipper)

6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談で、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長は、米朝両国の新しい関係樹立、朝鮮半島の永続的かつ安定した平和体制の構築、4月27日の板門店宣言の再確認と朝鮮半島の完全な非核化、そし朝鮮戦争で戦死した米兵の遺骨回収の4項目について合意した。

その後の会見でトランプ大統領は北朝鮮の非核化の費用について「日韓両国が負担するだろう。彼らは支援しなければならないとわかっている」と述べ、アメリカが北朝鮮の非核化のコストを負担するつもりがないことを明らかにした。

「日本が負担するのは当然」

北朝鮮の核の問題は日本にとっての脅威だが、北朝鮮との交渉に日本は具体的に参加していない。しかも北朝鮮との交渉の前提となる拉致問題については、米朝首脳会談でトランプ大統領によって触れられたものの、解決への道のりはほど遠いのが現状だ。そのような状態で、果たして日本は負担を甘受しなければならないのか。

これについて安倍晋三首相は、6月16日のテレビ番組で以下のように述べている。

「日本の立場は明確だ。非核化を進める上で、IAEA(国際原子力機関)に頑張ってもらわなくてはいけない。かかる費用については、核の脅威がなくなることによって平和の恩恵を被る日本等が負担するのは当然。このお金は北朝鮮に行くわけではない」



では北朝鮮の非核化にはどのくらいの費用が必要になるのか。イギリスのユライゾンSLJキャピタル社が試算したところ、北朝鮮の非核化には10年間で2兆ドル必要との結果が出たという。これは日本円で換算して約220兆円になるが、韓国と折半するとしても、とてつもない巨額な負担になることは間違いない。

しかも日本はすでに、北朝鮮の非核化に巨額の費用を払っている。1994年10月の米朝枠組み合意に基づいて作られた朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)がそれだ。米朝枠組み合意とは、北朝鮮が核拡散防止条約(NTP)締結国にとどまるとともに、IAEAによる核開発の検証や既存および開発中の核施設の稼働凍結・解体を約束する一方で、アメリカは出力1000メガワットの軽水炉2基を供与し、年間50万トンの重油を北朝鮮に供給するというものだった。

だが2002年10月4日、北朝鮮を訪問したジェームズ・ケリー国務次官補(当時)に対して北朝鮮の姜錫柱第一外務次官(当時)が高濃縮ウラン開発計画を宣言。同時に「枠組み合意」の無効を通告した。そして北朝鮮は2003年1月にはNTPからの脱退を宣言し、同年10月には核燃料棒再処理を完了したことを公表。2005年2月には、核兵器の製造に成功したことを発表している。

北朝鮮に請求すべきというのが日本の立場

このように北朝鮮の非核化に失敗したKEDOに対して、日本は国際協力銀行から約473億円の貸付を行い、KEDOが国際協力銀行に支払うべき利息約42億円を負担していた。さらに日本政府としては約4200万ドルを拠出していたが、これらは焦げ付いたままだ。

「国際協力銀行の貸付が焦げ付いた部分は日本政府が補填しているので、すべては税金で賄われている。おそらくは600億円くらいになるのでないか。国民1人あたり500円の負担となる」。外務省条約課長補佐時代にKEDOへの出資金を北朝鮮に請求することについて検証した緒方林太郎前衆議院議員はこう述べる。

「これらの費用は北朝鮮に請求すべきというのが日本の立場だ。しかし実際のところ、当時のアメリカの国内政治情勢などが絡み、なかなか難しい問題だった」(緒方氏)

そもそも、1994年10月の米朝枠組み合意は何が問題だったのか。

まずは米政権の方針のブレだ。米朝枠組み合意を成立させたのはクリントン政権時だったが、1994年の中間選挙ではこの合意を支持しなかった共和党が上下院の多数政党となった。また2001年にはブッシュ・ジュニア政権が成立。北朝鮮に懐疑的だったブッシュ大統領は2002年1月29日の一般教書演説で、イランやイラクとともに北朝鮮を「悪の枢軸国」として非難している。これが北朝鮮に合意破棄の口実を与えた。

次に合意の目的が北朝鮮がプルトニウムの取得を困難とすることを主眼としており、当時北朝鮮が技術を持っていなかったとされた濃縮ウラン開発は重視していなかった点だ。すでに北朝鮮はパキスタンに接近し、1993年12月のブッド首相の訪朝をきっかけにして1996年には長距離ミサイル技術の提供の代償に濃縮ウラン製造の技術を入手することを合意。1998年から遠心分離機のプロトタイプが北朝鮮に搬送された。

こうしたKEDOの反省を今回の米朝合意が生かしているのかは疑問だ。実際に首脳会談後、早々と米朝は肝心なところで“ずれ”を見せている。

あやふやな計画のまま費用を負担していいのか

アメリカが当初こだわった「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の文言は共同宣言に盛り込まれなかったが、6月14日にソウルで行われた日米韓外相会談後の会見でポンぺオ国務長官は「“完全な非核化”の中に“検証可能で不可逆的”の意味が含まれる」と修正した。

しかし6月13日付けの北朝鮮の労働新聞は、「朝鮮半島の非核化を成し遂げていく過程で、段階的・同時行動の原則を順守することが重要との認識をともにした」と報じている。

また完全な非核化達成の時期についてはポンぺオ国務長官は「重要な部分は大統領の任期満了の2021年1月までに達成したい」と述べているが、トランプ大統領は「時間がかかる」と表明している。

こうしたことを考えれば、あやふやな計画のまま費用を負担することに同意することは極めて危険であることがよくわかる。それは、すでにKEDOに投じて焦げ付いてしまった600億円で、十分に学習したはずではなかったか。

安倍首相の言うとおり、朝鮮半島の非核化は日本にとって極めて重要だ。だがその実現の確実な保証もなく、KEDOの数十倍にも及ぶ巨額の負担にホイホイと応じるのは、いかがなものか。厳しい言い方だが、この段階で、あえて「負担は当然」と明言するのは愚の骨頂だろう。


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