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「高プロ」衆院通過 50年前から「定額働かせ放題」の業界を知っていますか?

2018/06/01 22:50 投稿

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 5月31日、衆院本会議で働き方改革関連法案が賛成多数で可決された。法案の柱の一つが「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)である。

 労働時間と賃金の関係を切り離すこの制度は「定額働かせ放題」であることによって、長時間労働さらには過労死を助長しかねないと危惧されている。

5月31日、働き方改革関連法案が衆院を通過。拍手する安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相ら5月31日、働き方改革関連法案が衆院を通過。拍手する安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相ら

 じつはこの「定額働かせ放題」を約50年前から取り入れている業界がある。公立校の教員だ。そしてつい先日、 富山県の公立校教員が県内ではじめて過労死と認定されたとの報道 があったばかりである。

「定額働かせ放題」の先行事例である公立校では、半世紀の間に何が起きたのか。その帰結と、これからの改革の方向性を探る。


ずぶずぶと残業が拡大


 半世紀前に公立校教員の「定額働かせ放題」を規定したのは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」)という法律である。

 給特法は、このところ教育界のなかでにわかに耳目に触れるようになった、働き方改革の最重要キーワードである。

 教員の月給を「教職調整額」として4%上乗せすることと引き換えに、残業(代)を「なし」とした法律であり,これによって労働時間と賃金の関係が切り離されてしまった。その結果、時間外の実労働が管理されず、ずぶずぶと残業の拡大をゆるしてしまったのである(詳しくは、 「教員の過労死63人も「氷山の一角」 “ブラック職員室”の実態」 )。


教員の働き方は高度プロフェッショナル制度の先行事例


「定額働かせ放題」という意味で、教員の働き方は、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の先を行く事例である。連合の神津里季生会長は、次のように語る。

「学校の先生方は昭和47年から46年間もの長きにわたって、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)というしばりがかけられ(略)高度プロフェッショナルが危ない、裁量労働制の拡大が危ないといって、いや実は教職員の世界は既に危ない橋を渡り続けてきているのだ」(『サンデー毎日』2017年9月10日号)

 1971年に制定された給特法は、半世紀にわたって残業の拡大をゆるしてきた。教員は、過労死が眼下に見える「危ない橋」を渡りつづけており、その最悪の事態が実際に起きてしまっているのである。


長時間労働の元凶「給特法」をどう変えていくか


 給特法は、(1)職場の時間管理を不要にし、(2)使用者(国、自治体)や管理職から、残業抑止の動機付けを奪ってきた。それが無際限に残業を増やしてきた。

 私たちは一刻も早く、給特法のあり方を検討しなければならない。

 その方法を二つの極にわけると、一方の極に給特法の遵守を徹底する方法があり、もう一方の極に給特法の廃止を求める方法がありうる。

 前者は、法的に残業がないのであれば、さっさと定時に帰宅しようという考えである。そして後者は、民間企業と同じように、労働基準法(罰則付きの上限規制)の力を借りて、残業の拡大に歯止めをかけようという考えである(詳細は拙稿 『教師のブラック残業』 (2018年6月7日刊行予定/学陽書房)。

 私自身は後者の給特法廃止に近い考え方をとっている。すなわち、長時間労働の元凶たる給特法を、根本的に変えていくのである。

 労働時間と賃金を関連づけて、実労働を法的に労働と認める。時間管理を必須のものとし、使用者側に残業抑止の動機を生み出すことをとおして、長時間労働の抑制を企図する。


9000億円分のただ働き


 しかしながら,遵守/廃止いずれにとっても最大のハードルがある。財源の確保だ。

 公立校教員のただ働き分は、約9000億円と試算されている(中央教育審議会 初等中等教育分科会 学校における働き方改革特別部会の第8回議事録 )。

 給特法遵守であれば、先生たちが定時に職員室に置いて帰った9000億円分の仕事を、誰かがやらなければならない。また廃止であれば、割増賃金を適用すると9000億円をさらに超える支払額が必要となる。いずれも絶望的に巨大な額だ。

 それもそのはず。50年近く、歯止めなきままに、残業が増えてきた。この蓄積はそう簡単に解消できるわけがない。だが、希望はある。国はいま、教員の働き方に熱いまなざしを注いでいる。

 文部科学省の中央教育審議会は、これから給特法のあり方について審議を進める予定である。また、文部科学省と厚生労働省は、大学教員や過労死遺族らで構成する 「教職員の働き方改革推進プロジェクト」主催のシンポジウム (2018年6月1日開催)に、「後援」として企画をバックアップしてくれた。

 財源が限られるなか、変形労働時間制や、労働時間貯蓄制度、教職調整額の増額など、現在さまざまなアイディアが提出されている。いずれにしても、労働時間と賃金の関係が取り結ばれること、これを教員の働き方改革の大前提としなければならない。


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