水木しげるが死去した。
子供のころ読んだ「墓場の鬼太郎」は衝撃だった。
「ゲゲゲの鬼太郎」になると毒が抜かれて
ポピュラーになったなと思った。
戦争体験を描く漫画も確かに凄かった。
ただしわしの感覚ではそれが「反戦イデオロギー」
だからではない。
徹底的にニヒリズムの人だと分かるからだ。
国家への忠誠心などカケラも持ってない。
わしの親父がそんなタイプだった。
わしにとってはそれが当たり前だったので、むしろ
強烈なナショナリズムを持つ男がいるということを、
数々の戦死者の遺書で知って驚いた。
「日本のいちばん長い日」で徹底抗戦を主張する
軍人たちの方が、わしには動揺を与える。
だが、わしの中にもニヒリズムはあるので、戦時中なら
水木しげるになったかもしれないし、あるいは
七生報国になったかもしれない。
だが、七生報国の人がいなければ、国は
永続しないのは確かである。
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