内閣府が発表した平成27年1‐3月期のGDPは大幅な
上方修正だったと報じられたから、いよいよ景気が
回復してきたかなと思う人も多いのだろう。
だがGDPの6割を占める個人消費の回復は鈍く、
街角の景気実感は低下している。
なんのことはない、GDP年率3・9%のうち、
2・2%が在庫の積み上がりによるものなのだ。
消費不振で製品が売れ残って、在庫が増えても
GDPの統計上はプラスと見做される。
株価だけでなく、GDPももはや実体経済からは
切り離されている。
設備投資も4‐6月期の伸びは難しいという声もある。
円安の影響で物価上昇するから、一部企業の
ボーナス増があったとしても、全体的には
大して消費は伸びないだろう。
そもそも政府が短期政策で経済成長を実現しようとしても、
国民の大半の将来不安が減少しない限り、今より
景気が良くなるはずがない。
市場がグローバルになった現在では、国債大量発行で
財源を作り出しても、従来通りの公共事業でばら撒く手法が
通用しなくなっている。
金融緩和の出口戦略がないままに、刷ったカネを政府が
無駄に消耗し続けているだけで、国民の将来不安は
解消するのか?
経済成長しかない、この道しかないという政府や国民の
思い込みがあるから、「代案を出せ」と言い出すが、
残念ながら「打ち出の小槌」はどこにもない。
異次元の金融緩和こそが「打ち出の小槌」だと信じ、
それを批判すると、「別の打ち出の小槌」を出せと
言うのでは、精神が未熟すぎで話にならない。
この世にオイシイ話はないという常識に、国民は
立ち返る必要がある。
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