福岡の某ホテルのカフェ&レストランに入って、
ぶつぶつ文句ばかりをつぶやいていた。
「見ろよ、あのウエイトレス、頭の上に小さなとんがり棒を
乗せて、なんというみっともなさだ。」
「ウエイターはもっと酷い。小さなかぼちゃを頭に乗せて、
かぼちゃの両側から蝙蝠の羽根が出ている。」
「名の知れたホテルのレストランなのに、
あまりにもダサくて、スマートさも優雅さもない。」
「ハロウィンの馬鹿騒ぎに乗っかってるつもりだろうが、
ホテルはファミレスじゃないんだから、何でガキの
馬鹿騒ぎに便乗してるんだ?」
「ホテルに客が欲するのは、優雅さや落ちつきなのに、
これじゃファミレスじゃないか。」
「しかし福岡は中国人と韓国人がやけに増えたからか、
一般市民の服装もダサくなったなあ。」
「街に出かけるときくらい、ちっとはオシャレすればいいのに、
あんな普段着で外出するもんかね?」
「隣のテーブルの客の会話を聞いたか?」
「明らかに上司と女子社員だが、妻からかかってきた
電話を不機嫌に切って、女子社員が
『奥さま、用事があったんじゃないんですか?』と聞いたら、
スケベ上司が何と言ったと思う?」
「『今日は君が妻ということで』だと!」
「なんという気色悪いセリフだ!」
「これってパワハラじゃないのか?」
「こういう下心丸出しのダサいセリフが、
福岡では未だに流通してるんだな。」
「まったくうんざりだ。早くここを出よう。
こんな場所にいたら、感性が腐れてしまう。」
そう言ってレジに行ったら、従業員の女性が
わしに謝罪した。
「どうも申し訳ありません。お気に障られたようで。」
わしの席の真横が、薄いすりガラスの壁だったのだが、
ブツブツ文句ばっかり言ってたわしのセリフが、
なんと全部、聞こえていたらしい。
壁に耳あり、文句は公共の場で口に出して
言うもんじゃないな。
家に帰って来てから言うもんだな。
しかしあの従業員、ずっと盗み聞きしやがって。
「聞こえてます」とひとこと言え!
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