村山談話・河野談話に未来はあるか?
第39回 憲兵隊の慰安所への細やかな「関与」
引き続き、吉見義明編『従軍慰安婦資料集』に収録された
資料から紹介しよう。
連合国軍の「日本軍隊における生活利便施設」という調査報告書に
添付された、連合国軍が没収した日本軍の資料である。
1944年2月7日付の衛生検査に関する憲兵隊報告書
(マニラ地区兵站発行)。
経営者各位へ。すべての経営者は、月例衛生検査に関する
左記の憲兵隊報告を銘記せねばならない。
総合所見
1 飲食店および将校クラブ
(略)
2 慰安所
衛生規則に対して十分な注意が払われておらず、
衛生措置が講じられていない事例が多数ある。
この点は、多くの者に対し、再三にわたり注意を
促してきたところである。
便所と洗面所は概して不潔であり、また、
洗面所の照明が十分ではない。
従業員の健康を維持するためには、浴室についての気配りと、
食堂の清潔維持の面における改善が必要であろう。
多くの経営者は、自分自身の利益のことにしか関心がなく、
それ以外の目的は何ももたずに営業している。
彼らは、芸妓、女中、酌婦の福利厚生にはまったく関心を示さず、
彼女たちの健康や暮らしにも、また、入浴設備といったような
ことにも意を用いていない。
彼らの利己的な行為は抑制する必要がある。
これに各施設ごとの報告書が添付されていて、
ABCの三段階で評価した上で、
「敷布・枕カヴァー、その他の寝具の状態は普通。
ただし、品質悪し、改善を要す」
「便所の掃除は十分だが、備品が不十分」
「経営者は、憲兵が到着したときいつも不在。
あらかじめ決められた従業員の労働時間計画なし。
営業方針はきわめて不適切」などといった「憲兵隊報告」が
記されている。
日本軍は、私利私欲しか考えない慰安所の経営者を監視し、
慰安婦の福利厚生や健康・暮らしに配慮した「関与」を
していたのだ!
憲兵隊といえば、国民生活の細かなことまで監視・干渉したことで
とかく評判が悪かったが、この場合は、
この細やかな監視が慰安婦たちの環境改善のために
役立っていたであろうことはまず間違いない。
この「関与」がなぜ責められなければならないのか?
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