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山田玲司のヤングサンデー 第56号 2015/10/26
「ワンパンマンワンパンパン」と「ヒモザイルのセレブママ」問題
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ONE先生の漫画は「絶対的な能力」を持った「普通の人」が主人公です。
そういう「上を目指さなければダメだ」という考えは、受験問題に顕著だ。
どうも僕のニコ生「ヤングサンデー」に出てくれた人は、なぜか「大ブレイクする」という例が続いているようです。
絵本作家の「のぶみ君」の絵本は大ヒット中だし、我らが「東村アキコ」も「志磨遼平」も何だかんだ言って絶好調です。
そもそも僕が「この人いいな」と思っているから番組に出てもらっているので、その才能や魅力は保証済みなんだけど、そういう、自分は好きな人が世間にも認められていくのはやっぱり嬉しい。
そんな中で、今回のONE先生の登場です。
彼は僕なんかとは関係なく、とっくに売れっ子になっているので、今更なんだけど、今回のアニメ「ワンパンマン」が大好評で、まさに今「大ブレイク」の瞬間にいる漫画家です。
そんな彼が「ニコ生ヤンサン」の会員だという事実ですよ。
これはもう出演してもらうしかないと思ったわけだど、想像以上に充実した「いい回」になったと思います。
超能力なんかあってもモテませんよ
ONE先生の漫画は「絶対的な能力」を持った「普通の人」が主人公です。
彼が作中で言っているのは「ものすごい力」なんかあったって、人は幸せにはなれない、という事につきると僕は思います。
彼はモブサイコの中のセリフで「超能力なんかあってもモテませんよ」と描いていて、このセリフは実のところ漫画の域を超えて「時代の変わり目」を示す一撃です。
彼の漫画には世界征服を目論んで「最強の何か」を生み出そうとする人達が出てきます。
「俺は神様になりたい」という、人間的に未熟なキャラも出てきます。
「科学の力」だの「莫大なお金」だの「権力」だのさえあれば、自分は幸せになれるんだ、という人達を「過去の(おかしな)人」と見ているのです。
確かに「能力」はあったほうがいいです。「お金」だってあるほうがいいに決まってます。
それなりに「偉い」とか言われる人になりたいのもわかります。
でもそれが「世界で一番」とかなってくると、話が違ってきます。
何年か前にバンド「相対性理論」の曲の歌詞に「私もう辞めた。世界征服辞めた」というのがありました。
やくしまるえつこさんのキュートなボーカルで歌われているのに、言っている事は「まともな事を言っている風のインチキ評論家や政治家」を蹴散らす「本質」です。
この時も僕には衝撃で「こういう人達が現れた」という事に希望を感じていたのです。
そもそも、100万円は欲しいけど、100億円は必要ない、という人に「それは愚かだ」と言うのはおかしな話です。
野球をやる人に「それでイチローになれるの?」と言うのも、音楽をやる人に「それでマイケル・ジャクソンになれるの?」と言うのも変な話です。
アッコの「ヒモザイル」のシーンで、セレブママがあなたの所の(漫画の)アシスタントは「モノになるの?」と聞くのも同じ種類の話です。
漫画家は「大ブレイクして大金持ち」か「失敗してホームレス」の2択しかないと思っている人がいるのです。「そこそこの成功」や「挑戦することの価値」は認めないわけです。
おそらく「お金」にならくても「成功(幸福)」はあると言う事がわからないのでしょう。
「東大は出たけど、人の心はわからない」という病
そういう「上を目指さなければダメだ」という考えは、受験問題に顕著だ。
「とにかく成績を上げろ」という教育は、人として大事なものが欠けた人間を量産してしまう。
「いい大学を出た人が人格的にも優れているとは限らない」なんて今更言うまでもない。
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