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山田玲司のヤングサンデー 第41号 2015/7/13
エロコンテンツ話から見えてきたもの
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「エロコンテンツ」というのは男女の性愛、もしくは異性を「性的対象として消費」するものです。
ある時代から女の子は「王子様」を待つようになりました。
他者を「性的魅力」だけでジャッジして、人にダメ出しをして生きるのは、孤独な審査員人生へ向かう過酷な未来が待っています。
今回の放送は「エロコンテンツの歴史」から「団鬼六」という、なかなかいかれた放送でしたけど、スタジオの男どもは、かなり盛り上がってました。
そもそも相棒のおっくんの気合いの入りようは素晴らしく、そのテーマが決まってからずっと「エロって何だ?」と思索してたらしく、放送開始の3時間以上前にスタジオに入って、例の「エロコンテンツ関連史」を作っておりました。
その結果「桂正和ってすげえ」だったりするのが面白いんですけどね。
「性の目覚め」だの「大好きだったエロコンテンツ」の話はかなり個人的な話なので、バカ話なのになぜかその人の事を身近に感じさせてくれるものです。
あまりにスタジオが盛り上がっていたので、「いっそこのまま全部放送してもいいんじゃないかな」なんて思ってました。
(しかし、アウターゾーン、だの、ぬーべーだのの話になると異常に熱くなる世代ってあるんだねえ)
そんな無邪気な男子達がお気に入りのAV女優の話でワイワイやっている時、僕はと言えば「団さんのお父さんの気持ち」がすっかり乗っていて、「戦争の美化はいかん!!!!」なんて気分で・・まあこれもまた「豊かな文化」です。
プリパラおじさんだの松坂喜美子だのいいつつの、「特攻を美化するな」とか「デカダンという生存方法」なんかを語る、って素晴らしい放送だよ、本当に。
自分以外の異性は全部「性の対象」というエロコンテンツの時代
「エロコンテンツ」というのは男女の性愛、もしくは異性を「性的対象として消費」するものです。
そういうと何か「悪いもの」という印象がありますけど、そんなに単純ではありません。
今回の放送ではそれを色々な角度から検証してみたわけですが、1番感じたのは男は女を、女は男を、堂々と「商品化」していく時代の流れでした。
「王子」と「姫」を待つ普通の人々
ある時代から女の子は「王子様」を待つようになりました。
それは「お金持ちでハンサムで権力と頭脳を持った男」です。
「貧乏でブサイクで肩書がなくて頭の悪い男」ではありません。女は王子以外の男は眼中にないのです。
そして男たちもまた「お姫様」を待つようになります。
天空の城から「無垢な美少女がゆっくり落ちてくる」のを待っているのです。
そしてそれは「美人で若く、謙虚で賢くて優しい女」です。
そんな「自分を幸福にしてくれる最高の相手」を待っているのが現代の男女です。
それは生まれながらに「消費者」として育った人間の宿命で、同時に自分も「商品」として相手に評価(ジャッジ)されるという過酷な宿命でもあるわけです。
なにが過酷かと言えば、ほとんどの人が王子でも姫でもない「普通の人」だからです。
自分を「性の商品」として売る
それでも自分が相手にとって「王子的要素(見た目)」があると知った男は「ホスト」になったり「V系バンド」で歌ったりします。
女の方も「自分の見た目が男を喜ばせる」と気がついたら、それを「商品」として「売る」こともあります。
私は性的魅力があるのだから、それを売ってもいいはずだ、という考えで、これが「援助交際(若い女の子はお金がかかるから、それを援助してくれればSEXで応えてあげる、という交際)です。
これが90年代(援交世代の時代)に問題になった「自分の身体は自分のものだから売ってもいい」という主張から生まれる「自分を売っていいのか?」という命題です。
そしてその問題には「自分の身体は自分のものか?」という命題も含まれます。
なんだか宮台真司さんの文章みたいですけど、まさに宮台さんが向き合っていたのがこの問題だと思います。
「自分は何点ですか?」という地獄
他者を「性的魅力」だけでジャッジして、人にダメ出しをして生きるのは、孤独な審査員人生へ向かう過酷な未来が待っています。
アリスやドロシーが出会う「孤独な女王」への道です。
男もまた「あの女は足が太い」とかジャッジばかりしていると、本当に愛されることはありません。
この「人間を性の商品」としてのみ扱う恋愛観は、常に「自分は何点?」という不安とともに生きることになり、相手の内的美しさなどに出会う事もなくなります。
簡単に言う「人を裁くものは、人に裁かれる」という話だけど、これはもう終わらせる時期にきていると思う。
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