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山田玲司のヤングサンデー 第273号 2020/1/20

磯野家の謎解き

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先日放送された「日曜美術館」かこさとしの回が素晴らしくて何回も観てる。


かこさとし先生は絵本作家で、代表作は「カラスのパン屋さん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」など。

もちろん僕も読んでいたし、絶望に効くクスリのインタビューの候補にも上がっていた人だ。


世代的には水木しげる先生や森毅先生なんかと同じくらいだと思う。


この世代は学生時代に戦争があって、みんな酷い目にあっている。


かこさんもまた「軍国少年」として教育(洗脳)され、お国のために死ぬつもりだったという。


戦後になって大人たちは、そんな時代の事などなかったかのように欧米を称え、お金儲けに走った。


そんな大人達と自分自身が許せなかったかこ先生は、会社勤めの傍でボランティアで紙芝居などを作り近くの子供たちを喜ばせていたという。


戦争中の過ちを償うために、まっさらな子供達に「大事なこと」を伝える事を誓ったのだ。


そんな流れでかこさんは絵本作家になるのだ。




【大事なこととは?】


かこさとし作品には押し付けがましいメッセージはない。


多くの作品が「いっぱいあるね」と「仲良しはいいね」っていう絵本なのだ。


なんて素敵なんだと思う。


てんぐちゃんのうちわに興味を持っただるまちゃんに何種類ものうちわを並べて見せたり、カラスのパン屋さんは何十種類もの色々なパンを見せてくれる。


かこさんの世界は「いっぱい」が溢れている。


色々なものの仕組みを伝える「科学絵本」のシリーズでも本当に沢山の情報が詰まっている。


もう1つ共通しているのは、かこさとし絵本に出てくるものたちはみんな「楽しそう」で「仲良し」だという事だ。多少の例外はあるかもしれないけど、ほとんどのキャラが仲良く笑っている。


かこさんが伝えているのは、「色々あるよ」「いっぱいあるよ」と、「仲良しは楽しいよ」ということだと思う。


かこ先生の伝え方は「こうしなさい」とか「これしかない」という軍事教練的なものとは真逆の「好きなのどうぞ」と「沢山のメニュー」を差し出す方法なのだ。




【僕の先生時代】


何度か書いたもしれないけど、僕も子供達に絵を教えていた事がある。


当時23歳で漫画が売れず、家賃も払えなかった僕は「絵画教室の先生ならやれるかも」と、子供相手の絵の先生を引き受けた。


ギャラは安く負担は大きい仕事だったけど、子供たちに美術を伝える事ができるので本気で頑張った。