ぷくぷくした葉脈を持つ葉をあつめたこと/肉眼宇宙ステーション/他数編
久世です。今月の最終週は僕のターンです!
いくつか夏の久世の興奮をお伝えいたします。
長いので空いた時間にトピックごとにでもお読みください。
・線香花火をする詩人
17日の放送でも言いましたが、私、国産の線香花火に嵌まってます。
線香花火には火がついてから大きく分けて4段階あって、
牡丹、松葉、柳、散り菊 という名前が付けられているのですが、本当に一本のショートムービーを見ているよう。
散り菊までいかない場合も多いけど、それもまたいいですね。火花と火花の間が一定のリズムじゃないことで、
逆に線香花火に異常に集中が出来て、そのまま集中を高めていくと時間の感覚が狂ってくるんです。
俗にいう「エターナル線香花火」です。
①火を見る玉をみる玉の音を聞く蝉の声が聞こえる火花を見る火花と火花の間を見る火花と火花の間の時間を見る火花があったところを見る
火花の形を見る、闇の形を見る、火花の色を見る玉の音を聞く火花が生まれる前の時間を見る火花が闇に帰ったあとの空気を見る、※①に戻る
僕がよくいう「時間がべろんちょ」しちゃってる状態ですね。
この時間がべろんちょ状態になると、普段ストレスで入っていた変な力が抜けます。
5本くらい線香花火をやると肩の凝りがとれたり、頭を使いすぎたときの
熱っぽさやしびれがとれたり。ホントこの夏のマストアイテムでした。(個人の感想です)
凧あげと同じくどんなに忙しくても無我になれる「ポケット幽玄」の一つとして私の人生をこれからも彩ってくれるでしょう。
お薦めは三州火工の「三河伝承大江戸牡丹」と筒井時正玩具花火製造所「巧」です。
そして、来年こそ絶対にやりたい心のマイベスト線香花火は同じく筒井時正玩具花火製造所「花々」です。
1万円もする。でもこの美しさを見てください。
たまりません。桐の箱に入ってんねんで!ええ素麺やんか!あぁ!恋しい。
しかし、泣ける!国産線香花火復活の歴史。
線香花火の三大産地は、三河、信州、九州です。
1985年、信州の線香花火会社全滅。
そこからじりじりとつぶれていき、1998年には国産の線香花火は全滅しました。
中国産の安さに太刀打ちできず、400年の歴史が終わったのです。
そのことを、大正三年から今なお続く、浅草・蔵前の花火問屋・山縣屋の5代目当主が嘆き、
骨を折って復活させました。
2年後の2000年に復活したのが大江戸牡丹という線香花火。(2003年という説もあり)
その年に開通した大江戸線にちなんでこの名前が付いたそうです。
詳しく知りたい方ははこちらをご覧ください。
http://w.hanabiya.co.jp/column/column3.html
線香花火の動画を撮ってUPするという謎の遊びも流行ってほしいなぁ。
音楽はつけてもつけなくてもいいから。
今度スローモーションで撮ってみようかな。
ちなみに竹原ピストルがやってた野狐禅に「線香花火」って曲があって、これまた名曲です。
と思ったら「少年花火」って曲でした。なんのこっちゃ。
・肉眼宇宙ステーション
8月8日。18時半ごろ。知人から連絡が入った。
「国際宇宙ステーションが肉眼でみれるらしい。一時間後に」という連絡だった。
19時40分くらいからの百数十秒、宇宙ステーションが肉眼で見れるというのだ。
興奮した。「一緒に見ない?」というので、近くに居るのか確認すると、
遠くに居る。
その時間に電話しながら空を見上げようというのだ。宇宙ステーションを見ながら。
はい!やります!絶対楽しい!宇宙チャンス!
前にも一度あったんだ。宇宙ステーションが肉眼で見れる機会が。
いつだったか。その時もこの人と居た。
19時35分に電話して、下らない話しを見ながら空を眺める。
向こうの方が先に発見した「あっ!あった。凄い動いてる」
続いて僕も発見した「ほんとだ。動いてる」
「あの」「手の届かない」「たぶん一生いけないだろう」「宇宙」に「人間がつくったもの」が「本当にあるんだ」
このことはなんだかわからないけどとっても僕に勇気をくます。
人類にとって国境のない場所のひとつ。国際宇宙ステーション。
あんなところに人がいる。という無邪気な感動はシンプルだからとても強い。
星の動きとも飛行機の動きとも全然違うそれを食い入るように見つめる時間。
人の活動の限界範囲を広げる。冷静になると感じる果てしのない欲深さもこの百数十秒だけはお休み。
行ったことのない場所に行こう。僕は言葉の宇宙で。そう思った。
そうだ。前回は6月5日に見た。次回は10月に見れる。それまでにまたたくさん描-こーっと。
・踊る追いかける
踊りに関わるようになってからしばらく時間が経ちました。
踊りってなんだろってことを考えます。
僕も全然わかってないのですが、分解していくと「人が動いている」だけなんですよね。
そして「それを見ているだけ」なんですよね。
ただ動いてるんじゃなくて、「明確な意思をもって動いている」のですが。
でもそれだとご飯を食べることも踊りになってしまうから
「明確な意思をもって何かを表そうとして動いている」ってことになるのかな。
シンプルにいうと。
人が動いているだけのことがこんなに観ていて面白いなんて。不思議だなぁと思います。
この前、渋谷にある、DANCEWORKSという大きなスタジオ様の年に一度の発表会でMCのお仕事をさせていただきました。
その時にバレェ、ジャズ、HIPHOP、ハウス、ブレイク、コンテンポラリーなどなど、様々な踊りを一日で見る機会に恵まれました。
そこで「ダンスの発表会」という形式の清々しさに感動したのでそれを伝えたいです。
むちゃくちゃうらやましかったんですよ!
生まれてこの方、一度もあのように「仲間と何かを追いかけたこと」が無い!僕は!!
あれに一番近いのは小学生のころ、クワガタを友達と取りにいったことかな。
ダンスの発表会は他のスポーツの大会や音楽の発表会と全然違う印象を受けました!
プラスのエネルギーだけで紡がれる身体を使ったコミュニケーション。
勝ち負けではない達成感を「人と共有すること」
この条件がそろうことってダンス以外にあるのかなぁ。あるんだろうけど思いつかない。
ダンスは、他のスポーツと違って「点を取る」ことがありません。
採点されることはありますが、今回は発表会だから無い。
(採点があるときでも「ゴールに入れたら1点」とか、ホームベースに帰ってきたら1点とかではない。)
そこがとてもいいなぁと思いました。
先生や振付師の伝えたふりをうまく踊る。出来なかったら何回でも踊る。
気持ちいいんです。勝ち負けじゃなく単純に達成した喜びがまっすぐに仲間と共有できるから。
ルールにのっとった個人の判断や駆け引きは必要なく、だからそこから起こるミスもない。
単純な動きのミスはあるけど、それもとても分かりやすく健康的に思えました。
ただひたすら「振付をものにする」「同じふりでもなんで自分は先生と違うんだろう」と考えて
「限られた時間の中で高みを目指す」というのがとてもとてもやりやすいんです。
発表会だからっていうのもあるだろうけど「こうすればいい!」っていう正解が決まっているのがとてもよくて。
スポーツだとそうはいかない。ピッチャーだってどんなに綺麗なフォームで投げても打たれたら意味がない。
でもダンスはこの音でこの動きをするというのが決まっている。それがほんといい!
個人の動きがうまくなるほど、全体も見えてくるし、全体の中で自分がどういう役割なのかも見えてくるし。
それが見えなくてもひたすら自分のことだけに没頭しててもどうしても周りの人間とのグルーブが出てしまうし。
そうやっていくうちに相手の存在に気づき、相手を見ることが出来るとまた更に踊りが変わってくるだろうし。
演劇にも発表会はありますが、セリフの読み方、役の気持ち、それのアウトプットの仕方、何より、これが正解という明快な答えを提示できない点など
いろんな要素が多すぎて僕がダンスに感じたほど「純粋にプラスのエネルギーだけで紡がれる」ってことはあまりイメージできないです。
あそこまで純粋に何かを「人と一緒に」追いかける!という状態になれて、
5分かそこらの自分の作品が終わった後ただただ涙して抱き合える。
そういう経験はとてもいいものだなぁとおもいました。
ある程度の短期間で「コミュニケーション」を学ぶのに踊りは最適かもしれません。
言葉を介さないからコミュニケーションの本質からぶれない気がする。
ここからは踊っていて、僕がダンスを好きな理由です。
僕の習っているダンスはコンテンポラリーダンスと言います。
習い始めるまで僕は、ダンスって「筋肉をつかって音に合わせて身体を動かす」事だと思ってました。
でも今習っているダンスはそうじゃなくてそれがとても気持ちいい。
自分の意思で動いているのに自分の意思で動いていない感覚なんです。
複雑な動きをしているのに、意識は働いているのに、「動き」から生じるエネルギーが自分を重力から解放してくれるんです。
見てるほうは「重さ」を感じる場合でも、1つの動きが産んだエネルギーが次の動きを「呼び」それの連鎖で時間が流れていき、
自分の意思で動いているはずの身体が何かに動かされているような感覚を得る。
起点となる動きを行うエネルギーだけ用意したらあとはするするとどこまでも「身体が続いていってしまう」。
この感覚が気持ちよくて、僕は毎週踊っています。
そして「起点となる動きにだけ自分の力が必要」「そのエネルギーが次を呼びそれの連鎖で時間が流れる」というのは物事を動かすときの
一つの理想な気がして。自分の意思で動いているのに自分の意思じゃないみたいな感覚でまるまる人生生きれるように
「起点となる動き」を見つけていきたいと思います。
するすると死ぬまで身体が続いていってしまいますように!」
・ぷくぷくした葉脈を持つ葉を集めたこと
ある日のコト。知人に「ぷくぷくした葉脈を持つ葉を集めたいんだが一緒に探さないか?」と誘われた。
変なものを集めるものが好きでとても気の合う人なのでたまにこういうお誘いを受ける。
よくわからないがぷくぷくした葉脈という語感に並々ならぬ好奇心を持った僕は二つ返事で快諾をした。
とりあえず合流して話を聞くと
「薄い葉ではなく分厚い葉で葉脈がはっきり浮き出ているもの、冷たい感じではなくぷくぷくしているものを集めたい」というのだ。
その人は作家で、絵を描いたり立体作品を創ったりしている。作品創りのため葉脈が必要なのだという。
深夜、集まって街を歩く。寝静まった静かな町。
ぷくぷくした葉脈を持つ葉を集めている。この街にあるぷくぷくした葉脈を持つ葉を集めている。
奇妙な目的をもって歩く町はとても奇妙で秘密に満ちて見える。
何の目的も持っていないときは奇妙も不思議も感じないのに。
いざ探してみるとわかることだが、なかなか理想通りの太陽がたくさん通った健康的でどこか愛らしさもあるぷくぷくした葉脈というのは見つからないものだ。
そしていざ探してみるとわかることだが、都会でも思わぬ木がたくさん生えている。
その時歩いた街では、キウイ、イチジク、柿、ブドウ、あと、名前も知らない面白い葉っぱの木、普段は見逃すであろう面白い木をたくさん見つけることができた。
知人は葉をちぎることに臆病で、その代わり僕はたくさんの葉をちぎり、
その知人の家で、どれが一番ぷくぷくした葉脈かの品評会をすることになった。
あれこれ見てると、どの葉も特別かわいかった。その夜が全部詰まっている気がした。
複雑な回路図のようにもスタイリッシュなデザインのようにも遺跡の地図のようにも見えた。
すかしてみると、葉脈が浮かび上がり、凄く素敵なライトのように見えた。
知人は何かのタイミングでスイッチが入ったらしく、普段見たことのないスピードで動き始めた。
木製パネルに下地を塗って、葉にアクリル絵の具を塗って、スタンプを押し始めたかと思うと、
まずはパネルに葉のスタンプを押した。
次々と段ボールや紙に色んな葉を同じ要領で転写し始めた。
もくもくとハイスピードで作業を進める姿はとてもカッコよかった。
素材ごとに葉脈の見せる表情は違う。
パネルに押した葉のスタンプは優しい木のような本の表紙のような風合いで、
段ボールに白いアクリル絵の具で下地を塗って押した方は挿絵や標本、古い喫茶店で使われているコースターのように見えた。
拾ってきた葉っぱがこんなに早く作品に生まれ変わるなんて。
僕も負けじとその場で詩を描いてみた。
人がすぐそばで集中しているエネルギーを肌で感じて普段選べない言葉を選べた。
楽しい。
夜が終わって葉っぱは全部作品になった。いくつもの作品になった。
誰かにしかわからない言葉を翻訳して物語にしたみたいだった。
そいつにしかわからない暗号を解いて物語にしたみたいだった。
次の日もほとんど同じことをした。
この夏の思い出でした。
読んでくれてありがとうございました。
ここからは告知なので、興味のない方は読み飛ばしてください。
以下告知。
9月7日・8日。舞台に立ちます。
時間は下の方に書きました。
ダンス界では知らない人は居ない加賀谷香さんという本気で凄い方とのデュオ(二人きりの作品)です。
50代なのに身体能力やばい。化け物。
ここに居る皆さんは僕のことは知ってらっしゃるだろうから、
加賀谷さんのプロフィールを貼り付けておきます。凄い人過ぎて毎回リハーサルで緊張している。
http://www.dance-shan.com/kaori_profile.html
こんな人とやれる機会は今後来るのだろうかw
まぁ素敵に楽しんでいます。
言葉と身体の距離感。
言葉にどれだけ身体を含ませられるか、
身体がどれだけ言葉を含めるか。
そして、どれだけ溶けあわず同じ空間の中で独立できるか。
物凄く「身体」というものについて、客観的に見やすく「言葉」というものがどういう性質のものかも感覚的に理解しやすい作品になりました。
身体が語る語る。言葉も踊る踊る。
エモイ作品です。
違う世界の違う場所。同じ世界の同じ場所。
言葉と身体の面白い在り方。
踊りと詩。身体と言葉。男と女。追憶と記憶。
空間と時間。浮遊と衝突。
面影・忍ぶ・名残り・残滓。
身体から生まれる詩、身体から生まれる物語。
コンテンツを見すぎると、いつも一緒に居る「身体」というものへの意識が軽くなると僕は感じていて、
それでもいいんだけど、個人的には常に一緒に居る身体ってものがなんなんだろうって考えるのも凄く楽しい時間だと思うし、こういう肉体だけの生のコンテンツも入れとくことで色んなものがまた変わって見えてくると思うので、もしよかったら観に来てくださいな。
下記詳細。
最寄り駅:南林間
※小田急江ノ島線「南林間」改札出て右徒歩3分
会場:Dance Brick Box
住所:〒242-0003神奈川県大和市林間1丁目20-5中田ビルB1
日時:9月7日[土]16:00開演
9月8日[日]13:00/16:00開演
■チケット
日時指定自由席 3000円(税込)
ご予約はこちらから
■問い合わせ・チケット取扱い
ダンスカンパニーカレイドスコープ
■Confetti
0120-240-540(平日10時~18時)
公式サイト:漫画家 山田玲司 公式サイト
Twitter:@waraukuze
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