山田玲司のヤングサンデー

山田玲司のヤングサンデー【第246号】嫉妬は幸運の兆し

2019/07/15 07:00 投稿

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山田玲司のヤングサンデー 第246号 2019/7/15

嫉妬は幸運の兆し

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【愛とは何か?】


いよいよ「ディスカバリーレイジチャンネル」の本格配信が始まりました。


プレ配信で「太陽の塔の仕掛けたもの」をやって、その後「内容紹介」の動画を配信して、いよいよ「本格的な講義」の動画を撮っていました。



さて、何を最初にやろうか・・と考えて、僕は「愛とは何か?」というテーマで講義の動画を作ったわけです。


「愛とは何か?」

もうこの問題だけでいくらでも思索ができるし、どんな人にも関係するテーマだ。




【けものみち】

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その中で「愛は執着を含むので危険である」という話をしていて、おなじみ「愛染明王」の話になった。


愛染明王は「愛が生む我執」を消すという「愛の守り神」みたいな存在だ。


昔観た松本清張のドラマ「けものみち」で裏社会の帝王の寝室に愛染明王が置いてあったのが、とにかく印象的だった。(なのでこの話は何度かヤンサンで話している)


愛染明王の存在は「愛には気をつけなさいよ」という仏教の教えの証拠だと思う。



そんな動画を作っていたら、ふと「けものみち」が観たくなった。

0年代に放送された「米倉涼子主演」のやつが僕は好きでよく観ていたのだ。

(エンディングの曲が中島みゆきなのがまたいい)


日本を支配した「闇の帝王」鬼頭という老人は病の床で、美しい女達を「おもちゃ」にして生きている。

夫を殺してしまって逃げ場のなくなった主人公「民子」(米倉涼子)は、鬼頭のおもちゃになる事で生き延びようとする。


このドラマ。

「愛」に依存する(執着)する危険性を知っている「闇の帝王鬼頭」が、情愛を切り捨てながら世の中を上り詰め、最終的に「絶望的な孤独」を抱えている、というのが面白い。


しかし、見直してみると、このドラマの最大の魅力は「女と女の闘い」だった。


長年鬼頭に愛されてきた「女中頭」の「米子」と「新しいおもちゃ」として帝王の寵愛を受ける「民子」との闘いが、このドラマの最大の見せ場なのだ。


この2人以外にも、このドラマでは様々な人達が対立し、裏切り、消えていく。


そんな多くの悲劇が「嫉妬」から生まれている。


「愛」に「嫉妬」は付き物だし、「自分は自分しか愛さない」という人でも、誰かに嫉妬する気持ちからは逃げられない。



【海獣の子供】


今回の放送で「海獣の子供」の解説をしていて、その中で僕が作者の五十嵐大介氏に嫉妬していた事を話した。


カッコつけようにも、漫画家が皆「自分の好きなもの」を描かせてもらえるわけではないのだ。

描きたいことを描けない状況にあった僕にとって、僕が描きたい題材で五十嵐氏が評価されているのは「目を背けたくなる事」だったのだ。



【嫉妬の利用法】


幸いにして僕は「嫉妬」の扱い方をずっと学んできた。


1つは「今度は俺の番だ」と切り替え、嫉妬をエネルギーに変えて進む、という基本的やり方だ。

そうは言っても嫉妬を「健全な方向」に切り替えるのは難しい。


なので「成功している人も実は自分と同じ苦しみを抱えてきた」という事実を知る事が重要なのだ。


当時「絶望に効くクスリ」に描いていたのはまさにこの事だった。

取材で見えてくるのは、どんな成功者も必ず(何度も)地獄を見ている事だった。


そんな漫画を何年も描いていた僕は、五十嵐氏もまた「大変な苦労」や「眠れない夜」があった事が容易に想像できる。


これが想像できると、嫉妬はある程度抑制できる。


そして「そんな人でも成功した」という事実が、自分にとっての「希望」に変わるのだ。



【冷笑という悪手】


この「相手を知る」「相手の苦しみを想像する」という事をしないまま「嫉妬」を抱えていると、事態は悪い方へ流れていく。


その中でも最悪なのが「冷笑」という態度だ。

年長者に多い気がするけど、まあ全世代にいるし、ネットでは特によく目にする。


黎明期のネット掲示板に溢れた「乙」「草」「w」の一撃で相手を斜めから嘲笑する態度はまさにそれだ。



相手の思いや、具体的な根拠の検証もないまま(笑)で突き放して上に立つ(気分になる)。


「陰謀論w」とか「意識高いw」みたいなのも同じ「冷笑」だ。


なぜこういう態度に出るのか?

当然それは「自己防御」のためだ。

 

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