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山田玲司のヤングサンデー 第110号 2016/11/14

ドナルド・トランプが食らわした「セカイ系の終わり」

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驚愕の大統領選。その直後に公式放送。
放送ではふざけて「大変です!アネキャン廃刊です!」とかなんとかふざけてましたけど、本当は何ヶ月も前から今回の大統領選が気になって仕方なかったんですよねえ。


この日も朝からテレビにがじりついて投票結果を見つめてました。
何しろこの世界は「アメリカ次第」な部分が多すぎる。


この国は「どうしようもなく大国(アメリカ)の属国」なようで。
何だかんだ偉そうに(日本国内で)誰かと議論しても、所詮は「地球の裏側の小さな島国の中」そこでいくら議論して相手を論破しようが論破されようが、議論じゃ「世界」はほとんど変わらない。


まあそんなわけで自分のできる範囲で「やれることをやるだけ」なんだけど、やっぱりアメリカの政治は気になる。

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そんなわけで「トランプ大統領爆誕」という大激震がきたわけだけど、これは少々笑えない事態だ。
排他主義でマッチョで差別主義の大統領なんてまるで悪夢だ。


とはいえ女性初の大統領になりそこねた「ヒラリー」も感じ悪い。
当時世界最高のハイスペ男ビル・クリントンをモノにしてファーストレディーになった後は「今度は私が大統領よ!」とばかりに苦節8年、今度こそ夢の大統領になるんだからお金はいくらでも使いまくるわ!って感じ。
どうも「自分のために生きている女」って感じで好きになれない。
一方でヒラリーに乗っていた連中が慌ててトランプと仲良くしようと動き始めたのも嫌な感じだ。


そんな「大混乱の政局」を見ていて1つ大きく感じる違和感があってね。
トランプの「もうアメリカは外国のことなんか面倒みないからな!」って言って「アメリカ第1主義」でアメリカ国内経済を優先するって話なんだけどね。


「海外に工場を作らせない」とか言ってるやつです。


「アメリカ人の買う車は、アメリカの工場がアメリカで作るのだ」なんて話。
これに対して「これはグローバリズムの後退だ」なんて嘆いている評論家がいる。
うーーーん。まあ、色々問題は起こるだろうけど嘆くことばかりとは思えない。




確かにトランプ大統領は僕から見ても問題だらけで不安を感じるキャラクターだけど、そもそも大企業が国内の労働者を見捨てて、安い賃金でいくらでも働く貧しい国のいる国に生産拠点を移して利益は国内に、っていうグローバリズムは人間を幸せにしているのかね?


貧しい国に「富裕層」と「環境問題」が生まれて、アメリカ国内には「雇用」がなくなってセレブが「強大」になっていく。しかも「タックスヘイブン」なる手法で国内に税金を払わない人が沢山いる。


僕には慎ましく暮らしてた国に「iPhone」と「金持ちになる夢」を与えて、環境と人間関係をズタズタにして、最後はほとんどの人を「貧しくする」のが「グローバリズム」に見えるんだよねえ。

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昔の武将は「天下を取る」なんてやってた。
最近でも「出世する」とか「社長になる」とか「セレブに・・」なんて相変わらずやっている。
若い人には減ったものの、年寄りにはまだまだこの「天下取り」の上昇志向の人が多い。


まさに「ヒラリー陣営の世界観」はこれだろう。
「世界は自分のものである」というある種の「セカイ系」なのだ。


角度を変えるとトランプの「アメリカさえ良ければそれでええんじゃ!」というのは、そんな「セカイ系」の産んだ「傲慢な帝国」を終わらせる1撃にも見える。




どっちにしてもこの出来事(大統領選)は「何重にも仕掛けられた複雑な脚本」があるように感じる。
オバマが「変化と融和を体現してくれるアイコン」として現れ、その裏で「セカイ」を凄惨な戦場にしてしまったのとは裏腹に「対立と憎悪と旧社会の破壊者のアイコン」として現れたからと言って本当に対立と破壊をもたらすかどうかはわからない。




思えばネット(IT)はグローバリズムを促進させるための最強の兵器だった。
トランプの選挙戦で最も効果的に使われたものはツイッターだったらしい。
ネットの力がグローバリズムにとどめを刺すとしたら、なんだかシェークスピアみたいで面白い。
テレビが力を失いつつある事を決定づけた年でもある。