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山田玲司のヤングサンデー 第103号 2016/9/26
「金持ちはみんな死んでしまえ」という映画
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この映画、一言で言うと「金持ちはみんな宇宙人に魂を乗っ取られているゾンビみたいなヤツだからマシンガンでぶっ殺せ!」みたいな映画です。
ヤンサンで面白いのは「何やら面白いことが起こる場所」という「場」が生まれたことでした。
その中で更に僕らに近い場所で色々体験したい、と思ってくれた人が集まってくれているのが、「ゴールドパンサーズ」というサロンです。(手っ取り早く動画が観られるという理由の方も大歓迎ですが)
今月その「ゴルパン」で、僕を含めた参加者がそれぞれ自分のオススメの映画のDVDを持ち寄って、その映画の良さをプレゼンして、みんなで投票して優勝した映画をその後みんなで観る、というイベントをしました。
プレゼンされる映画はマニアックなものから宇多田ヒカルのライブまで多種多様で、中々の盛り上がりでした。
そこで優勝したのがなんと、ジョン・カーペンター監督の伝説的カルト映画「ゼイリブ」でした。
この映画、一言で言うと「金持ちはみんな宇宙人に魂を乗っ取られているゾンビみたいなヤツだからマシンガンでぶっ殺せ!」みたいな映画です。
主人公は退役軍人で仕事がないマッチョなおっさんです。
その世界は貧富の差が激しく、華やかな都市の片隅で彼は半分ホームレスみたいな暮らしをしています。
ある日彼は教会の謎の組織で「真実の見えるサングラス」を手に入れます。
そのサングラスで街の看板を見ると、何気ない広告が「服従せよ」とか「考えるな」とか「買え」とか「テレビを観てろ」とかの文字に変換されて見えるのです。
面白いのは、バカンスを勧める看板は「結婚しろ」みたいに変わるのです。
特に多いのが「眠ってろ」というメッセージです。
いいですねえー。
そして街にいる金持ちで上品ぶった(演出でそんな感じに見せている)OLやビジネスマンは、醜い「ゾンビ」みたいに見えるのです。
これまた、わかりやすくていいですねえー。
どうやらこの映画の世界では、地球は「どこか遠くの宇宙人の植民地」みたいにさせられていて、人間はもはや自分たちで考えることを放棄させられ、宇宙人寄りの特権階級(ゾンビにされてるけど)以外はテレビなどの洗脳で「消費の奴隷」にされてしまうのだ・・・・みたいな懐かしいノリです。
「まるで少年ジャンプの増刊号に載ってる読み切りみたいだ」なんて言っている人もいました。
「ゼイリブ」ってのは「やつらはいる」みたいな意味でしょう。
後の「メン・イン・ブラック」みたいな「地球にはすでに宇宙人はいる」系の系譜だけど、「やつら」に内包されている裏の意味は「エゴイズム」のことですね。
恥ずかしいくらいの本質。ジョン・カーペンター。最高です。
この映画が作られた時代は1989年。
マドンナが「マテリアルガール」で、私はお金とモノが1番大事、みたいに歌った84年から5年。
始めは「ある種の皮肉」として歌われていた拝金主義もやがて「ガチ」になってきていました。
日本は空前のバブルに踊っている時代です。冷戦は続いていたものの、ベトナムの傷から立ち直ったアメリカは経済的に世界を支配し、清貧ヒッピー文化は過去の遺物となり、それまでの「愛は金では買えない」みたいな時代は終って「結局は金だよね」という時代が始まり、それに疑問を持つのも「古い感覚」とされていったのです。
「ゼイリブ」が笑えない問題
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