かわめのラノベ

賢者と死神のダイアローグ

2013/02/02 13:03 投稿

  • タグ:
  • 童話
  • 哲学
死とはいったい何のかと、考えてばかりいる賢者がいました。
賢者は考え独り言を言いました。
「どうして人は死について恐れるのか。」

すると、賢者の目の前に死神が現れました。
死神は賢者に言いました。
「我は死神である、お前の命を奪いに来た。」

すると、賢者は死神に言いました。
「貴方が死神ですか、分かりました。しかし、私が死ぬ前に一つだけ問いたい事があります。」

死神は賢者の問いに対して答えてあげようと言いました。



賢者は死神に問いました。
「どうして人は死について恐れるのですか。」


その問いに死神は答えました。
「それは、今まで生きていた生活が消えるからだ。」


賢者は死神に問いました。
「人が死ぬとはいったいどんな事なんですか。」


その問いに死神は答えました。
「人が死ぬとは人が生きていないと言う事だ。」


賢者は死神に言いました。
「生きていないと言う事はいったいなんですか。」


その問いに死神は答えました。
「生きていないと言うのは死んでいると言うことだ。」


賢者は死神に言いました。
「では、死んだ人は生きてない。つまり、生きてないと言う事は生きていた時に動いていた人が動かなくなったと言うことですか。」


その問いに死神は答えました。
「そうだ、死ねば人は動かない死体となるのだ。」


賢者は死神に言いました。
「では、その動かない死体の中に死を見る事は出来ますか。」


その問いに死神は答えました。
「死を見る事は出来る。死体の体は動かない、その動かない死体そのものを見て人はそれを死と呼ぶのだ。」


賢者は死神に言いました。
「それは、ただ死体と言われてる動かない物で、死そのものでは無いと思います。ならば本当の死とはいったいなんですか。」


その問いに死神は答えました。
「お前の言う死とは死体では無いと言うのなら、本当の死とは無である。」


賢者は死神に言いました。
「今、貴方は本当の死は無だと言いましたが、死が無なら生とは有ると言う事ですか。」


その問いに死神は答えました。
「そうだ、死が無なら生とは有ると言う事だ。今のお前は生きている、つまり有ると言う事だ。」


賢者は死神に言いました。
「ならば、その死の無とはいったいなんですか。」


その問いに死神は答えました。
「無とは何も無い事、それが無であり死ぬと言う事だ。」


賢者は死神に言いました。
「無が無であるなら、そこには無いと言う事。つまり、無いと言うなら死そのものも無いと思います。」


その問いに死神は答えました。
「しかし、お前は今生きている。有ると言う事だ。つまり、無も存在するのだ。」


賢者は死神に言いました。
「無も存在すると貴方は言いましたが、その存在すると考えている自分がどこにいるのですか。」


その問いに死神は答えました。
「無論、死んで無になったお前がだ。」


賢者は死神に言いました。
「死が無であるなら、無いと言う事。しかし、その無を考える自分が有るなら、貴方が言った生きてる事は有ると言う事と同じではないのですか。ならば、無について考えている自分が有るなら、それは死では無いと言う事になります。では、本当の死とはいったいなんですか。」


死神は賢者の問いに答えられず、困ってしまいました。
そして、死神は賢者の前から消え去り、二度と賢者の前に現れる事はありませんでした。




















コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事