文学研究誌 "willow"

~デレステプロデュース日誌~ 〇月〇日「酒と私と高垣楓」

2021/02/21 14:14 投稿

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※この日誌は酩酊の中で書かれたため、実際の出来事とは多少異なる場合があります。



不思議な偶然もあるものだ。いや、必然だったのかもしれないな。居酒屋で楓さんと出くわすというのは。今回はこの、酒と私と高垣楓の一幕を追うとしよう。


仕事終わりにフラフラと居酒屋へ寄る習慣がすっかり付いてしまった私は、今晩も『居酒屋のうだら』の扉を開けた。いつもどおりの景色が広がった。こぢんまりとして、カウンターしかなくて、薄暗くて(もうちょっと明るくても良いと思うけど)、店主が無口で、なじみの店だ。

普段私は、開店直後にここへ来ることが多い。その時間は全く客がおらず、何も気にすることなく静かに飲めるのが好きだ。店主のこだわりか、有線すら流さず、ボトルを開ける音、注ぐ音、コップを置く音、飲む音、呼吸の音……全てが鮮明に聞こえるのだ。

今日は残業が長引いて、もう20時だ。客の一人でもいるかと思ったが、店内は相変わらずガランとしていた。果たして儲かっているんだろうかと疑問に思いつつ、私はいつものように右端の席に腰かけた。きっと寄りかかる壁が欲しいのだ。揺れる心を抱きしめてほしいのだ。

酔いの回り的にも店の売り上げ的にも悪いかなと思いつつ、一杯目のウイスキーロックを二口。私の喉を焼きながら通る酒の音、その直後に鳴ったのは扉の開く音であった。もし団体だったらこれで勘定だなと軽くそちらを見れば、私は二度と三度と目を動かすハメになった。木でできた焦げ茶色の扉の横に立っていたのは、薄明かりでも分かるほの白い肌をした、アイドル高垣楓であった。


何度か事務所ですれ違ったことがある。毎回この上なく上品な挨拶をしてくれるので、私はその度に申し訳なく思っていた。もはやすれ違うだけで緊張するようになった。今彼女を目の前に、私は平静を装って、すぐに目が合ってしまったので、声が上ずってはまずいと思い、軽く会釈をした。

すると彼女も会釈を返し、半歩ほど左右をさまよった後、私の二つ隣の席に腰かけた。いや、これはとても悩んだと思う。離れすぎてもなんか変だし、真横というわけにもいかないだろう。そういえば、私のことをどこまで知っているんだろうか。

彼女は日本酒の何かを注文した。沈黙が訪れた。静かすぎた。さっきまで歩く音座る音かばんを置く音ささやく声が連続で鳴っていたので、余計にそう感じた。コップが置かれた、ボトルが開いた、注がれた、差し出された、受け取った、一口飲んだ、コップを置いた。この間、誰も喋らなかった。

この居酒屋のあるべき姿なのに、なぜか違和感におそわれた。珍しく店主が空咳までしている。知り合いであることを悟ったか、アイドルを前に動揺したか。そもそもこの人はテレビさえ見てなさそうだが。

飲むタイミングが揃いそうになってはわざとずらし、三口ほどぎこちない酒になってしまった。悪酔いしてしまいそうだ。氷のかたむく音が私の心を刺すようだった。


「●●さん…で、合ってましたよね?……違っていたらごめんなさい」

心臓が跳ね上がった。高垣楓の声は、囁き程度であっても芯があり、ハッキリと聞こえた。

「……よく、ご存じで」

事だ。


ここらへんまではちゃんと憶えている。だがこの先どうだったっけか。結構酒は進んだと思う。グチもこぼしてしまったと思う。でも悪酔いはしなかった。ほら、こうして今、私はとても心が晴れやかだ。

ただ一つ心残りなのは、彼女の渾身のダジャレが思い出せないことだ。なんだっけなぁ。

<<契約内容>> 派遣先:(株)346プロダクション
業務内容:臨時プロデューサーとして、所属アイドルの現場補助
契約期間:3か月毎に更新、最長年数未定
休日:週2日、変動制、派遣先に依存
各種手当:派遣先に依存

<<以下、作品の注釈>>
*SSR獲得記念回です。
*この日誌は、2020年6月21日より始めたデレステにおいて、私がゲーム内で感じたことなどを多分に脚色した「創作的プロデュース日誌」です。時系列等、事実と異なる場合がありますのでご了承ください。
*なお(神谷奈緒ではない)、「私」はデレマスをやっておりません。その点も併せてご理解いただければ幸いです。
*プロローグはこちら
*ピクシブでも公開中です。
https://www.pixiv.net/novel/series/1341160

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