文学研究誌 "willow"

第2文学修行 04 「7月某日夜23時、商店街で太陽が〇〇を広げた」

2020/07/18 13:31 投稿

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商店街

まばらに走り抜ける車以外に、この商店街の静けさを描き消すものはいなかった。
まばらに照らし去るヘッドライト以外に、この商店街の造形を見せるものはいなかった。

数年前に閉店した文房具屋は、今もなお外観だけが残り、「三菱鉛筆」と赤い文字で書かれ
た看板は、もう日に焼けて消えかけている。
散髪屋のサインポールが、ガラス戸の向こうに引きこもって休んでいる。
シャッターに大きく書かれた「ゆ」の文字は商店街一の存在感がある。
立ち飲み処「やっさん」の前には、サラリーマン達の溜息がそろそろ消えかかっていた。
直近の経営統合によって綺麗になったバス停の看板は、少しづつ街に馴染めてきたようだ。
白く太く「フジカラー」の文字は、緑を背景にして堂々としていた。
商店街に穴が開いたように、コインパーキングが一角にできていた。
小学生向けの雑誌は、明日にまた店頭へ飛び出して本屋を彩るだろう。
タワー型の立体駐車場はずっと封鎖されていて、動くかどうかさえ怪しい軽トラがずっと見
張っている。
パン屋では生地がいびきを立てて寝ている。
スーパーマーケット「モンマルシェ」はおしゃれな外観を窮屈そうにおさめている。

全て通り過ぎていただけの場所。

鳴りを潜めた太陽が、私の視野を広げたのだ。


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