●山口県岩国市地域編集長 西村 マサユキの記事をご紹介します!
精進料理の本場、永平寺で修行を積んだ僧侶・吉村昇洋さんが主宰する
「広島精進料理塾」は、料理はもちろん、いただく時の作法も重視されています。
11月29日、吉村さんが副住職を務める曹洞宗普門寺(広島県広島市中区)で開かれた塾では、
マツタケごはん、赤だしの味噌汁、秋野菜の炒め蒸し、シラスもどきの4品が並びました。
前回の記事では塾の前半部分を紹介しました。
今回は、いよいよ、お楽しみの試食タイムなのですが…!
…無表情の吉村さんに、参加者の皆さんも楽しくなさそう?
いえいえ、実は、作法の実践中。
精進料理は、僧侶が修行に耐えうる身体づくりをするために必要な食事で、
食べることも修行なのです。
食事中は言葉を発しない、複数の料理を一度に口にしないなど、厳しい作法があります。
慣れない参加者は作法に戸惑いますが、「それこそ修行です」と吉村さん。
この作法で料理を口にすると、一つ一つの食材の味が鮮明になります。
「生産者はもちろん、食材の流通にかかわった多くの人の手を経ているから、
ここに並んだ食材は奇跡の巡りあわせです」と、箸を進める参加者に吉村さんは説いていきます。
参加者からは「苦手な食材も食べられた」
「ひとつ、ひとつの味がよくわかった」などの感想があがりました。
前回の記事で紹介したこんにゃくは、「シラスもどき」になりました。
ショウガやミョウガのみじん切りが利いた小鉢でした。
私が驚いたのは「秋野菜の炒め煮」に使われていた金時人参。
人参臭さがなくて、甘いんです!
食べ終えた後も、作法があります。
薄切りのたくあん1~2枚とお茶で、それぞれの器をぬぐい、いただいて「ごちそうさま」です。
「厳しいだけでは興味がわかないので、楽しめるように心掛けています」と吉村さん。
毎月、塾は開催されていますので、ホームページをチェックしてぜひ体験してみてください。
※寺の門にある「不許葷酒入山門」の石碑。
肉やニンニク、ニラ、ネギ類などを食べた人間の立ち入り禁止、という意味だそう。
【広島精進料理塾】
・開催日:原則、毎月最終土、日
・開催場所:曹洞宗普門寺(広島市中区)
・詳細情報:広島精進料理塾HP
【吉村 昇洋さん】
1977年、広島市生まれ。
曹洞宗普門寺副住、臨床心理士、県立広島大学人間文化学部健康科学科の非常勤講師などを務める。
大本山永平寺で2年2か月間修行生活を送り、
精進料理に関する著書執筆や、各メディア出演などをこなす。
自他ともに認めるタモさん好きで、「タモリ倶楽部」出演経験もある。
著書:「心が疲れたらお粥を食べなさい」(幻冬舎)
「気にしなければ、ラクになる。」(幻冬舎エデュケーション)
「週末禅僧ごはん」(主婦と生活社)
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