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2018年7月20日放送『金元寿子と川上千尋のテラ娘屋』ラジオドラマ「浦島太郎」脚本

2018/07/28 12:00 投稿

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  • 金元寿子と川上千尋のテラ娘屋
浦島太郎 日本昔話

キャスト
浦島太郎 大久保瑠美
子供 川上千尋
カメ 金元寿子
乙姫 川上千尋
召使い 金元寿子
お婆ちゃん 川上千尋
未来の子供 金元寿子
BGM(オープニング)~
浦島「んー、良い天気だなぁ。今日はクロダイを狙いたいなぁ」

SE 波の音~

子供「ひっくり返したら、どれくらいで死ぬかな?」
カメ「いやぁー!やめてぇー!殺さないでぇー!」
子供「うるさい!ひっくり返してやる!んーっしょ!んーっしょ!」
カメ「だ、だめですぅー!恥ずかしいですぅー!」
子供「亀の裏側は、どうなってるのかなぁ♪」
浦島「こらこら、そんな事をするもんじゃない」
カメ「ど、どなたか存じ上げませんが!お助け下さいぃー!」
子供「んだよ、邪魔すんなよ。ほら、ひっくり返れよ、カメ!」
カメ「あぁー!無理!無理ですからぁー!」
浦島「仕方ないなぁ、じゃあ、私がお金をあげるから、その亀を売ってくれないか?」
子供「は? くれるの?」
浦島「そうだよ。ほら」
SE ジャラ
子供「え?ひぃふぅみぃ……5文? おい、カメ。お前の命ってこんなに安いんだってよ」
カメ「……せ、せめて、銀貨1匁(もんめ)くらいにはなりませんか?」
浦島「は?」
カメ「いえ……なんか、命の値段と言われるとちょっと自尊心が……」
子供「ほれ、出せよ、カメの命の値段」
浦島「ぐぬぬ……はぁ……持ち合わせ全部くれてやる……銀なんて持ち合わせてない。 百文ちょっとあるはずだ」
子供「まいどあり!」
SE 走り去る

浦島「やれやれ、あぶないところだったね。また捕まらないうちに、とっとと海にお帰り」
カメ「我儘言ってすいません。ありがとうございました」
浦島「この後釣りをするが、絡まないように気をつけてくれよー」
カメ「はーい」
SE ザバザバ……

浦島「さて、無一文になってしまったし、頑張って釣って、少し稼ぎましょうかね!」
BGM FO

後日
SE 潮騒~SE 船を漕ぐ音~

浦島「さてと、今日はのんびり沖釣りとしゃれこみますかね」

SE ちゃぷちゃぷと舟が波に揺られてる

カメ「浦島さん、浦島さん」
浦島「ん? 呼ばれた?」
カメ「浦島さん、浦島さん。私です。先日助けていただいた亀です。」
BG(不思議な出来事)~
浦島「へ?」
カメ「この前は危ないところを本当にありがとうございました。 是非是非、そのお礼をさせて下さい」
浦島「わざわざお礼なんか、いいんだよ」
カメ「いえいえ。是非お礼がしたいのです。浦島さんは竜宮城を知っていますか?」
浦島「竜宮城? 海の中にあるという、お魚たちのお城かい?」
カメ「そうです。今日は、浦島さんを私達の竜宮城にご招待します。」
浦島「いやいや、海の中でしょ? 海の底までどうやって行くんだい? 僕はそんなに深くまで泳ぐ事はできないよ?」
カメ「えへへ♪ 大丈夫ですよ♪ 私の背中に乗ってください! あっという間にお連れしますから」
浦島「そうかい? それじゃあ……っと、その前に一つ聞いて良いかな?」
カメ「はい、なんでしょう?」
浦島「なんで僕の名前を知ってるの?」
カメ「え?」
浦島「あの時、一度も名前を教えてないよね?」
カメ「あ……」
SE ざぶん~

BG(海の散歩)~
浦島「うわぁ、本当に水中だ」
カメ「(ブクブク)どうですか?綺麗でしょ?」
浦島「え?なに?聞きとれないよ?」
カメ「(ブクブク)綺麗でしょ?」
浦島「さっぱりわからないや」
カメ「(ブクブク)そんなぁ」
浦島「そもそも、どうやって声を出してるんだろう?」
カメ「(ブクブク)そこ?いまさら!」
BGM FO

SE(キラキラキラ)~
カメ「ここが竜宮城ですよ。どうです?浦島さん。綺麗でしょう」
浦島「いやはや……本当に海の中?」
カメ「そうですよ~。では、どうぞ中にお進みください。」

BGM(竜宮城)~
乙姫「浦島さん、ようこそおいでくださいました。 先日は亀の命をお助けくださいまして、まことにありがとうございます」
浦島「これはこれは! 凄いべっぴんさんだぁ…… そして、あなたも僕の名前を知っているのですね?」
乙姫「えぇ、日柄釣りをしては、 決して上手ではないですが、釣りあげたら売るか売れ残っても しっかり上手に私達を食べて下さる方で有名でございますから」
浦島「……私達? 食べる?(はわわ)」
乙姫「海の物たちを代表して、お礼を申し上げます」
浦島「ごめんなさい!いつもおいしいです! あ、何を口走ってるんだろう!」
乙姫「大丈夫ですよ。美味しく食べて下さるのですから、無駄な殺生ではありません。 捕まったのは残念ですが、魂は浮かばれます。恨みなど御座いません」
浦島「そ、それなら、良かったです……」
乙姫「では、なんにもおもてなしはございませんが、どうぞゆっくりしていって下さい。」
浦島「それで……あなたのお名前は何と言うのでしょうか?」
乙姫「あ……」

BG(竜宮城の宴)~
召使「失礼します」
SE 配膳
浦島「これは……壺焼きに焼き魚に……刺身? 海の幸ばかり」
乙姫「えぇ。肉などが無くて申し訳ありませんが」
浦島「そんなそんな!こんなに立派で美味しそうな……しかし、この刺身とかは……」
召使「私の彼氏でした……」
浦島「えー!」
乙姫「気になさらず♪ぜひ味わって下さい」
浦島「いやいや、無理無理無理!」
召使「そんな……大切なお客様の為に、刺身へと姿を変えたのに……うぅ(泣)」
浦島「え!食べないと泣かれるの?恨まない?」
乙姫「前にも言いましたが、生きていく上で捕食されるのは世の常。 死ぬことはそれほど辛くありません。無駄死にすることこそ辛いのです……」
召使「なので、是非美味しく食べてあげて下さい。私の彼氏」
浦島「彼氏って言わないでー! 食べにくいから!」
乙姫「さぁ」
召使「さぁ」
二人「お召上がり下さい!」
浦島「……は、はい……あむ……ん(咀嚼)……あ、美味しい」
乙姫「はい♪ 良かったです♪」
召使「流石は私の彼氏だっただけのことはあります」
浦島「あ、美味しく食べられるのって誇らしいんだ?」
召使「あしたは、私を食べますか?」
乙姫「それとも、私を食べたいですか?」
浦島「いえ!流石にこうして交流した人……魚?はごめんなさい!」
乙姫「そうですかぁ……」
召使「振られてしまいましたわ……」
浦島「重い……食事だけなのに、重いよ!」
BGM FO

乙姫「それでは、歓迎の踊りを浦島さまへ捧げたいと思います」
浦島「踊りですか?」
乙姫「踊りはお嫌いですか?」
浦島「いえ、その……踊りと言われても、盆踊りくらいしか知らなくて…… 雅な方達の踊りとかだったら、初めてだなぁ……って」
乙姫「そうですか♪是非楽しんで下さいませ」
浦島「はい、そうして頂きます」
乙姫「それでは……ミュージック、スタート」
浦島「は?」

BGM 低音バリバリのEDM(エレクトロダンスミュージック)

乙姫「フゥー!」
召使「ッハァ!」
浦島「ナ、ナンデスカー!」
乙姫「踊りです!ダンスです!」
召使「さぁ、お客様もご一緒に」
浦島「あ、手を引っ張らないで!」
乙姫「ご一緒にフィーバーしましょ♪」
召使「両手を上に突き上げてぇ」
浦島「こ、こうですか?」
乙姫「フィーバー!」
召使「ウンッ!」
浦島「サイコー!!」
BGM ゆっくりFO

浦島「はぁはぁはぁ……ダンス、でしたか……凄い疲れますね……」
乙姫「マグロなんかは一日中踊ったりしますよ?」
浦島「す、凄い!」
召使「ダンスで如何に激しく踊れるか。それが美味しさを左右するんです」
浦島「……君たちの基準は美味しさなんだね……うん、慣れるように努力します」
乙姫「いついつまでも、お楽しみ下さいね♪」
浦島「ありがとう」
乙姫「では、もう一度踊りましょう♪」
浦島「え?」
BGM再び~ FO

乙姫「浦島さん、どうなさったのですか?」
浦島「思えば、長いことこちらにお世話になってしまいましたが、 ふるさとは今どうなっているか…… 父や母は元気でいるかと心配になってしまって…… そろそろ僕は帰ろうかと思います」
乙姫「そう……ですか(凹)」
浦島「乙姫様の辛いお顔を見ると、決心が揺らぎます」
乙姫「では、残って下さるのですか!」
浦島「いえ、それは……ごめんなさい……」
乙姫「決心なされたのであれば仕方がありません。誰か、例の物を持て」
召使「はい」
召使「こちらを」
浦島「これは一体?」
乙姫「これは玉手箱と言って、中には一番大事な宝が入っています。 これを差し上げますので、お持ち帰り下さい」
浦島「お土産まで……恐縮です」
乙姫「ですが、あなたがもう一度竜宮城へ帰ってきたいと思うのであれば、 どんな事があってもけして、決してこの箱を開けてはいけませんよ」
浦島「は、はい……わかりました」
乙姫「では、カメに送らせますので……またのお越し、お待ちしていますね」
浦島「では」

SE(波の音)~

カメ「浦島さん、到着しましたよ」
浦島「我が故郷よ、私は帰ってきた!……って、1年ぶりくらい?」
カメ「いえいえ、もっと経ってますよ?では、私はこれで失礼します」
浦島「子供に気を付けるんだよ~」
カメ「心配して下さって、ありがとうございます」

SE ざばざば~

浦島「はて……おかしいな。 ちょっと旅に出ていた間に、随分と様変わりしているようだ…… まずは家に帰らなないとな。話しはそれからだ」

BGM~
SE(風の音)~

浦島「えぇー! どう言う事だ? 家が……無くなっている…… どうしたんだ? お父さんは? お母さんは? どこに行ってしまったんだ?」
浦島「あ!もしもし、そこのおばあさん、浦島太郎のうちはどこでしょう?」
お婆「浦島太郎? そんな人はきいたことがありませんねぇ」
浦島「そんなはずはありません! たしかにこのへんに住んでいたんです! 漁師の浦島太郎ですよ!」
お婆「あー、そう言えば、わたしが子供の頃に聞いた話で、 むかしむかし、この浜にいた漁師の男がある日、 舟に乗って海に出たまま、帰ってこなくなったんだそうです。 きっと海の底の竜宮城にでも行ってしまったんじゃないかと言い伝えられていますよ。 その漁師の名前が、浦島太郎だったような気がするねぇ」
浦島「昔話し? どんなに昔なのです?」
お婆「さぁてねぇ…… 私のお婆ちゃんですら、人に聞いた話だったらしいので、 百年は経ってるんじゃないですか?」
浦島「な、なんと言う事だ……私を知る者はもう誰もいない…… 一人ぼっちになってしまったのか……」
少年「うわ! なに兄ちゃん泣いてるの? キモっ……」
浦島「え? き、キモ? どう言う事」
少年「気持ち悪いって言ったの」
浦島「そ、そんな……絶望したー! こんな道徳心の無い子供に絶望したー!」
少年「うるせー!」

SE(浜辺を歩く・ゆっくり)~

浦島「そうだ。この箱をあけてみたら、何かがわかるかもしれない」

SE ぱか~もあもあ

浦島「ん?煙が出てきただけで……なんにも入っていないのじゃろうか?」

BG(エンディング)~
浦島「じゃろうか? な、なんじゃ、これは……」
浦島「なるほどぉ、乙姫様が言っていた、大事な宝っちゅーのは、人間の寿命だったのじゃな」
浦島「あぁ……体中が痛い……お迎えが来るんじゃろかねぇ……」
乙姫「行ってらっしゃいませ、浦島様。あの世へ……」

SE(波の音)~やがてFO

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