夜鷹(姉)甲賀流女忍者。馴れ馴れしく、雌猿も気に行ったから弟子とした
雌猿(妹)忍者見習い。クノイチ姉妹の頭脳担当。
年齢はそれぞれ54(忠勝の3つ上)、49(忠勝の2つ下)。
時は1599年慶長4年の年末
二人の女が手紙を手にしている。年寄りと言うには若く見える。
夜鷹「なになに?『自分の若い頃は人手も無く、女も戦場に駆り出された。 男の中には血の臭いを嗅いだだけで卒倒する情けない奴も居たのに、 女は毎月の出血で慣れているのか、いざと言う時は男よりも度胸が据わってる。 攻め込まれた時、真っ先に突撃して行ったのも女だった』?」
雌猿「母君も大概でしたけど、突撃した女って言うのは、姉さんのことでしょうね」
夜鷹「平八郎だってすぐに突っ込んで行く癖に、まるで私が猪みたいじゃないか」
雌猿「そうですね。思えば最初に会った時も、平八郎殿が突撃なさってきたんですものね」
夜鷹「今でも思いだせる……」
回想・1562年、忠勝14歳。夜鷹17歳。雌猿12歳。
BG 合戦中
夜鷹「我が主に槍を向けるお前は何者ぞ!」
雌猿「お姉ちゃん……」
本多忠勝が名乗りをする
夜鷹「……本多平八郎忠勝……」
雌猿「こんなに堂々と名乗りを上げるなんて……」
夜鷹「一騎打ちをお受けになるのですか?こんな子供如き、私がからかっておきますわ」
夜鷹「判りました……では、御武運を……」
夜鷹が警戒を解き、後ろに下がる。
雌猿「お姉ちゃん、あの人強いよ?」
夜鷹「たぶん、主は負けると思う。そうしたら、あの男について行く」
雌猿「私もそうしたいと思ってた」
夜鷹「じゃあ、そうしよう」
回想終わり
夜鷹「勝てる気がしなかったもんなぁ」
雌猿「私としては一目惚れでしたよ」
夜鷹「晴れて女にして貰った時には、泣いて喜んでたもんな」
雌猿「だから、あれは痛みで涙が出ただけだと何度言えば……」
夜鷹「ちゃんと平八郎も好いてたさ。でなければわざわざ改宗なんてしなかっただろうさ」
雌猿「あぁ、私が『一向宗の踊り念仏が気持ち悪いから、浄土宗に変えて下さい』 って言った奴ですね」
夜鷹「まさか改宗した直後に三河の一揆に巻き込まれるなんて、 神様がいるなら悪戯が過ぎるよ」
雌猿「そうですね。 結果的に一族の中で平八郎殿だけが離れてしまうし、その上で勝者にいましたからね」
夜鷹「そして、うちらの運命が決まった気がする」
雌猿「そこからは私達の快進撃でしたからね」
夜鷹「それにしても(苦笑)
回想・姉川の戦い、1570年、忠勝22歳、雌猿20歳、夜鷹25歳。
雌猿「参りましたね、膠着状態です」
夜鷹「裏で糸を引いている奴に襲撃をかけるべきか?」
雌猿「やはり、総大将の朝倉孫三郎ですね」
夜鷹「それが一番効くか……けど、本隊の真柄はヤバかった」
雌猿「あの鬼とも呼ばれてる真柄(まがら)十郎左衛門直隆ですね」
夜鷹「籠絡するのに閨(ねや)を共にしたんだけど、 イチモツも相応に大きく、もう一本の太郎太刀で裂かれるかと思ったよ(笑)」
忠勝、夜鷹が直隆に抱かれ、なおかつ大きさについて話すのが面白くない
雌猿「…ん?平八郎殿?」
忠勝が嫉妬で思わず単騎駆けをしてしまう。
SE 馬、駆ける
夜鷹「平八郎?!」
雌猿「本隊を目掛けて単騎駆け!?姉さん、追って!!」
夜鷹「もちろん!!待て!平八郎!!」
SE 馬、駆ける
雌猿「陣形を偃月(えんげつ)に、賭けに出ましょうと大将に進言を!」
雌猿「……私でも嫉妬をしてくれるのかな? 戻って来た時に昂ってたら、私が受け止めてあげあきゃ……」
SE 馬、駆け寄る
夜鷹「平八郎ー!!」
夜鷹「はぁはぁ……何を考えてるのよ……全員を相手にしてたらいくら平八郎でも死ぬわよ」
夜鷹「ふぅ……あれ?ジューザ(十郎左衛門)?」
夜鷹「ん?なに嫉妬してるのよ。必要だから、イタしただけ。 私はあなたのものよ……雇い主って意味で(ボソッ)」
忠勝が一騎打ちの申し込みをしていた
夜鷹「って、え!一騎打ちを申し込んだの?!」
回想終わり
雌猿「帰って来てから凄かったんですから……そのまま身篭ってしまったし……」
夜鷹「あの頃は遊び半分で、色仕掛けしてたし、 ちょっと悪戯しただけのつもりだったんだけどね」
雌猿「この単騎掛けによって状況が動いて、最終的に朝倉家を崩せたんですから。 良かったとしましょう」
夜鷹「あれはみんな若かったね。若さ故になんとかなった、と言うところでしょうが」
雌猿「これをきっかけに、影の軍師としての立場が出来たのは望外の喜びでしたけど」
夜鷹「そして三方ヶ原(みかたがはら)ね」
回想・三方ヶ原、1572年、忠勝24歳、雌猿22歳、夜鷹27歳。
雌猿「平八郎様、この劣勢、申し判りません」
夜鷹「あんたのせいじゃないでしょ。 殿(徳川家康)が急に方針をかえたりするからこんなことになったのよ。 見通しが甘い」
雌猿「私が動けていれば、もっと情報を集める事が出来、対策も出来たかもしれない……」
夜鷹「乳飲み子を抱えてるうちは大きく動けるわけないでしょ? とは言え、この劣勢をなんとかしないとね。 後悔は後でさんざんすれば良い。とにかく『今』をどう脱却するかを考えなさい」
雌猿「姉さま、再度確認しますが、相手は魚鱗の陣形なのですね?」
夜鷹「魚鱗の陣には間違えないが、兵数が倍な上にあの武田軍よ?」
雌猿「本来なら、兵数を上回った上で飲み込むように鶴翼で潰したいけれど……」
夜鷹「また偃月の陣形で突破すると言うのは?」
雌猿「相手が強過ぎます。 なにより姉川の時に見せた陣形、対策をされている可能性も考えた方が良いでしょう」
夜鷹「う~ん」
雌猿「奇襲をかけましょう。 まず鶴翼(かくよく)の陣を引くように動いて貰いながら、 奇襲部隊をさらに奥に置きます。 左右に展開した時点で相手は鶴翼を疑うでしょうから、 正面から戦う準備をしているところに、奇襲をかけます」
夜鷹「それでも崩壊は難しいでしょ?」
雌猿「奇襲と同時に撤退しましょう。 ただ、時間が無いので全軍に通達は難しいので、大将にのみ通達して後は任せましょう」
夜鷹「私達平八郎の隊はどうする?」
雌猿「奇襲に参加。そして奇襲してすぐに撤退開始して、尻を持ちましょう」
夜鷹「腕が鳴るね!奇襲ってなら、一番槍は私に任せて貰おう」
雌猿「相手はまさに戦慣れした兵(つわもの)。なれば、勝機は忍びにしかないです。 私達の戦い方にこそ活路はあります」
夜鷹「平八郎、死ぬんじゃないよ? わたし?私はこの鎌一つあれば大丈夫よ。 草を刈るのも首を狩るのも得意なんだから♪」
雌猿「まるで南蛮で言う死神みたいですわ」
夜鷹「死神かぁ……いいねぇ♪ 影の者にはぴったりじゃない♪」
雌猿「平八郎様。奇襲に成功しても失敗しても、即時撤退です。それだけは守って下さい。 この戦は負け戦になります。いくら武勲を立てても、死してはつまらないでしょう? 同じ負けるなら、傷を負わないように逃げましょう」
夜鷹「じゃあ、平八郎、行くよ!」
SE 馬、駆ける
回想終了
雌猿「本当に傷一つ追わなかったんだから、平八郎殿は凄いです」
夜鷹「あの腕に、あんたの頭脳、そして私が暗躍して」
雌猿「楽しいですわ、今でも」
夜鷹「私はもう年を取り過ぎちゃったわ」
雌猿「思えば、伊賀越えが私達の最大の武勲でしたわね」
回想・伊賀越え、忠勝34歳、夜鷹37歳、雌猿32歳
夜鷹「殿が自害を所望しているぞ!」
雌猿「今はその時ではないはず!上様が討たれたからこそ、生き延びなければ」
夜鷹「平八郎、説得に行こう!止めねばならぬ!」
雌猿「今の状況では、拙速にして立て直すべき…… 姉さまは、半蔵殿に会って退路を相談して頂けますか? 街道を進んでは残党狩りに遭遇するでしょう。山を越えたいと思います。 半蔵殿なら手立てがあるはずですから、手はずをお願いして下さい」
夜鷹「わかった。 平八郎。ここで家康を殺させては、戦の傷にも劣ると思って説得しろ。 退路は必ず用意させる」
雌猿「さぁ、生き残りましょう」
回想終了
夜鷹「そして、ついに来るところまで来たわね」
雌猿「恐らくは、近いうちに大きく動く事になるでしょう」
夜鷹「平八郎も年だし、決戦になれば最後の戦になるだろうか?」
雌猿「まだまだ現役、傷は負わせません」
夜鷹「約束された勝利を」
雌猿「えぇ。まだ私達に出来る事はあるのですから」
夜鷹「翌年、予想通りニッポンは大きく動いた。関ヶ原の合戦である。平八郎は本陣にて構え、兵の数こそ少ないが奮闘し活躍を見せた」
雌猿「当然ながら、無傷であった。私達は少なからず傷を負ったけど」
夜鷹「戦場に出たら、普通なら傷の一つは付くわよ。平八郎がバケモノなだけだわ」
雌猿「本多平八郎忠勝の人生において、時々びっくりすることをするけれど、 実は私達が居たってのは……ここだけの秘密よ♪」
夜鷹「それにしても、なんで私は子供が出来なかったんだろ?」
雌猿「父親が誰か判らなくなるし、これはこれで良かったんじゃない?」
夜鷹「ま、そう言う事にしておきましょうか♪」
END
雌猿(妹)忍者見習い。クノイチ姉妹の頭脳担当。
年齢はそれぞれ54(忠勝の3つ上)、49(忠勝の2つ下)。
時は1599年慶長4年の年末
二人の女が手紙を手にしている。年寄りと言うには若く見える。
夜鷹「なになに?『自分の若い頃は人手も無く、女も戦場に駆り出された。 男の中には血の臭いを嗅いだだけで卒倒する情けない奴も居たのに、 女は毎月の出血で慣れているのか、いざと言う時は男よりも度胸が据わってる。 攻め込まれた時、真っ先に突撃して行ったのも女だった』?」
雌猿「母君も大概でしたけど、突撃した女って言うのは、姉さんのことでしょうね」
夜鷹「平八郎だってすぐに突っ込んで行く癖に、まるで私が猪みたいじゃないか」
雌猿「そうですね。思えば最初に会った時も、平八郎殿が突撃なさってきたんですものね」
夜鷹「今でも思いだせる……」
回想・1562年、忠勝14歳。夜鷹17歳。雌猿12歳。
BG 合戦中
夜鷹「我が主に槍を向けるお前は何者ぞ!」
雌猿「お姉ちゃん……」
本多忠勝が名乗りをする
夜鷹「……本多平八郎忠勝……」
雌猿「こんなに堂々と名乗りを上げるなんて……」
夜鷹「一騎打ちをお受けになるのですか?こんな子供如き、私がからかっておきますわ」
夜鷹「判りました……では、御武運を……」
夜鷹が警戒を解き、後ろに下がる。
雌猿「お姉ちゃん、あの人強いよ?」
夜鷹「たぶん、主は負けると思う。そうしたら、あの男について行く」
雌猿「私もそうしたいと思ってた」
夜鷹「じゃあ、そうしよう」
回想終わり
夜鷹「勝てる気がしなかったもんなぁ」
雌猿「私としては一目惚れでしたよ」
夜鷹「晴れて女にして貰った時には、泣いて喜んでたもんな」
雌猿「だから、あれは痛みで涙が出ただけだと何度言えば……」
夜鷹「ちゃんと平八郎も好いてたさ。でなければわざわざ改宗なんてしなかっただろうさ」
雌猿「あぁ、私が『一向宗の踊り念仏が気持ち悪いから、浄土宗に変えて下さい』 って言った奴ですね」
夜鷹「まさか改宗した直後に三河の一揆に巻き込まれるなんて、 神様がいるなら悪戯が過ぎるよ」
雌猿「そうですね。 結果的に一族の中で平八郎殿だけが離れてしまうし、その上で勝者にいましたからね」
夜鷹「そして、うちらの運命が決まった気がする」
雌猿「そこからは私達の快進撃でしたからね」
夜鷹「それにしても(苦笑)
回想・姉川の戦い、1570年、忠勝22歳、雌猿20歳、夜鷹25歳。
雌猿「参りましたね、膠着状態です」
夜鷹「裏で糸を引いている奴に襲撃をかけるべきか?」
雌猿「やはり、総大将の朝倉孫三郎ですね」
夜鷹「それが一番効くか……けど、本隊の真柄はヤバかった」
雌猿「あの鬼とも呼ばれてる真柄(まがら)十郎左衛門直隆ですね」
夜鷹「籠絡するのに閨(ねや)を共にしたんだけど、 イチモツも相応に大きく、もう一本の太郎太刀で裂かれるかと思ったよ(笑)」
忠勝、夜鷹が直隆に抱かれ、なおかつ大きさについて話すのが面白くない
雌猿「…ん?平八郎殿?」
忠勝が嫉妬で思わず単騎駆けをしてしまう。
SE 馬、駆ける
夜鷹「平八郎?!」
雌猿「本隊を目掛けて単騎駆け!?姉さん、追って!!」
夜鷹「もちろん!!待て!平八郎!!」
SE 馬、駆ける
雌猿「陣形を偃月(えんげつ)に、賭けに出ましょうと大将に進言を!」
雌猿「……私でも嫉妬をしてくれるのかな? 戻って来た時に昂ってたら、私が受け止めてあげあきゃ……」
SE 馬、駆け寄る
夜鷹「平八郎ー!!」
夜鷹「はぁはぁ……何を考えてるのよ……全員を相手にしてたらいくら平八郎でも死ぬわよ」
夜鷹「ふぅ……あれ?ジューザ(十郎左衛門)?」
夜鷹「ん?なに嫉妬してるのよ。必要だから、イタしただけ。 私はあなたのものよ……雇い主って意味で(ボソッ)」
忠勝が一騎打ちの申し込みをしていた
夜鷹「って、え!一騎打ちを申し込んだの?!」
回想終わり
雌猿「帰って来てから凄かったんですから……そのまま身篭ってしまったし……」
夜鷹「あの頃は遊び半分で、色仕掛けしてたし、 ちょっと悪戯しただけのつもりだったんだけどね」
雌猿「この単騎掛けによって状況が動いて、最終的に朝倉家を崩せたんですから。 良かったとしましょう」
夜鷹「あれはみんな若かったね。若さ故になんとかなった、と言うところでしょうが」
雌猿「これをきっかけに、影の軍師としての立場が出来たのは望外の喜びでしたけど」
夜鷹「そして三方ヶ原(みかたがはら)ね」
回想・三方ヶ原、1572年、忠勝24歳、雌猿22歳、夜鷹27歳。
雌猿「平八郎様、この劣勢、申し判りません」
夜鷹「あんたのせいじゃないでしょ。 殿(徳川家康)が急に方針をかえたりするからこんなことになったのよ。 見通しが甘い」
雌猿「私が動けていれば、もっと情報を集める事が出来、対策も出来たかもしれない……」
夜鷹「乳飲み子を抱えてるうちは大きく動けるわけないでしょ? とは言え、この劣勢をなんとかしないとね。 後悔は後でさんざんすれば良い。とにかく『今』をどう脱却するかを考えなさい」
雌猿「姉さま、再度確認しますが、相手は魚鱗の陣形なのですね?」
夜鷹「魚鱗の陣には間違えないが、兵数が倍な上にあの武田軍よ?」
雌猿「本来なら、兵数を上回った上で飲み込むように鶴翼で潰したいけれど……」
夜鷹「また偃月の陣形で突破すると言うのは?」
雌猿「相手が強過ぎます。 なにより姉川の時に見せた陣形、対策をされている可能性も考えた方が良いでしょう」
夜鷹「う~ん」
雌猿「奇襲をかけましょう。 まず鶴翼(かくよく)の陣を引くように動いて貰いながら、 奇襲部隊をさらに奥に置きます。 左右に展開した時点で相手は鶴翼を疑うでしょうから、 正面から戦う準備をしているところに、奇襲をかけます」
夜鷹「それでも崩壊は難しいでしょ?」
雌猿「奇襲と同時に撤退しましょう。 ただ、時間が無いので全軍に通達は難しいので、大将にのみ通達して後は任せましょう」
夜鷹「私達平八郎の隊はどうする?」
雌猿「奇襲に参加。そして奇襲してすぐに撤退開始して、尻を持ちましょう」
夜鷹「腕が鳴るね!奇襲ってなら、一番槍は私に任せて貰おう」
雌猿「相手はまさに戦慣れした兵(つわもの)。なれば、勝機は忍びにしかないです。 私達の戦い方にこそ活路はあります」
夜鷹「平八郎、死ぬんじゃないよ? わたし?私はこの鎌一つあれば大丈夫よ。 草を刈るのも首を狩るのも得意なんだから♪」
雌猿「まるで南蛮で言う死神みたいですわ」
夜鷹「死神かぁ……いいねぇ♪ 影の者にはぴったりじゃない♪」
雌猿「平八郎様。奇襲に成功しても失敗しても、即時撤退です。それだけは守って下さい。 この戦は負け戦になります。いくら武勲を立てても、死してはつまらないでしょう? 同じ負けるなら、傷を負わないように逃げましょう」
夜鷹「じゃあ、平八郎、行くよ!」
SE 馬、駆ける
回想終了
雌猿「本当に傷一つ追わなかったんだから、平八郎殿は凄いです」
夜鷹「あの腕に、あんたの頭脳、そして私が暗躍して」
雌猿「楽しいですわ、今でも」
夜鷹「私はもう年を取り過ぎちゃったわ」
雌猿「思えば、伊賀越えが私達の最大の武勲でしたわね」
回想・伊賀越え、忠勝34歳、夜鷹37歳、雌猿32歳
夜鷹「殿が自害を所望しているぞ!」
雌猿「今はその時ではないはず!上様が討たれたからこそ、生き延びなければ」
夜鷹「平八郎、説得に行こう!止めねばならぬ!」
雌猿「今の状況では、拙速にして立て直すべき…… 姉さまは、半蔵殿に会って退路を相談して頂けますか? 街道を進んでは残党狩りに遭遇するでしょう。山を越えたいと思います。 半蔵殿なら手立てがあるはずですから、手はずをお願いして下さい」
夜鷹「わかった。 平八郎。ここで家康を殺させては、戦の傷にも劣ると思って説得しろ。 退路は必ず用意させる」
雌猿「さぁ、生き残りましょう」
回想終了
夜鷹「そして、ついに来るところまで来たわね」
雌猿「恐らくは、近いうちに大きく動く事になるでしょう」
夜鷹「平八郎も年だし、決戦になれば最後の戦になるだろうか?」
雌猿「まだまだ現役、傷は負わせません」
夜鷹「約束された勝利を」
雌猿「えぇ。まだ私達に出来る事はあるのですから」
夜鷹「翌年、予想通りニッポンは大きく動いた。関ヶ原の合戦である。平八郎は本陣にて構え、兵の数こそ少ないが奮闘し活躍を見せた」
雌猿「当然ながら、無傷であった。私達は少なからず傷を負ったけど」
夜鷹「戦場に出たら、普通なら傷の一つは付くわよ。平八郎がバケモノなだけだわ」
雌猿「本多平八郎忠勝の人生において、時々びっくりすることをするけれど、 実は私達が居たってのは……ここだけの秘密よ♪」
夜鷹「それにしても、なんで私は子供が出来なかったんだろ?」
雌猿「父親が誰か判らなくなるし、これはこれで良かったんじゃない?」
夜鷹「ま、そう言う事にしておきましょうか♪」
END
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