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たくにゃんのブロマガ

石井君(その1)

2013/07/19 21:00 投稿

  • タグ:
  • 雑記
  • マーチングバンド
  • 書きすぎて構成が前後した
  • 石井君

実はこのブロマガの記事、三度目なのだ。
だいたい同じような内容で改めて書いている。これは辛い。心が折れる。
とりあえず、iPodでアニソンでも聞きながらやり直すことにした。
今はこの4行ですら上書き保存したい気分だ。


さて、なんとなく始めたラノベっぽい何かが意外に閲覧数が増えている。
普段、雑記ばかり書いていたのでなんとも微妙な心境なのだが、
自分が書いたものがそれなりに読まれていることが素直に喜んでおきたいと思う。

いきなりだが最近、顎関節症になった。どういうわけか四十肩まで患ってしまった。
いずれにしてもそれぞれの筋を痛めたようで、普段の生活が悪いのかそうなった。
口腔外科と整形外科を受診する羽目になったのは痛い、文字通り痛い。
顎は就寝中に歯を食いしばっているせいなのかも、と言われた。
肩はフィットネス中に痛めた。もうおじいちゃんか俺は。

先ほど消えた文章もこんな感じの枕だった。もういいかな。

今回は筋の悪い人について語る。
どのジャンルにおいても、「やりたいこと」と「できること」は必ずしも一致しない。
「下手の横好き」という言葉もそれを言い得て妙である。残念ながら個体により、
その向き不向きは違うようだ、と思いたい。

今回、筋の悪い人として一人挙げる。
決して彼を見下していたわけではないので誤解なきよう。
そう思われたのであれば、文章力の至らなさゆえと思ってスルーしていただければ。
少なくとも彼とは良い友人だった。一番長く行動を共にした奴だった。

彼を仮に「石井君」としよう。彼とは二年生まで同じクラスで部活も同じだった。
彼は傍目には長身でスマートで顔もそこそこイケメンだった。
ここまでの流れで、「なのに筋が悪い」というのはお察しいただけたと思うが、
本当に筋が悪い。どれだけ筋が悪かったのかをここに残していきたい。

部活が同じだった。ちなみに吹奏楽部だ。
パートはパーカッション。叩くものならうんたんでもドラムでもなんでも叩いた。
誰でも叩けばそんな「感じ」の音になるが、音色にすることはできない。少なくとも
音楽にはならない。

概要としてはこんな感じかな。

そして我らがパーカッション。
そもそも打楽器はラッパや笛みたいに吹奏しないため、割と、というか、やりたがる人は
特に少ない。当然イヤイヤ回ってくる人もいた。同じ音をずっと叩き続ける、練習も
ひたすら地味で、延々と掘った穴を埋める作業を繰り返すような、修行や罰ゲームに
近いと感じる人も少なくないだろう。誰が好き好んでこんな地味な作業に3年も
費やさねばならんのだ。しかも地味なくせに演奏でミスすると他のパートでは素人には
聞こえなくとも、打楽器は派手に音がなるだけに台無しだ。

が、奴が来た。がに股で。石井君だ。
同じクラスだったため、大勢の仮入部希望者の中、彼は親しげに寄ってこう言った。

「やあ。同じパートだね。一緒にがんばろう」

聞くと、彼は中学時代は帰宅部だったのだとか。で、何故ここにいるんだろう。
新入生歓迎と称した、部活の勧誘をゲリラ的に行うのがその部の伝統だったのだが、
どうもその時のパフォーマンスが気に入って来たらしい。しかし彼は楽器など
やったこともなければ、ここで演るようなジャンルに特に造詣が深いわけでもなかろう。

「やっぱりアレ見て来たんだよね?いやあすごかったよね」

うん、ゲリラパフォーマンスには正直ド肝を抜かれた。
仮入部期間の始まる前の時期、昼休みにいきなり中庭でマーチングバンドが
ものすごい勢いで演奏を始めたのだ。中学時代の部活にはあまりいい思い出が
なかったので、高校では続ける気はなかったのを思い直したほどの衝撃だった

動機もしょっぱいのに何故かやる気はありそうだったが、
まともに基礎練習にもついてこれない。それでも彼は一緒に続けた。
うんたん♪すれば誰にでもどうにかなりそうな下っ端の役を経て二年生になった。
入ってきた経験者の一年生が何名かがうちのパートに来た。
予想通り、石井くんは彼女らには最初から全然歯がたたない。

芸術とは競争だ。実力があれば認められ、さらなる高みを目指す。
そうでない者は遅かれ早かれ身を引かざるを得なくなる。
どこの世界でもどんな仕事でも同じなんだろうけど。
大会に勝ち抜くほどの強豪校などは事前にオーディションを実施し、上手な方を採用し
そうでない者は難易度の低いパートか、補欠として舞台にたつことすら許されない。

しかし、この学校のこの部は旧態依然とした伝統があった。賛否はともかく、
学年により、担当するパートが予め決まっていたのだ。これは先輩を立てるという意味が
大半を占めるのだが、打楽器として扱う楽器の数や難易度の違いによるところもある。
二年生になったということはそれまでの楽器を後輩に託し、自分は一段上の楽器を
持たされる。下克上がないため、最上級生は文句なしに一番目立つパートを担当できる。
つまるところ、「おいしい役」が回ってくるのだ。どうだおいしいだろう。
これには「勝つための部活動」ではなく、「教育としての部活動」の色が強いバンドが
己の自己満足のためにそこそこ腕を磨く。だいたいこんな感じでゆるく行われる事が多いが、明らかに我が部は後者だった。
入ってくる経験者にはそんな同じパートに「隙あらば奪い取る」ハイエナ共がいる中で
己のプライドと負けん気で自分の立場を確立して勝ち抜いてきた猛者もいる。この場合、
仮入部の段階でヌルすぎてやってらんねーと辞めていくケースも多い。

さて、石井君。この伝統はもうひとつ重要な意味がある。ところてん式に任された
その楽器を自身の責任において全うしなければならないということだ。
二年生からはバスドラムを担当することになっていた。


モデルは可愛いけど楽器と持ち方はこんなかんじの。

楽譜が渡され、数日の個人やパートでの練習。そして全体での合奏に入る。
指揮者(ドラムメジャー)がカウントを入れ、曲が始まる。するとタクトを振る指揮者の
手が止まった。こちらを見ている。理由はわかっていたのだが。

「おーい、バスドラ(ゲームじゃない。バスドラムの略称だ)、なんかおかしいぞ」

「サーセンッシター!エーイ」

と、再度演奏が始まる。と、また同じ所でタクトが止まる。いくらゆるいとは言え、
縦社会において先輩はおっかない存在なのだ。

「バスドラまた間違ったろ。ちゃんと練習してんのかコラァ」

また最初からやり直し。今度はタクトが飛んできた。

「石井てんめぇやる気あんのか。お前らちょっと外で合わせて来い。合うまで帰ってくんな」

失笑と溜息を背にして、非常口から退散する。
春先の音楽室の外階段に練習台とスティックを抱え、ガタガタと震える二人。
ここに来た理由がわかっているために石井くんの自慢の長身が小さく見えた。
もうここまで来たら言われたとおり合わせるようになるしかない。

「じゃぁ、このフレーズをおさらいするね」
と、カウントを取って始める。音符を文字で表現するのは無理があるので言葉にした。
ユニゾンなので同時に同じフレーズを叩く。

ずんででどべーん
すんででんどべーん

「ちょっと待った。石井君、そこは【ずんででどべーん】だよ。途中が間違えているよ」

「ああそうだった?ごめん。【ずずでんでどべーん】だったね」

「いやいや、さっきとも違うよ。楽譜をよく見て。作曲しちゃだめだよ。【ずず】って続いていないでしょ。じゃあ、もう一回やろう」

ずんででどべーん
ずんでででどっべーん

「はいはい、また変だよ。作曲しちゃだめじゃないか。いいかい、ここは16分音符のシンコペーションを意識して音を出すところと休符のところをきっちりわけないと」

「うん、シンコンペーションだね。わかった」

「なんでそこ噛むかな。いらっしゃーい、じゃないんだから。実は意味わかってないだろう。
とりあえずお手本をみせるから」

ずんでで
ずんでで

「こらこら。一緒にやってどうする。見て聞いて覚えろください。もう一度やるから今度は見ててね」

「うん、見てる」

ずんででどべーん

「わかった?ここはソリだから、(ソロ二人でという意味。合ってるかはわからんがそう呼ばれていた)間違うと曲が台無しだからね。じゃぁもう一回」

ずんででどべーん
ずずでんでごめーん

「こら。なんで最後謝ってるんだ。おまいは演奏中に声をだすのか」

といった具合だ。このフレーズは、ただの一小節のなかの一部分でしかない。一曲続けて
間違わずにこなすのには、かなりの無理があろう。



余談だが、一年生はシンバル。

三年生はドラムラインの華形、スネアドラム(動画左側)
や自分のやっていたテナードラム(動画右側)を担当することになっていた。

右奥にバスドラいるな。それにしてもすごいな、この動画・・

ここで言うバスドラムとは大小、音の高低の異なる大太鼓を二人でそれぞれ持ち、掛け合うことで、通常、パーカッションの譜面は一本線に音符が並ぶのだが、「バスドラム」は
複数本に流れるように音符が振り分けられている。掛け合いのため、ずれるとみっともない。
例えば「タタトト」という16分音符が4つ並んだとして、「タタ」と「トト」がそれぞれ
別の人が担当して「タタトト」という音になる。これが「タタトント」とか「タタットト」に
なるともう別のフレーズになる、と言った具合だ。
和太鼓でも大小様々な太鼓でそれぞれ別のフレーズを叩いているのを見たことがあると思うが
まさにあんな感じでもっとシステマチックになったと思っていいと思う。

本来、4人以上いるともっとメロディアスになり「タチツテ」と別々の人が続けて
叩くのだが、人数不足のため、これを上半分、下半分で二人で分けていたのだ。

音は低音で倍音も長い。地味に存在感が会った。いわゆる「ドラムライン」の縁の下だ。
本番でこけたら一大事だ。石井君とのやりとりは文字のせいでなんだかゆるーくなって
いるが、彼をどうにか本番に間に合わすために結構必死な思いでつきあっていた。

もっと言うと、マーチングバンドなので、重量のある打楽器でも肩に担いで動いて演奏する。
曲を演奏するのは当たり前だが、これに指示された場所に何拍使ってどこへ移動するかなど
緻密に計算されているため、これも間違うと大変なことになる。歩き方にも決まりがある。
これらを全部こなせてようやくひとつのパフォーマンス(ドリル)になるのだ。
反復練習と意識の持ち方で維持する、自分流に言うと、綱渡りな出し物だったわけだ。

数ヶ月が経ち、ようやく形になった。だいぶごまかしはあったんだけど、このまま
音楽室で演奏ばかりしていては動きの練習も仕上げもできないので仕方ない。
とりあえず、中庭のテニスコートで楽器を持った状態で動いてみることになった。
動きは一応指示通りに移動はできたが、どうしても彼のガニ股だけは直らなかった。
自分にも目の前に肩から担いた楽器があるので、石井君の足元など見えるはずもないので
実際どうなっているかは全体を見ている指揮者か、それを補佐してチェックする部員に
限られていたが、大体どんな感じかは予想はついた。

「石井!お前ちょっとそれどうにかなんねえのか」

あーあ。やっぱりか。彼は一人外され、基礎の基礎、足踏みからやり直しとなった。
今回、練習に付き合うのは自分ではなく、補佐の人だった。やれやれ、ご苦労なこった。
先輩もご存知の通り、彼は筋金入りに筋が悪いので腹をくくって見てやってくれぃ。
だが、この「動き」の部分で最悪の事態になるとは誰も予想はしていなかった。


(続く)


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