マル激!メールマガジン 2015年6月17日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第740回(2015年6月13日)
国立競技場は設計段階からやり直すしかない
ゲスト:森山高至氏(建築家・建築エコノミスト)
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東京オリンピックの目玉プロジェクトの一つとされる新国立競技場の建設が暗礁に乗り上げている。このままでは国立競技場の建設が2019年のラグビーワールドカップはおろか、2020年の東京オリンピックにも間に合わなくなりかねない深刻な事態だ。
新国立競技場の建設に伴うさまざまな問題を指摘し続けている建築エコノミストの森山高至氏によると、現状は、そもそも国際コンペで決定した当初の計画通りに競技場を建設することが本当に可能なのかどうかすら定かではなく、仮に可能だったとしてもコストがどこまで膨れあがるか見当がつかないと指摘する。そのため、旧競技場の解体がほぼ完了している現段階でも、本体工事の受注業者さえ決まらない状態が続いているのだ。
前回の番組でも森山氏が指摘しているが、そもそもザハ案は日本の消防法との整合性に問題があり、またキールアーチと呼ばれるザハ特有の構造が、予定地の条件と合わないなど、建築設計上無理があることもわかってきた。それを無理矢理建てようとすれば、膨大なコストがかかる上にどれだけ時間がかかるかも定かではないということのようだ。
ここは誰かがリーダーシップを取り、ザハ案を破棄し、より現実的な計画への転換を図ることが最も現実的だと森山氏は言う。通常のスタジアムの建設であれば、まだ時間は十分に間に合うし、コストも従来のスタジアム並で済む。ところが、この現実的な選択肢を選ぼうとすると、コンペで有識者に選んでもらったザハ案を破棄するという決断を下せる人が誰もいないという、ガバナンスの問題が立ちはだかる。
行政官僚が、一度決まったことは何があっても推し進める「暴走列車」的な習性を持っていることは、数々の無駄な公共事業がごり押しされる場面でわれわれはこれまでも繰り返し見てきた。それを仕切れるのは政治しかない。
ザハ氏は優れたデザイナーかもしれないが、元々、明治神宮の風致地区でも神宮の杜には、ザハ氏の巨大な脱構造的建築物は似つかわしくないとの異論が根強かった。そして、それが構造的にもコスト的にも、そして何よりも時間的に難しいことがわかった以上、政府は一度下した決定に固執せずに、ここで設計変更の英断を下すべきだと森山氏は言う。
新国立競技場問題の現状と今後の見通し、そしてそのドタバタから透けて見える「日本国の問題」について、森山高至氏とともに神保哲生と宮台真司が議論した。
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今週の論点
・新国立競技場の問題点と、ここまでの経緯
・ザハ案を推進する“有識者”の幼稚園児的発想
・東京都との関係に見るJSCの不透明さ
・森山氏の提案する「真国立競技場」とは
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