マル激!メールマガジン 2015年2月11日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第722回(2015年2月7日)
安倍外交で日本が渡ろうとしている橋とは
ゲスト:孫崎享氏(元外務省国際情報局長)
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今まさに日本が渡ろうとしている橋は何という橋で、橋の向こうにはどのような世界が広がっているのだろうか。武装グループ「イスラム国」(ISIS)による日本人人質事件が最悪の結果に終わったことが、日本外交の針路に大きな影響を与えることになりそうだ。
安倍政権はもともと、「戦後レジームからの脱却」という大きな政策目標の一環として、国際社会における日本の役割を、これまでの人道的貢献に限定されたものから、より軍事面を含んだものに転換していく意向を明確に打ち出してきた。そして、昨年来、武器輸出三原則の緩和や憲法解釈の変更などを着実に実行に移してきている。しかし、そうした一連の動きは、少なくともこれまでは日本という一国の枠内の域を出ないものだった。ところが今回、安倍首相がISISと戦う国への支援を約束し、その報復としてISISが日本人の人質の命を奪ったことで、日本は期せずして「テロとの戦い」の表舞台に立つことになった。
安倍首相が先の中東歴訪でテロとの戦いを支援する意思を宣言したことは、日本が変わりつつあることを印象づけると同時に、日本があくまでアメリカと一蓮托生で生きていく道を選んだことを強烈に印象づける結果となった。
安倍首相はこれを積極的平和主義と呼んでいる。外務官僚として国際情報局長、イラン大使などを歴任し、長年外交の最前線に立ってきた孫崎享氏は、一見、安倍首相のイニシアチブに見える積極的平和主義などの外交路線も、相当部分は外務省の入れ知恵によるものとの見方を示す。外務官僚が戦後レジームの脱却を掲げる安倍首相が好みそうな外交路線を示し、その方向に誘導する上で都合のよい情報だけを上げていけば、大枠で官僚が政治家をコントロールすることは決して難しくない。
しかし、より大きな問題は、外務省が日本の国益を最優先で考えて外交を行っているとはとても思えないことだと、孫崎氏は言う。外務省内ではアメリカ一辺倒の路線に対して異論を挟むことが難しくなっているというのだ。そしてそれを支えているものは国益はおろか、外務省という一官庁の省益よりもさらに小さい、私益によるものだと孫崎氏は言う。
安倍首相が自信満々で推し進めている積極的平和主義の行き着く先には何が待っているのか。アメリカと一連託生の道が日本にとって本当に一番幸せな道なのか。その結果、われわれ国民が払わされることになる対価は何なのか。ゲストの孫崎享氏とともに議論した。
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今週の論点
・首相の責任を問えない、言論空間の異常さ
・「積極的平和外交」の欺瞞
・アメリカの思惑に貢献することのメリットはない
・日本が今渡ろうとしている橋の先には、何があるか
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