マル激!メールマガジン 2014年3月19日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第674回(2014年03月15日)
誰も知らない裁判所の悲しい実態
ゲスト:瀬木比呂志氏(元裁判官・明治大学法科大学院教授)
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マル激では何度となく、警察、検察の問題、とりわけその捜査、取り調べの手法が公正な裁判の妨げになっている問題を取り上げてきた。この問題はあまりにも繰り返し表面化するため、もはやわれわれにとってはそれがライフワークの一つになっている感すらある。
しかし、この10余年、途中に何度も重量級の不祥事に見舞われながら、警察も検察もその体質はほとんど変わっていないようにみえる。そして司法の堕落、 腐敗の根っこに鎮座するご本尊が裁判所だ。どんなに大きな世論の逆風に見舞われても、依然として警察や検察が人質司法や無茶な捜査を続けられる最大の理由は、裁判所がそれを裁判で認めてくれるからに他ならない。その意味では司法問題の最大の責任者にして戦犯は裁判所なのだ。
その裁判所の内情はあまりにもひどい状況になっているようだ。元裁判官で最高裁事務総局や最高裁調査官の経歴を持ち、2012年に退官して現在は明治大学法科大学院教授を務める瀬木比呂志氏は、裁判官の世界は事実上陸の孤島のような外界から閉ざされた状態にあり、その閉鎖性の中で、あり得ないような基準がまかり通っていると言う。
瀬木氏は、現在の司法界は、最高裁を頂点とする権力ピラミッドによる内部統制が極めて効果的に運用されていると指摘する。本来、個々の裁判所、裁判官個々人には階級の上下はないはずだが、司法官僚とも称される最高裁事務総局が人事と昇級の権限を握っていることから、ほとんどの裁判官、裁判所は否応なく上を見て行動するしかない状態だという。さらに事務総局は30名ほどの裁判官を調査官として抱えていて、最高裁の公判以外にも各地の裁判、判決を細かく分析し、内部の会合などを通じてことあるごとに最高裁の意向を下命している。しかも、裁判官が自身の良心に従って、例えば国家賠償訴訟や行政訴訟で市民側の肩を持つような判決を出そうものなら、露骨な報復人事が行われるという。
瀬木氏は「法曹一元化によって人材の流動化を図ることが先決だ」と言う。法曹一元化とは弁護士などから多様な人材を裁判官として任用する仕組みのことだが、硬直化した司法行政体制を打破するには、まずは人事を通じて現在の硬直性、閉鎖性に風穴を開けるしかないと言うのだ。
裁判所が変わらなければ日本の司法は変わらない。いや、一国における正義の最終的な体現者たる裁判所が、このような堕落した体質のままでは、日本全体が ダメになってしまう。日本問題の最深部にある裁判所の問題をわれわれはどう考え、何をすべきなのか。歴代最高裁長官の功罪や裁判官の質の低下、そしてそれ らを報じないメディアの問題なども交えて、ゲストの瀬木比呂志氏とともに議論した。
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今週の論点
・裁判員制度は刑事系裁判官復権の隠れ蓑だ
・最高裁判事の類型――個性豊かで人間味のある人物は「5%」
・それでも司法は変えられる
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