マル激!メールマガジン 2014年3月12日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第673回(2014年03月08日)
原発事故で露呈した、敗戦から何も学んでいなかった日本
ゲスト:船橋洋一氏(ジャーナリスト・日本再建イニシアチブ理事長)
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東日本大震災、大津波、そして福島第一原子力発電所のメルトダウン事故から3年が経とうとしている。被災地の復興においても日本が抱えるさまざまな病理や課題が次々と露わになっているが、とりわけ原発事故については、事故原因の結論も得られていないし、事故現場の収束さえままならぬ状態であるにもかかわらず、もっぱら原発再稼働の是非に政権の関心が集まるという異常な状態にある。
福島原発事故独立検証委員会、いわゆる民間事故調のプログラムディレクターとして事故原因の調査に取り組んできた元朝日新聞社主筆でジャーナリストの船橋洋一氏は、あの原発事故を太平洋戦争の敗戦に続く「第二の敗戦」と捉え、その原因や再発防止により真剣に取り組む必要があると主張する。
あの事故は津波によって原発がすべての電源を失ったために、原子炉を冷やすことができなくなり、メルトダウン、メルトスルーに至ったと説明されている。原因がもっぱら津波だったかどうかについては議論があるところだが、いずれにしても万が一の時に原子炉を冷やせるより強固な設備を完備しておけば、今回のような事故は起こらないという前提に立ち、新たな安全基準などが作られている。
確かにハード面での不備は修正されなければならない。しかし、本当にそれだけでいいのだろうか。今回の事故がここまで甚大な被害をもたらすに至った背景には、単に電源のバックアップに不備があったということではないのではないか。われわれが最も真摯に反省しなければならない点は、ハード面での不備ではなく、日ごろからの危機に対する意識や優先順位を決めて損切りを決断するリーダーの養成だったのではないかと、船橋氏は言う。
では、福島の事故を無駄にしないために今、われわれに何ができるだろうか。船橋氏は何よりも事故の原因究明をより厳密かつ詳細に行い、事故と事故対応における失敗の責任の所在を明らかにすることが何よりも重要だと主張する。そこを曖昧にしたまま組織や仕組みをいじってみても、本当の意味で事故の教訓が活かされることはあり得ない。そして、それはわれわれが第三の敗戦に向けて邁進する道を選んだことを意味する。
われわれはなぜあれだけ酷い目にあっても、その原因と真摯に向き合い反省することができないのか。東日本大震災、福島原発事故から3年が経過したいま、事故に至る経過と事故への対応、そして事故後の原因究明や新たに作成された安全基準などから見えてくるわれわれ日本人の弱点について、先の戦争の反省と絡めながら、ゲストの船橋洋一氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・原発事故の教訓――責任は問われず、倫理性とセキュリティの議論も欠如
・もう神風は吹かない “運よく”生き延びられた日本社会
・リーダー不在の日本社会は、今後生き残ることができるか
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