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5金スペシャル映画特集 「罪」と「責任」の違いと韓国ドラマのすごさ

2021/08/04 20:00 投稿

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マル激!メールマガジン 2021年8月4日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/)
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1060回)
5金スペシャル映画特集
「罪」と「責任」の違いと韓国ドラマのすごさ
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 月の5回目の金曜がある週に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。
 今週は劇映画を1本、アニメを1本、テレビドラマを1本取り上げたのに加え、マル激史上では初となる韓国ドラマ大特集をお送りする。
 最初に取り上げた映画は7月30日公開の『アウシュヴィッツ・レポート』。
 ホロコーストをテーマにした映画は毎年のように作られるが、この映画はスロバキア、チェコ、ドイツ3か国の合作によるもので、歴史を記録し伝え続けることの重要さを、実話を基に力強く表現した作品だ。
 本編で描かれている、アウシュヴィッツに収容された2人のスロバキア系ユダヤ人の命を賭した行動と、彼らを逃がすためにいかなる懲罰をも厭わない勇気ある囚人仲間達の犠牲がなければ、今日われわれは「ホロコーストなどフィクションだ」といった言説に容易に流されてしまっていたかもしれない。それを身を以て痛感させてくれる。
 ナチス政権下のドイツは歴史上類を見ない非人道的罪を犯したが、単に一度謝罪して当事者が訴追されればその罪から開放されるのではなく、未来永劫その責任(responsibility)を取り続ける姿勢を見せることによってのみ、自分たちの過去から解放され、国際社会の尊敬を集めることができると説いたヴァイツゼッカー元大統領の演説の意味を想起した時、こうして毎年のように質の高いホロコースト映画が作られ続けていることの意味を日本人としても改めて考え直してみたい。
 その他、今人気公開中の『竜とそばかすの姫』、元々テレビで放送され現在Netflixで公開されている『微笑む人』を通じて、日本のアニメやドラマの現在地を確認した。
 さらに今回はマル激としては初めて、韓国ドラマを取り上げた。コロナの「ステイホーム」によって自宅で映画を見る習慣が急速に広がった2020年、Netflixで人気トップ10に何と韓国ドラマが5作品もランクインした。『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『サイコだけど大丈夫』、『青春の記録』、『キム秘書はいったい、なぜ?』の5つだ。2021年の通年ランキングはまだ出ていないが、今年に入ってからも既に『ヴィンチェンツォ』、『わかっていても』などが大ヒットを飛ばしていてランク入りは間違いない状況だ。韓国語をマスターしていない日本人にとって韓国ドラマは字幕を読む手間もかかる。Netflix上には欧米、とりわけ今や大物俳優を惜しみなく起用するようになったハリウッド映画も数多くあがっている。もちろん日本でヒットしたテレビドラマなども多数ある。そうした中にあってなぜ韓国ドラマがこれほどまでに人気を博しているのか。
 実際にこれらの作品を見てみると、単純に作品としての完成度が高いことに加え、ストーリー構成の巧みさ、一見くだらなそうに見えて誰もが思わず笑ってしまうようなギャグの挟み方の絶妙さ等々、確かに韓国ドラマのレベルは高い。問題はなぜ韓国がここまで質の高いコンテンツを提供できているのに、日本がそれに太刀打ちできる魅力的な作品を作れていないのかだ。2020年のNetflixのランキングを見ても、トップ10入りした日本の作品は「嵐」の活動を追ったプロモーショナルなドキュメンタリーとアニメ3作品と「テラスハウス」だけで、ドラマや映画は一つも圏内に入っていない。
 今週の5金スペシャルではジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、『アウシュヴィッツ・レポート』、『竜とそばかすの姫』、『微笑む人』の3作品と、韓国ドラマ特集として『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『ヴィンチェンツォ』の3作品を取り上げて、それぞれの作品の評価と日本の映画やドラマの現在地について議論した。

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今週の論点
・『アウシュヴィッツ・レポート』に見る「罪」と「責任」の違い
・『竜とそばかすの姫』の“届かない説教”
・ラスト以外よくできた『微笑む人』と、韓国ドラマのすごさ
・韓国にできて、日本にできないのはなぜか
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■『アウシュヴィッツ・レポート』に見る「罪」と「責任」の違い

神保: 本日は「5金」の映画特集です。最初に取り上げるのは『アウシュヴィッツ・レポート』というチェコ、スロバキア、ドイツの合作映画で、メジャー作品という感じではないのですが、実はアカデミー賞候補になっています。アウシュヴィッツやホロコーストをテーマにした映画は、本当に数多くありますね。

宮台: 毎年出てきます。

神保: それこそ『シンドラーのリスト』などいろいろとあるわけですが、この映画は若干ユニークと言いますか、そこで起きたことをなんとか外に伝えようとする人間たちと、それを逃すために自ら犠牲になる収容所の仲間たちの物語で。もちろん残虐性というものは例によって十分に描かれているのですが、テーマは「伝えること」であって、僕なんかからすると、自分の職業にも関係してきます。いまだにそこで起こったことを否定する人は多くいるわけで、命を賭してそれを伝えた彼らがいなかったら風にかき消されたかもしれない。

宮台: エンドロールで、そういうリアルなボイスが流れます。 

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