高山義浩氏:新型コロナが浮き彫りにするは日本社会の脆弱性
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マル激!メールマガジン 2020年12月9日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1026回)
新型コロナが浮き彫りにするは日本社会の脆弱性
ゲスト:高山義浩氏(医師)
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新型コロナウイルスの感染が再び拡大し医療現場のひっ迫が伝えられている。
政府は先月26日、これからの3週間が正念場だとして、感染拡大を抑制するための対策を強化する方針を打ち出している。ただ、GOTOの扱いや、東京都の高齢者などへの移動自粛要請など、日々変わる呼びかけに、戸惑いもひろがる。
沖縄県の公立病院の感染症内科医であり、厚生労働省新型コロナ対策推進本部の参与も務める高山義浩氏は、このままでは年末年始の医療は持たないと危機感を募らせる。
新型コロナの高齢者の致死率はインフルエンザの比ではなく、80歳代では20%近い。60代、70代でも新型コロナに感染すると、あっという間に人工呼吸器が必要になる人たちがいるという。報道される重症者の数字ではなく、その前の段階の中等症の患者をどう診るかが重要だと高山氏は指摘する。
ただし、冬場に医療がひっ迫することはこれまでもあった。そこに新型コロナという新たな負荷がかかり、地域医療の課題があらわになっていると高山氏は語る。
沖縄での経験から、高齢者施設などで利用者の感染が疑われた場合、とにかく素早く対応しクラスターにさせないことが重要だと高山氏は言う。沖縄では医師は24時間以内に現場に行き、感染防御の態勢が整備できているかをチェックし、感染リスクの高い人たちをなるべく広範囲に捉えて検査を繰り返すことで、これまでなんとか感染拡大を抑えてきた。
沖縄県はGOTOキャンペーンが始まって10日ほどした7月末に、県独自の緊急事態宣言を発令している。高山氏は、旅行そのものよりも、旅行先でマスクを外して飲食をすることなどが感染拡大につながっていることを指摘した上で、どこに行くかではなく、行き先で何をするかが問題であることを強調する。自治体によって状況は異なるが、自治体ごとの施策には予算にも制限があり、限界がある。今こそ国としての判断が必要なときではないかと高山氏は語る。
高山氏はまた、社会的な支援が必要な弱い立場にある人たちの感染状況を危惧する。感染症に強い社会はどうあるべきか、新型コロナ以後を見据えた議論が求められる。
GOTOに対する評価やワクチンへの期待と課題なども含め、医療現場と行政の間で日々、新型コロナ対策に取り組んでいる高山氏と、社会学者の宮台真司氏、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。
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今週の論点
・感染データの正しい読み方と、GOTOで注意すべきこと
・“何のためのワクチンなのか”を明確にすべし
・「PCR検査を徹底すればコロナは乗り越えられる」は甘い
・コロナ禍を奇貨として、われわれが学ぶべきこと
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■感染データの正しい読み方と、GOTOで注意すべきこと
迫田: 今回は久しぶりに新型コロナウイルスを取り上げます。第三波といわれ、医療が逼迫しているのではないかという事態になっていますが、宮台さんはどんな風に見ていますか。
宮台: 日本はもともとアメリカの100分の1の新規感染者数、1日あたり死亡者数重症者数で、フランス、イギリス、ヨーロッパもだいたいアメリカと同じ状況です。他方で自殺者がものすごく増えていて、マル激でも来週、その話をするわけですが、日本の場合、経済死といっても餓死するわけではなく、基本的に失業率と自殺率にかなり高い相関がある。したがって、コロナ死と経済死の合算したものを減らす、というのが政策としては合理的なんですね。
しかし日本の場合、コロナ対策を打とうにもまず政府が信頼されていない。
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