マル激!メールマガジン

宮坂昌之氏:コロナに負けない免疫力をつけるために

2020/05/13 20:00 投稿

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マル激!メールマガジン 2020年5月13日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第996回(2020年5月9日)
コロナに負けない免疫力をつけるために
ゲスト:宮坂昌之氏(大阪大学名誉教授)
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 私たちの身体には病原体の侵入や拡散を防ぐためのさまざまな仕組みが存在する。皮膚表面の角質や、気道や腸管内部の粘液、唾液、涙などの「物理的なバリア」には、「化学的バリア」として機能する殺菌性の物質が含まれ、相互的に機能している。そしてそれらの壁を乗り越えて入ってきた外敵に対しては、白血球が殺菌性物質を放出したり食べたりして戦ってくれる。これは「細胞性バリア」という。物理的、化学的、細胞性バリアを「自然免疫機構」と呼ぶ。そして、「自然免疫機構」が破られた時に出てくるのが、2種類の白血球とリンパ球から成る「獲得免疫機構」だ。これは一度出会った病原体を記憶する「免疫記憶」という能力を持っていて、特定の病原体を選択的にやっつけてくれる。ワクチンはこの機能を利用したものだ。
 今、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスは人類にとっては未知の存在、つまりこれまで出会ったことのない病原体だった。だから、まだわれわれには新型コロナウイルスに対する免疫記憶が備わっていないため、「獲得免疫機構」には期待できないが、とはいえ自然免疫機構は第一線の防御として常に働いている。
 免疫学が専門の宮坂昌之・大阪大学名誉教授は、高い免疫力を維持するためには、栄養や睡眠をしっかり取り、暴飲暴食を避け、ストレスを貯めず、適度の運動をすることで、免疫レベルをあげておくことが、新型コロナから身を守ることにつながると語る。
 免疫学の第一人者の宮坂教授に、そもそも免疫とはどのようなもので、いかに機能するのか、新型コロナに対する免疫は獲得できるのか、ワクチンはいつ頃できるのか、どうすれば免疫力をつけられるのか、などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。その他、PCR検査がなかなか増えないことに対する安倍首相と専門家会議の説明をどう見るかなど。

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今週の論点
・素晴らしき人体の免疫機構
・ワクチンの機能と開発状況
・処方箋は規則正しく、ストレスのない生活
・意味をなさないPCR検査と、ぼんやりとした安倍支持の終焉
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■素晴らしき人体の免疫機構

神保: 今回はずっとどこかで勉強したい、知りたいと考えていた「免疫」をテーマにお送りします。宮台さんは“ブルーバックス少年”として、やはり免疫には詳しいんですか。

宮台: そんなに詳しくはありませんが、ブルーバックスに載っているようなものは読んでいますね。「免疫がつく」という場合に、獲得免疫ともともとそれ以前から備わっている自然免疫が存在しているとか、またタンパク質が伝達物質で、その形が合うかどうかで獲得免疫の反応が起こるかどうかが決まる、ということもこの間、話題にしました。

神保: コロナは一度かかれば本当にもうかからないのか、ということも免疫の問題ですし、また感染しても症状が出ない人がいるのも免疫が関係しているのか、ということも気になっています。そこで、この分野の第一人者をゲストにお招きしました。大阪大学名誉教授の宮坂昌之先生にリモートでお話を伺います。第一人者に初歩的なことを伺う、という失礼なセッティングになってしまうかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 さっそくですが最初に総論として、免疫をご専門とされている先生からご覧になって、今回の新型コロナというものをどう受け止めていらっしゃいますか。

宮坂: このウイルスはどうも、免疫反応というのが普通のウイルスとかなり違うようです。例えば、免疫反応の起こり方が非常に遅く、上がっても低いということです。一度感染して治った人にどのくらいの免疫がつくのかがよくわかっておらず、さまざまなコロナウイルス の例を見ていると、おそらく1年以内、数ヶ月しか続かない免疫になるだろうと見られ、ワクチンがなければ1年の間に何度も波が戻ってくる、ということが起こるかもしれません。免疫学者にとっては、非常に不思議な新しいタイプのウイルスだと言えます。

神保: これまでの季節性インフルエンザと比べると、免疫的な視点からはどういう点が1番違いますか。

宮坂: 非常にいいご質問です。 

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