川本裕司氏:NHK問題の核心
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マル激!メールマガジン 2019年8月21日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第958回(2019年8月17日)
NHK問題の核心
ゲスト:川本裕司氏(朝日新聞社会部記者)
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先の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のスローガンで耳目を集めた「NHKから国民を守る党」が、比例区で100万票近い票を獲得し、政党要件を満たすまでの支持を集めたことで、改めてNHKのあり方に注目が集まっている。そこで今週のマル激では現在のNHKにどのような問題があり、「NHK問題」の核心とは何かを議論した。
まず結論から言うと、NHK問題の核心は、現在のNHKという特殊法人のガバナンスの仕組みが、明らかな利益相反を前提としたものになっており、にもかかわらずそれを克服したり、超越したりできるような制度的な担保が存在しないことにある。
受信料という安定的な収入を得る代わりに、毎年の予算と会社の取締役にあたる経営委員会の委員の人事について国会の承認を必要とする。NHKは、当然時の権力の介入を受けやすい立場にある。それが番組の編成や内容にまで影響を与えるようになれば、公共放送としての役割を全うできなくなるのは当然だ。
その一方で、NHKは時の権力にすり寄っている限り、年間7,000億円もの収入をもたらしてくれる現在の受信料制度は安泰となり、民放が四苦八苦するのを横目に、NHKはやりたい放題ができる。そして、それがNHKの放漫財政の原因になったり、綱紀の緩みを生み不祥事が相次ぐ原因になっていたり、公共放送本来の役割を超えた番組や事業にまで手を伸ばすことで民業を圧迫する原因となっている。
つまり、NHKは政治権力の介入を受けやすいと同時に、政治権力に迎合している限り、企業としての立場は安泰だが、その一方で、それでは公共放送としての役割が果たせず、NHKの存在意義自体が揺らいでしまうという究極のジレンマを抱えている。時の権力に擦り寄ったり、圧倒的な財力を使って民放のビジネスを侵害するような番組を放送すればするほど、NHKは公共放送本来の役割から遠ざかっていくことになる。
本質的に利益相反が避けられない立場にあるNHKが、公共放送本来の責務を果たしていくためには、何を変える必要があるのか、もし今のままの体制が続くのであれば、本当に日本にNHKのような放送局は必要なのか。
メディア問題の専門家で近著『変容するNHK』でNHKに対する政治介入の歴史に焦点を当てた川本氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・我が世の春を謳歌するNHK
・経営委員会の「政府任命人事」化と、政府に働く忖度
・NHKの現場は戦っているか
・黒幕のいない、鍵のかかった箱の中の鍵問題
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■我が世の春を謳歌するNHK
神保: 今回はあえてこの時期に、NHKを取り上げようと思います。
宮台: 参院選でNHKから国民を守る党がここまで伸びた以上、当然やるべきでしょう。僕もN国が議席を獲得したのでホッとしました。
神保: 宮台さんは、N国自体はどう見ていますか?
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