マル激!メールマガジン 2018年8月8日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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米中貿易戦争と「Q Anon」とトランプ政権の行方
ゲスト:吉崎達彦氏(双日総合研究所チーフエコノミスト)
マル激トーク・オン・ディマンド 第904回(2018年8月4日)
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トランプ政権周辺がここに来ていよいよ喧しい。
就任以来30%台に低迷していた政権の支持率は、6月の歴史的な米朝首脳会談で一時回復基調に転じたが、その後7月に入って米ロ首脳会談後の記者会見で、2016年の大統領選挙への介入容疑で捜査が続くロシアのサイバー工作について、トランプがプーチンの言い分を全面的に受け入れるシーンが世界中に流れてしまった。さすがにこれには身内の共和党からも厳しい批判があがり、トランプ政権の支持率が再び低迷する原因となっている。
また、トランプが独断で始めた中国に対する関税の引き上げも、中国との間で関税の報復合戦に発展してしまった。世界の2大経済大国間の関税報復合戦の世界経済への影響については、アメリカ国内はおろか世界が懸念を持ち始めている。
政権発足から1年半でトランプ政権の主要閣僚が次々と入れ替わった結果、今やトランプ政権は基本的にイエスマンで固められた専政状態にある。その結果、世界はトランプリスク全開の状態に陥っていると言っていいだろう。
しかも、ここにきてトランプの謎の行動が一部で問題視され始めている。それは今年に入ってから支持者集会などで目立ち始めていたアルファベットの「Q」の文字が書かれたプラカードを持った人々とトランプの関係だ。「Q」はネット上でじわじわと拡がってきた陰謀論を信じる人々の集まりで、正式には「Q Anon」(キュー・アノン)と呼ばれているグループのことだ。Anonは匿名を意味するAnonymousを省略したものだそうだが、基本的にかなり過激な陰謀論を展開しながら、SNS上で自然発生的に拡がってきた運動体のようだ。
ところが、なんとトランプ大統領が講演などでこの団体に、秘密のシグナルを送っているようなのだ。7月31日のフロリダ州タンパの支持者集会でも、トランプは前後の脈略と関係なくスピーチの合間に突如として「17」という数字をたびたび口にしている。これは「Q」がアルファベットの17番目の文字ということで、Q Anon支持者の間では17が聖なる数字とされていることを受けたものと見られている。17を連呼することでトランプはQ Anonに対して、「あなたたちの主張はちゃんと理解している」というサインを送っているというのだ。
トランプが何をやっても今さら誰も驚かないかもしれないが、Q Anonにしても関税の報復合戦にしても、ロシアへの全面的な歩み寄りにしても、政策としては何の正統性もないものばかりだ。何のことはない、一連のトランプの行動は、3ヶ月後の中間選挙や2年後には大統領選挙を意識した選挙運動に世界中を巻き込んでいるだけのことなのだ。
このままトランプの暴走が続くと、アメリカは、そして世界はどうなるのか。希代のアメリカ・ウォッチャーでエコノミストの吉崎氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・トランプが目配せする「Q Anon」とは
・激化する米中貿易戦争の推移
・時代遅れの関税政策が招くもの
・止まらないトランプと、日本への影響
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■トランプが目配せする「Q Anon」とは
神保: 今回は米中の貿易戦争のような話をメインにしようと思うのですが、ここに来てアメリカで面白い動きがあったので、それも含めて、代表的なアメリカ・ウォッチャーである双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦さんにお話を伺っていきます。
今日の前半のキーワードは、「Q Anon」です。トランプの支持者集会などで、「Q」というプラカードを持った人が目立ち始めています。
吉崎: この間から何だろうと思っていて、今日、事前に説明を聞いて初めてわかりました。
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