マル激!メールマガジン 2018年3月21日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第884回(2018年3月17日)
政治をお笑いネタにして何が悪い
ゲスト:村本大輔氏(ウーマンラッシュアワー)
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「日本では国のことを話す時、みんな人が変わるんですよ。そんなに揺るがされることが怖いんでしょうか」
そう語るのは、昨年末にフジテレビの演芸番組『THE MANZAI 2017』に登場し、漫才のネタの中に、原発や沖縄の米軍基地問題といったデリケートな政治問題を真正面から取り上げて大きな話題を呼んだお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔氏だ。
村本氏は話題となったTHE MANZAI 2017の出演後も、元旦に放送されたテレビ朝日の朝まで生テレビに出演し、「殺されるくらいなら、尖閣諸島なんて中国にあげてしまえばいい」などと発言して、物議を醸し続けている。
いわゆる識者や政治の専門家たちは、その発言を「勉強不足」だの「非常識」だのと揶揄する人が多い。一方で、村本氏の疑問が国際政治や日本社会が抱えるもっとも基本的な矛盾点を突いているため、答えに窮した識者たちが逃げ口上として上から目線の反応を示している面も少なからずある。村本氏は朝まで生テレビの中である識者から「小学校から学び直せ」とまでバカにされ、罵倒されたと苦笑する。
とはいえ日本では長らく、お笑いの世界で政治ネタや時事ネタはタブーとされてきたことも事実だ。芸能人が下手に現行の政権やその政策を批判などをしようものなら、「干される」のは必至だと考えられ、実際に干された人も少なからずいる。
一方、海外ではコメディアンたちが毎晩のように政治をネタにした番組が流され、人気を博している。彼らが政治問題や社会問題を面白おかしく切ってくれるおかげで、あまり時事問題に興味がない人たちも、世の中で何が起きているかを知ることができている面がある。
理由は何にせよ、政治ネタが嫌がられる日本のお笑いの世界にあって、村本氏はあえてその領域に切り込むことを選んでいる。
「僕自身は正直、日本のためとかはどうでもいいと思ってるんです。福井県で最下位だった高校中退の僕が、お笑いの世界で頑張って、今や石破茂さんまでが、僕と話したいと言ってくれるようになった。僕が頑張れば周囲はそれを見てくれる。僕はそれでいいんです」
村本氏の口からは、正義感だの市民意識だのといった大仰な言葉は決して出てこない。例えば原発ネタについても、自身が原発の街、福井県大飯町出身の村本氏は、子どもの頃から感じていた「この電気はどこに行ってるんだ」という素朴な疑問をネタにしただけだという。沖縄の基地問題にしても自衛隊にしても日米関係にしても、普通の人が普通に話を聞いたら「変だ」と感じることを、やや皮肉を込めてネタにしているだけで、それ以上でもそれ以下でもないと村本氏は言う。
これからは人種問題やテロの問題、国際紛争なども新たにネタに組み込んでいきたいと抱負を語る村本氏は、同時に活動の場を海外にも求めていくことを計画している。実際、今年に入ってから1ヶ月間休みを取り、ロサンゼルスの英語学校の集中英語講座に通い、帰国したばかりだ。ロスでは英語学校に通う合間に現地のスタンドアップコメディ・シアターに通い、帰国間際に自ら飛び入りで英語の一人漫才に挑戦している。
村本氏のやや型破りな挑戦が、これから先、日本のやや特異なショービジネス文化にどのような影響を与えるかは、今後も注目していきたい。アメリカから帰国したての村本氏に、政治ネタに挑み続ける理由や、アメリカで見てきたものなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
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今週の論点
・政治ネタに対する真っ二つのリアクションと、村本氏の意図
・日本のお笑いとアメリカのコメディは、客が違う
・「小学校に通い直せ」は、自分で説明ができないから
・嫌いだけど認める、ということ
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■政治ネタに対する真っ二つのリアクションと、村本氏の意図
神保: 今回はさっそくゲストを紹介しましょう。ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんです。しばらく姿を消していたと言うか、アメリカに行っていたんですよね?
村本: ええ、1ヶ月だけですけど。
神保: そして3月2日に帰ってこられたと。アメリカには何をしに?
村本: ロサンゼルスで語学学校に行こうと思って。こういう仕事をしていると休みがなかなか取れないので、年に2回ずつ、1ヵ月ずつくらい行かせてもらおうと。僕、5ヵ月前に37歳にして初めて、be動詞を知ったんですよ。それだったら荒療治で飛び込もうと思って。
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