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「新国立競技場」の建設費用の裏で…

2015/07/12 22:33 投稿

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皆様、こんにちは。
今回は特別編として「新国立競技場」の建設費用と並行して起こるであろう知られざる問題点を取り上げたいと思います。

昨今の報道でもご承知の通り、2020年東京五輪のメーンを飾るスタジアム「新国立競技場」の建設費用が二転三転し最近の報道では約2,500億円は必要となると伝えられ、なぜそこまで掛かるのかという点と、費用をどう工面するのか(東京都の負担分などetc.)という点で揉めに揉めている状態となっています。

「新国立競技場」のデザインは招致活動の中で決められ、その段階で建設費用は約1,300億円と報じられましたが、その後の基本設計の過程で費用がインフレの如く上昇し約2,500億円という数字に至っています。ただ当初の建設費用の段階ですら、昨今の五輪のメーン会場の建設費用と比べても割高との指摘があります。国家の威信を掛けたとされる2008年北京五輪の「北京国家体育場」(通称:鳥の巣)ですら建設費用は約35億・人民元(Wikipediaより)で、現在のレートで1人民元は約20円ですから約700億円という額であり、他の会場でも500~850億円前後だとされていますから、2,500億円という数字は誰が見ても割高感が否めませんし、当初見込みだった1,300億円という数字もまた然りです。



「全ての元凶」とされているのがデザインの要にもなっている2本のメインアーチ「キールアーチ」です。
当初はこのキールアーチから可動式の屋根を用意して全天候型にしようという案が出ましたが、技術的な事情から見送られる方向に進んでいるものの、前述の「2,500億円」はこの可動式屋根すら排除した金額なのです。

新国立競技場の屋根周りはこのキールアーチが大きな梁として、そして柱にもなっているため骨格を支える重要な構造物という位置付けです。それ故に重要な骨格の1つを成す関係上、このキールアーチに対する基礎工事が重要となります。このキールアーチに対する基礎工事をどうするかでこの2,500億円という費用を減らしたりできるともされていますが、最近識者の間から信じ難い問題が出てきたのです。

「キールアーチの基礎工事次第では、北側に敷設された都営大江戸線が影響を受ける」

というものです。
私もこれを受けて11日の夜にこんなtweetをした所、この週末だけで400RTを超える反響がありました。

RTされた方の一部からは「そんなソースどこにあるのか」と質問がありましたので、その1つをご紹介します。

■ハフィントンポスト日本語版ブログ:新国立競技場の基本設計が終わらない理由3
http://www.huffingtonpost.jp/takashi-moriyama/new-national-stadium_b_5303362.html?utm_hp_ref=tw

このブログの中で現地の地盤からキールアーチの基礎工事をしようとすると、地下30m付近を走る都営大江戸線国立競技場駅付近が被って干渉してしまい、ここを考慮すると構造的問題が露呈する旨の記載をしています。
干渉を避けて基礎工事を予定通りしようとするとそれこそ大江戸線の軌道変更工事などが別途発生してしまいますが、ご存じの通り大江戸線は都心の入り組んだ地下を避けるため都心部は地下深い所にシールドトンネルを設けて線路を敷設していますから、ルート変更をしようとすればそれだけでも大規模工事が新たに発生してしまう…ということとなります。

2,500億円という費用の中にこの関連費用一式がすべて計上されているかは定かではありませんが、一部のメディアですらこの懸念点を報じ始めている所を見ると、計上し切れていないと判断した方が賢明かも知れません(ただし、この点に対しては筆者個人の見方であることをお断りしておきます)

JSC(独立行政法人 日本スポーツ振興センター)が2014年5月に公開した新国立競技場の基本設計図案には各フロアの設計図が示されていますが、基礎などの構造はまだ掲載されていません(リンク先はPDF資料です)
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/yushikishakaigi/20140528_yushikisha5_shiryo2.pdf

ただキールアーチに相当する部分は弧を描いたまま基礎に至る構造にするような描き方をしていると受け取れる内容になっています。

この話題は執筆段階で現在進行形(予定だと2015年10月に工事着工の段取り)となっているため、どういう方向に収束するかは私自身も解り兼ねる内容です。ただ2,500億円という費用に対する拒否反応が日に日に高くなっているのは確かで、その部分に対する説明を透明化して行かないと費用の問題だけが独り歩きして行き懸念事項がクリアできなくなる点をはらんでいることを意識しないといけないようです。


【2015/07/17 追記】
今日付けの報道でも伝えられた通り、安倍首相が今回の新国立競技場のデザインについて「ゼロベースで見直す」とのことを正式に発表しました。大幅見直しが決まったことで2019年のラグビーW杯としての会場にも使われる予定だった当初の流れは大幅な軌道修正となります。直前の安保法案での支持率低下は想定内としながらも、この建設騒動を巡って支持率を更に下げることは好ましくないとも判断したのでしょう。

2004年アテネ五輪での財政出動が遠因として今日の経済危機に陥ったギリシャ情勢も背景にあったかは定かではないにしても、今回の軌道修正は賢明な選択であるように思えますし、そう決めた以上は「コストに優しくかつ機能に富んだスタジアム」としてのデザインが早急に求められることは至上命題ではないかと思われます。


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